お昼を済ませ、駐車場にとうちゃーく!
なにぶん私の家からだと余分に時間がかかるから、早めに出てきたわけです。
皆さんがどんな車を借りてくるかわからないけど、とりあえず皆さんが見当たらないし、久美さんにちょっと連絡してみましょう。彼女とまりあさんだけは、絶対運転してないはずだから。
「はーい?」
「こちら到着しましたけど、今、どのへんにいらっしゃいますか?」
「ちょっと待っててな」
小さく「由香里ー、今どのへんー? 神奈サン着いちゃってるよ」と聞こえてくる。
「えーとね、割ともうすぐみたい。なんかね、一本田中第2って交差点右に曲がったわ」
あー、はいはい。あそこね。もうすぐだな。
「あと少しですね。白部さんたちも、すぐ前か後ろに?」
「うん、すぐ後ろ走ってる」
「了解しました。お待ちしてますね。それでは」
しかし、カーナビって便利だねえ。私が先導しなくてもいいのだから。
少し待つと、車が二台入ってきました! あれかな? 車外に出て立つ。
二台が駐車すると、おなじみの顔ぶれが出てきたので、手を振って「ここですー」とアピール。すると、皆さん集まってきました!
「お待たせしましたー」
一同から、まずそんな第一声。
「いえいえ、それほどでも。では、さっそくですけど行きましょうか」
てくてくと入山。
「麓にお蕎麦屋さんとかあったんですね。あそこで食べても良かったですねえ」
「すみません。私も十年以上ぶりに来たもので、失念してました」
由香里さんに謝罪する。
「あ、いえいえ。ホテルのお料理美味しいですし、大丈夫ですよ」
慌ててフォローする彼女。
「いやはや、結構急ですねえ」
意外な急勾配で音を上げ始める優輝さん。
「お前、見た目の割には体力ないよなあ」
「久美さんがフィジカルお化けなんですよ」
「とりあえず、子供たちのペースに合わせましょう。みんな、急がなくていいからね」
まりあさんが場をまとめてくださる。
しばらく歩くと、一軒の建物にたどり着きました。
「こちら、資料館です。丸岡城の入場券と共通なので、せっかくなので見ていきませんか?」
一同から「さんせーい」と声が上がる。
かくして、入場券を買い、中へ。
写真メインの資料が色々展示されており、特にクロちゃんが食い入るように見る。ほかのお客さんは、猫耳幼女を逆にチラチラ見る。どちらもわかりやすい反応だねー。
クロちゃん、読めない漢字はまりあさんに読み上げてもらいながら、資料を満喫。逆に退屈そうなのは、やはりノーラちゃんとミケちゃん。アメリは、知的探究心が満たされるなら何でもどんと来いの状態で、教えがいがある。
退屈していたノーラちゃん、鎧兜の展示物にしっぽをピンと立てて反応!
「おー! 昔は、こんなの着て戦ってたのかー!」
「そうだよー」と説明する白部さん。ふふ、好みがわかりやすいね。
しかし、悲惨さしかない戦争なんてものが、長い年月を経るとロマンになってしまうのだから不思議なものだ。
ともかくも、資料も一通り撮り、見終わったので、次のスポットへ。
途中トイレがあるので、ここから先はないことを事前に伝え、済ませたい方には済ませておいてもらう。
さらに進むと、小さな神社が。
「神社だ……!」
もちろん、好感触なクロちゃん。
「お参り、していっていいですか?」
皆に尋ねるので、それじゃあと全員で参拝。
子供たちに作法を教え、お賽銭を少々。ここの神様は何の神様かな。何願おう? とりあえず、猫耳人間の未来が良くなるようにお願いしましょう。
参拝を終え、いよいよ文字通り本丸へ!
まさに、趣が形を得たような造りに、一同感動。さすがのミケちゃんも、ちょっと圧倒されたようだ。
で、石垣の階段に進むわけですが……。
「いやー、これ、昇んなきゃダメですかね?」
階段を前に、尻込む優輝さん。
「下で待っててもいいぞ?」
「そういうわけにもいかないじゃないですか……」
久美さんに気遣われるも、不承不承といった感じで昇っていく彼女。
「うひい……」とか、普段の彼女からは想像もつかないような声を上げながら、城内へ。
城内には、様々な資料がまばらに配置されていました。ぱしゃぱしゃと撮影する一同。クロちゃんしっぽをピンと立てて大興奮! すでに疲弊しきってる優輝さんとは真逆だ。
で、二階に進むわけですが……。この階段がまた急で。
「うう……急だなあ……。なにも、こんな急角度にしなくてもいいのに……」
案の定、泣きそうな優輝さん。それでも、「ひいい……」とか言いながら、勇気を振り絞って昇っていく。
私には高所恐怖症の人の気持ちはわからないけど、ほんと私にとっての朝ぐらい苦手なんだろうなあ……。ベクトルが違うか。
二階にもちょっとした資料があり、写真に収めていく。
そして……またもや急階段。優輝さんげっそり。
「大丈夫か?」
久美さんに心配されるも、「頑張ります……」と気丈に応える。
かくして、てっぺんの三階へ。
「おお~! こりゃ絶景だあ! ミケ子も見てみ」
「わ! すっごーい!」
城下町が一望できる眺め。いやー、気持ちいい! アメリも、「おお~!」と興奮。クロちゃんは言わずもがな。
「あたしは外見ませんからね。あたしのぶんまで写真撮っといてください」
優輝さん、顔真っ青。大丈夫かな……。
「すげーなー! ここで戦争してたんだなー!」
たしか、築城は戦国時代だっけ。「そうかもね」と返すと、キラキラ輝く瞳を向けてくるノーラちゃん。幼い彼女には戦争の凄惨さなんて及びもつかないだろうけど、四百年前のロマンに馳せる想いに水を差すのは野暮ってもんだね。
丸岡城も一通り堪能し終わり、今度は下へと向かっていく。昇り以上に怯えながら、急階段を降りていく優輝さん。いやはや、ほんといつもの様子からは想像もつかない姿だ。
優輝さんには悪いけど、子供たちも喜んでくれたし、いい写真も撮れたしでホクホクだな。
かくして一日目のイベント、丸岡城も無事攻略!
駐車場に着くと優輝さんもすっかり回復して、「やっぱり、人間地に足つけてなきゃダメですよ」なんて仰る。
皆さんはレンタカーを戻した後、ホテルで休まれるとのこと。子供たちが、大浴場をたいそう気に入ったようで。お疲れ様でした。
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