神奈さんとアメリちゃん

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第三百二十三話 風雲! 丸岡城!

公開日時: 2021年8月17日(火) 21:01
文字数:2,482

 お昼を済ませ、駐車場にとうちゃーく!


 なにぶん私の家からだと余分に時間がかかるから、早めに出てきたわけです。


 皆さんがどんな車を借りてくるかわからないけど、とりあえず皆さんが見当たらないし、久美さんにちょっと連絡してみましょう。彼女とまりあさんだけは、絶対運転してないはずだから。


「はーい?」


「こちら到着しましたけど、今、どのへんにいらっしゃいますか?」


「ちょっと待っててな」


 小さく「由香里ー、今どのへんー? 神奈サン着いちゃってるよ」と聞こえてくる。


「えーとね、割ともうすぐみたい。なんかね、一本田中第2って交差点右に曲がったわ」


 あー、はいはい。あそこね。もうすぐだな。


「あと少しですね。白部さんたちも、すぐ前か後ろに?」


「うん、すぐ後ろ走ってる」


「了解しました。お待ちしてますね。それでは」


 しかし、カーナビって便利だねえ。私が先導しなくてもいいのだから。


 少し待つと、車が二台入ってきました! あれかな? 車外に出て立つ。


 二台が駐車すると、おなじみの顔ぶれが出てきたので、手を振って「ここですー」とアピール。すると、皆さん集まってきました!


「お待たせしましたー」


 一同から、まずそんな第一声。


「いえいえ、それほどでも。では、さっそくですけど行きましょうか」


 てくてくと入山。


「麓にお蕎麦屋さんとかあったんですね。あそこで食べても良かったですねえ」


「すみません。私も十年以上ぶりに来たもので、失念してました」


 由香里さんに謝罪する。


「あ、いえいえ。ホテルのお料理美味しいですし、大丈夫ですよ」


 慌ててフォローする彼女。


「いやはや、結構急ですねえ」


 意外な急勾配で音を上げ始める優輝さん。


「お前、見た目の割には体力ないよなあ」


「久美さんがフィジカルお化けなんですよ」


「とりあえず、子供たちのペースに合わせましょう。みんな、急がなくていいからね」


 まりあさんが場をまとめてくださる。


 しばらく歩くと、一軒の建物にたどり着きました。


「こちら、資料館です。丸岡城の入場券と共通なので、せっかくなので見ていきませんか?」


 一同から「さんせーい」と声が上がる。


 かくして、入場券を買い、中へ。


 写真メインの資料が色々展示されており、特にクロちゃんが食い入るように見る。ほかのお客さんは、猫耳幼女を逆にチラチラ見る。どちらもわかりやすい反応だねー。


 クロちゃん、読めない漢字はまりあさんに読み上げてもらいながら、資料を満喫。逆に退屈そうなのは、やはりノーラちゃんとミケちゃん。アメリは、知的探究心が満たされるなら何でもどんと来いの状態で、教えがいがある。


 退屈していたノーラちゃん、鎧兜の展示物にしっぽをピンと立てて反応!


「おー! 昔は、こんなの着て戦ってたのかー!」


 「そうだよー」と説明する白部さん。ふふ、好みがわかりやすいね。


 しかし、悲惨さしかない戦争なんてものが、長い年月を経るとロマンになってしまうのだから不思議なものだ。


 ともかくも、資料も一通り撮り、見終わったので、次のスポットへ。


 途中トイレがあるので、ここから先はないことを事前に伝え、済ませたい方には済ませておいてもらう。


 さらに進むと、小さな神社が。


「神社だ……!」


 もちろん、好感触なクロちゃん。


「お参り、していっていいですか?」


 皆に尋ねるので、それじゃあと全員で参拝。


 子供たちに作法を教え、お賽銭を少々。ここの神様は何の神様かな。何願おう? とりあえず、猫耳人間の未来が良くなるようにお願いしましょう。


 参拝を終え、いよいよ文字通り本丸へ!


 まさに、趣が形を得たような造りに、一同感動。さすがのミケちゃんも、ちょっと圧倒されたようだ。


 で、石垣の階段に進むわけですが……。


「いやー、これ、昇んなきゃダメですかね?」


 階段を前に、尻込む優輝さん。


「下で待っててもいいぞ?」


「そういうわけにもいかないじゃないですか……」


 久美さんに気遣われるも、不承不承といった感じで昇っていく彼女。


 「うひい……」とか、普段の彼女からは想像もつかないような声を上げながら、城内へ。


 城内には、様々な資料がまばらに配置されていました。ぱしゃぱしゃと撮影する一同。クロちゃんしっぽをピンと立てて大興奮! すでに疲弊しきってる優輝さんとは真逆だ。


 で、二階に進むわけですが……。この階段がまた急で。


「うう……急だなあ……。なにも、こんな急角度にしなくてもいいのに……」


 案の定、泣きそうな優輝さん。それでも、「ひいい……」とか言いながら、勇気を振り絞って昇っていく。


 私には高所恐怖症の人の気持ちはわからないけど、ほんと私にとっての朝ぐらい苦手なんだろうなあ……。ベクトルが違うか。


 二階にもちょっとした資料があり、写真に収めていく。


 そして……またもや急階段。優輝さんげっそり。


「大丈夫か?」


 久美さんに心配されるも、「頑張ります……」と気丈に応える。


 かくして、てっぺんの三階へ。


「おお~! こりゃ絶景だあ! ミケ子も見てみ」


「わ! すっごーい!」


 城下町が一望できる眺め。いやー、気持ちいい! アメリも、「おお~!」と興奮。クロちゃんは言わずもがな。


「あたしは外見ませんからね。あたしのぶんまで写真撮っといてください」


 優輝さん、顔真っ青。大丈夫かな……。


「すげーなー! ここで戦争してたんだなー!」


 たしか、築城は戦国時代だっけ。「そうかもね」と返すと、キラキラ輝く瞳を向けてくるノーラちゃん。幼い彼女には戦争の凄惨さなんて及びもつかないだろうけど、四百年前のロマンに馳せる想いに水を差すのは野暮ってもんだね。


 丸岡城も一通り堪能し終わり、今度は下へと向かっていく。昇り以上に怯えながら、急階段を降りていく優輝さん。いやはや、ほんといつもの様子からは想像もつかない姿だ。


 優輝さんには悪いけど、子供たちも喜んでくれたし、いい写真も撮れたしでホクホクだな。


 かくして一日目のイベント、丸岡城も無事攻略!


 駐車場に着くと優輝さんもすっかり回復して、「やっぱり、人間地に足つけてなきゃダメですよ」なんておっしゃる。


 皆さんはレンタカーを戻した後、ホテルで休まれるとのこと。子供たちが、大浴場をたいそう気に入ったようで。お疲れ様でした。

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