神奈さんとアメリちゃん

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第二百五十八話 恋と青春のパスタ・プリマヴェーラ!

公開日時: 2021年6月9日(水) 21:01
更新日時: 2022年8月4日(木) 22:35
文字数:2,419

「それは、アメリちゃん頑張りましたねー」


 下書き中、優輝さんと通話することになり、真留さんとのことに話が及びました。


「ええ、親バカで恐縮ですけど、本当にすごいなって」


「ミケはそういうの、イマイチ興味示してくれないんですよねー。お菓子作りは少し興味あるみたいですけど」


「そうなんですか?」


 コーヒー牛乳をひと口含む。


「ええ。まあ、強制するようなことでなし、今どき自炊できなくても生きていけますからね。本人の気が向いたら、教えるぐらいのつもりでいます」


 相変わらず、おおらかな教育方針ですねえ。


「自炊といえば、今日の晩ごはん何にしようか悩んでまして」


「お。お力になりますよ! 方向性とか教えていただければ」


 快い提案をいただいたので、間近に食べたものを挙げていく。


「ふーむ。それだったら……パスタ・プリマヴェーラなんていかがです?」


「聞いたことない料理ですね」


 パスタ料理だろうというのは想像がつくけど。


「レシピ、お送りしますよ。ちょっと待ってください」


 キーをカチャカチャ叩く音が聞こえるな。しばらくして、PC用LIZEの着信音が鳴ったので、そちらを見てみる。


「……お野菜のスパゲッティーですか?」


「ええ、春野菜のパスタ料理をこう呼ぶみたいです。前にキャンプで振る舞ったら好評で。よろしければ、試してみてください」


「ありがとうございます。今晩はこれにしてみますね」


 その後も、下書きを進めながら雑談することしばし。そろそろ買い物時刻となったので、今日は車でおでかけ。早くアメリも補助輪なし自転車乗れるようになるといいのだけど。



 ◆ ◆ ◆



 いつものスーパーにとうちゃーく! やっぱり、このBGMと店内風景は馴染みますねえ!


 えーと、優輝さんのレシピによると?


 グリンピース八十グラム。これは缶詰でいいかな。アスパラ六本。クリームチーズ六十グラム。粗挽き胡椒。岩塩。粉チーズ。オリーブオイル。ブロッコリースプラウト一パックが必要ですと。


 オリーブオイルと粉チーズはうちにあるから、それ以外を買っていけばいっか。


 そういや、一応チラシチェックしときますか。お、牛乳と卵が安い! 三種の神器も買っていきましょ~。


 明日のお昼のぶんは……明日でいいや。


 アメリちゃんは、今日はバルーンガムを買っていくとのこと。ではお会計~。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまーっと! さて、スパゲッティーですから、作るのにそれほど時間はかからないね。というわけで、ごはん直前までお仕事なう。アメリちゃんってば最近すっかり本の虫になっちゃって、ずーっとご本を読んでいる。手がかからないのはいいけれど、お姉さん寂しいわ。


「アメリちゃーん。私の膝の上で本読まない?」


「おお、いいの?」


「むしろ、大歓迎!」


 椅子をひねって、ぽんぽん膝を叩くと、ちょこちょこ歩いてきて、すとんと腰を下ろす。また少し、重くなった気がするなー。我が子の成長の喜ばしきことかな


 左手で頭を撫でつつ右手でペンを走らせキーを叩くという器用な真似タスクをしながら、作業を進めていく。


「アメリー。お耳はむはむしていーい?」


「おおー? おねーちゃんがよくやってたやつ? いーよー」


 猫時代のこと、そういうのはよく覚えてるのね。では遠慮なく。はむっ。


「うにゅっ……」


 アメリが変な声を出す。やだ、何かイケナイことしてるみたいじゃない。半年以上ぶりの耳はむも、なんだか気まずくて中断。どうもやっぱり、猫時代とは色々勝手が違うのね……。


 そんなことをしているうちに、スマホが「ごはん作ってちょー」と、時刻を知らせてくれました。


「ふう。それじゃ、ごはん作りに行こっか」


「うん!」


 本を片し、付いてくるお嬢様。本当に、きちんと片付けのできる子になったなー。お姉さん、嬉しい!



 ◆ ◆ ◆



 さあ、三分でクッキングする脳内BGMを鳴らしつつ、今日も元気に行ってみましょー!


 LIZEをセット! 優輝さんからいただいたレシピを表示する。


「さて、アメリちゃん。このお豆さんを、半分スプーンで潰してくれるかな?」


「任せて!」


 今日も元気に、しゅびっと挙手!


 缶詰のグリンピースを水切りして器に空け、そちらはアメリシェフにお任せ。私は、寸胴鍋でお湯沸かしと、アスパラの下処理を始める。


 アスパラさんの皮を剥きましてー。食べやすい大きさにカット~。硬い部分はもったいないけどポイ~。


 ブロッコリースプラウトのほうもやっちゃおう。これは、食べやすい大きさにカットすればいいのね。


 野菜を切ってるうちにお湯も沸いたし、お塩ひとつまみ入れてスパゲッティーぐつぐつ~。


 スパゲッティーをある程度茹でたら、アスパラも一緒に茹でまーす。


「できたよ-」


 おっと、アメリシェフ作業を終えましたか。


「はいな。ありがとー。ちょっと置いといてね」


 タイマーが鳴り、スパゲッティー&ブロッコリーが茹で上がったので、お湯切り。


 ボウルに移し、グリーンピース、クリームチーズも投入! これをよく混ぜまーす。


 ラストに、粗挽き胡椒と岩塩で塩胡椒。あとはオリーブオイル、ブロッコリスプラウト、粉チーズをかけて完成~!


「アメリシェフ~、完成ですよ~。いえーい!」


「いえーい!」


 ぱちんと手を打ち鳴らす。


「じゃ、紅茶と一緒に配膳しましょうかね」


 というわけで配膳し終わり、エプロンを外し着席。


「「いただきます!」」


 合唱し、ぱくっと食べる。あら! お野菜のパスタなのに、チーズのおかげでこってり美味しい! これは意外!


「アメリはどう? グリンピース苦手じゃない?」


「平気~。美味しいよ!」


 実際、美味しそうに食べてますね。良きかな良きかな


 こうして晩ごはんも美味しく食べ終わり、再度寝室で膝乗せお仕事モードに。そういえば、猫だった頃のアメリってばPCいじってると、よく作業妨害してきたなー。


「おお? どしたの?」


 思わずくすっと笑ってしまった私に、不思議そうに問いかけてくる。


「んー? ちょっと、昔のことをね」


 微笑み、頭を撫でる。相変わらずいい手触り。


 こうして、今日も安穏と猫崎家の夜が更けていくのでした。

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