またまた時計の針はくるくる回り、二十八日の月末お昼すぎ。ついに脱稿~!!
日曜だから真留さんのチェックは明日になるけど、とりあえず送信済ませちゃいましょー!
「アーメリちゃん、アメリちゃん。やりましたよ、できましたよ! 原稿完成ですよ~!!」
「おお~! おねーちゃん、頑張った! 偉い!」
愛しのアメリちゃんによしよしされて、天に昇りそう~!
しかし、うちのお嬢様もハッピーモードの私の扱いにすっかり慣れたものね。
さて! 「祝」って感じの料理を作りたいけど、何作りましょうね?
うーん……。うう~ん……。思いつかない! すき焼きもちらし寿司も、前作ったしなあ。
いや、もっかい作っちゃいけないって決まりもないんだけど、なーんか工夫がないような気がして謎の敗北感が。
ふむ、持つべきものは友。ここはお知恵を拝借しましょう! LIZE起動~。
◆ ◆ ◆
「だったら、うちで祝賀会と一緒にパーッとやりましょうよ!」
と、打診早々優輝さんからご提案いただきました。
「いいんですか?」
「こーゆーのは、ノリと勢いです! それに、お祝いなんて重なれば重なるほど嬉しいじゃないですか!」
実に彼女らしい。
「そうですね、では一緒にお祝いしましょう! でも、何を作るかというのが未解決で……」
「手巻き寿司とかいかがですか?」
と由香里さん。
「手巻き寿司ですかー。子供と一緒に作れるし、いいですね!」
「では、手巻き寿司でいきましょう! ただ、今日すぐってのはちょっと急すぎるんで、明日でもいいですか?」
優輝さんがノってくると同時に一拍置くことを提案する。あー、大量のシャリ作るの大変そうだし、今日食べる予定の物も冷蔵庫にあるだろうし、白部さんやまりあさんのご都合もあるものね。
「はい、私は構いませんよ。うちからも具を持っていきますね。みんなで持ち寄ったほうが楽しいですし」
彼女の性格は把握してるので、例によって先手を打たせてもらう。
「そうですね。うちの祝賀会メインのつもりでしたから、全部ご用意しようかと思ってたんですけど、それはそれでパーティー! って感じでいいですよねえ。でも、さすがにシャリと海苔はこちらでご用意しますね」
「ありがとうございます」
まあ、それぐらいはご厚意に甘えさせていただきましょう。
その後は雑談タイム。白部さん、まりあさんも入ってきて、ご参加の意志を表明されました。良き哉良き哉。
◆ ◆ ◆
翌日。朝イチでいつものスーパーへ!
ありがたいもので、手巻き寿司用にカットされた寿司種が売っているので、それをゲット。せっかくだし、薄切りのカルビとサンチュもかごへ。こういうお寿司も面白いよね。
アメリちゃんは特に買うものがないとのことで、いつもの三種の神器プラス、夕食はカルビとサンチュの残りでいいかな。
では帰宅~。
◆ ◆ ◆
お昼、かくてるハウスにお邪魔。例によって、家が遠いまりあさんを由香里さんがお迎えに行っているようで、雑談しながら三人を待つ。すると、由香里さんと宇多野姉妹がイン!
改めて挨拶を交わし合い、キッチンへ。
「神奈さん、お肉買われたんですか?」
「ええ。こういうお寿司も面白いかなって」
用意したものを見た優輝さんがその発想はなかった! という感じで後頭部を撫でる。
「そういうのもアリでしたねー。まあ、うちもちょっと変わったの用意してますよ。とりあえずシャリは用意してあるんで、楽しく作っていきましょう!」
一同「はーい」と応じ、お寿司を巻いていく。わたしはコンロを借りて、焼肉のタレで味付け済みのお肉をステイク。
「おおー! 久美おねーちゃん、上手!」
「だろ? アメ子にも教えてやっからな」
私がコンロに張り付いている間、久美さんがアメリの面倒を見てくれています。久美さんすごく楽しそうで、本当に子供好きなんだなー。
よし、焼き上がった! 後は少し冷ましましょー。
「あら、その具は……太巻き用ですか?」
「ええ。手巻きでってのもオツだなって思いまして」
優輝さんがミケちゃんみたいに胸を反らし、ちょっとドヤ気味に語る。ふふ、こういうとこ姉妹だなー。
もちろん私もかくてるの皆さんも、普通にマグロやサーモンなどを用意しています。
「おー? ミケは何巻いてるんだー?」
「エビよ! ミケ、エビ好きだもの」
ノーラちゃんにえっへんと答えるミケちゃん。そういや、好物の一つがエビマヨのピザだったね。
「今回は、蒸しエビと甘エビの二種類を作るわ」
へー、かくてるハウスにはまだそんな隠し玉が。
「皆さん、面白い具を使われますね。かくいううちも、しめサバを用意してきました」
と、まりあさん。みんな、面白いこと考えるなあ。
「なんか、うちだけ普通で恐縮ですね」
白部さんが肩をすくめる。
「いやいや。基本、これ大事っす!」
そんな彼女にフォローを入れるさつきさん。奇をてらえばいいってものじゃないものね。
「じゃ、一緒に巻いてこうか、アメリちゃん」
「おおー!」
久美さんちょっと残念そうだけど、バトンタッチ。二人で、マグロなどを巻いていきます。
「サビ入りは見分け付いたほうがいいよね。私のは、海苔に切れ目入れておくね」
ハサミで先っぽをちょっと欠けさせる。
「お寿司作るの楽しい!」
アメリちゃんが楽しそうで何よりです。
「お肉も冷めた頃かな。巻いていきましょー」
サンチュと一緒に、くるくるっとね。
こうして手巻き寿司を作る会は和やかに楽しく進んでいき、皆巻き終わりました!
「壮観ですねー」
どっさりの手巻き寿司に感心する由香里さん。
「せっかくだから、プチ交換会もしません? みんなで変わり種も食べましょうよ」
「異議なしですー」
優輝さんのご提案に、皆さん賛成。お弁当のおかず交換みたいで楽しそう!
「じゃあ、『ひなまつり』の売れ行き好調と、神奈さんの『あめりにっき』の脱稿を祝して……いただきます!」
イベント進行役である優輝さんの音頭取りで、「いただきます」の合唱!
「アメリー。肉のやつ一個もらうなー」
「じゃあ、ノーラのも一個もらうね」
さっそくトレードする二人。そして、おなじみの「うめー!」シャウトをするノーラちゃんでした。
「ノーラの作ったのも美味しいよ!」
「ほんとか! へへへ……」
照れくさそうな彼女。ほほえま~。
ミケちゃんは、お手製のエビ寿司で瞳をキラキラ輝かせている。ほんと、エビ好きなのね。
「ミケ、ボクのサバもどう?」
「じゃ、いただこうかしら。代わりにどっちかエビ取っていいいわよ」
こちらでもトレード成立。二人とも可愛いなあ。
「くー! うめー!」
コップを手に、かーっと息を吐く久美さん。彼女は例によって、お茶の代わりに日本酒でお寿司を愉しんでいます。
私もチームかくてる製の、手巻き太巻きを愉しんでいたり。
みんな変わり種から攻めていってるけど、もちろんマグロやサーモンも美味しい。
こうして食事会は楽しく進み、名残り惜しくもお開きに。
「美味しかったー。あと、やっぱりみんなで作って食べると楽しいですね! またやりたいですねー」
「ですね! またやりましょう!」
私の素直な感想と提案に、相槌を打つ優輝さん。
こうして、後片付けの後お開きとなりました。
「楽しかったね、アメリ!」
「うん!」
家に帰る途中、そんな会話を交わすのでした。
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