神奈さんとアメリちゃん

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第二百三十九話 手巻き寿司で祝賀会!

公開日時: 2021年5月21日(金) 21:01
更新日時: 2021年6月26日(土) 08:04
文字数:2,895

 またまた時計の針はくるくる回り、二十八日の月末お昼すぎ。ついに脱稿~!!


 日曜だから真留さんのチェックは明日になるけど、とりあえず送信済ませちゃいましょー!


「アーメリちゃん、アメリちゃん。やりましたよ、できましたよ! 原稿完成ですよ~!!」


「おお~! おねーちゃん、頑張った! 偉い!」


 愛しのアメリちゃんによしよしされて、天に昇りそう~!


 しかし、うちのお嬢様もハッピーモードの私の扱いにすっかり慣れたものね。


 さて! 「祝」って感じの料理を作りたいけど、何作りましょうね?


 うーん……。うう~ん……。思いつかない! すき焼きもちらし寿司も、前作ったしなあ。


 いや、もっかい作っちゃいけないって決まりもないんだけど、なーんか工夫がないような気がして謎の敗北感が。


 ふむ、持つべきものは友。ここはお知恵を拝借しましょう! LIZE起動~。



 ◆ ◆ ◆



「だったら、うちで祝賀会と一緒にパーッとやりましょうよ!」


 と、打診早々優輝さんからご提案いただきました。


「いいんですか?」


「こーゆーのは、ノリと勢いです! それに、お祝いなんて重なれば重なるほど嬉しいじゃないですか!」


 実に彼女らしい。


「そうですね、では一緒にお祝いしましょう! でも、何を作るかというのが未解決で……」


「手巻き寿司とかいかがですか?」


 と由香里さん。


「手巻き寿司ですかー。子供と一緒に作れるし、いいですね!」


「では、手巻き寿司でいきましょう! ただ、今日すぐってのはちょっと急すぎるんで、明日でもいいですか?」


 優輝さんがノってくると同時に一拍置くことを提案する。あー、大量のシャリ作るの大変そうだし、今日食べる予定の物も冷蔵庫にあるだろうし、白部さんやまりあさんのご都合もあるものね。


「はい、私は構いませんよ。うちからも具を持っていきますね。みんなで持ち寄ったほうが楽しいですし」


 彼女の性格は把握してるので、例によって先手を打たせてもらう。


「そうですね。うちの祝賀会メインのつもりでしたから、全部ご用意しようかと思ってたんですけど、それはそれでパーティー! って感じでいいですよねえ。でも、さすがにシャリと海苔はこちらでご用意しますね」


「ありがとうございます」


 まあ、それぐらいはご厚意に甘えさせていただきましょう。


 その後は雑談タイム。白部さん、まりあさんも入ってきて、ご参加の意志を表明されました。良きかな良きかな



 ◆ ◆ ◆



 翌日。朝イチでいつものスーパーへ!


 ありがたいもので、手巻き寿司用にカットされた寿司種が売っているので、それをゲット。せっかくだし、薄切りのカルビとサンチュもかごへ。こういうお寿司も面白いよね。


 アメリちゃんは特に買うものがないとのことで、いつもの三種の神器プラス、夕食はカルビとサンチュの残りでいいかな。


 では帰宅~。



 ◆ ◆ ◆



 お昼、かくてるハウスにお邪魔。例によって、家が遠いまりあさんを由香里さんがお迎えに行っているようで、雑談しながら三人を待つ。すると、由香里さんと宇多野姉妹がイン!


 改めて挨拶を交わし合い、キッチンへ。


「神奈さん、お肉買われたんですか?」


「ええ。こういうお寿司も面白いかなって」


 用意したものを見た優輝さんがその発想はなかった! という感じで後頭部を撫でる。


「そういうのもアリでしたねー。まあ、うちもちょっと変わったの用意してますよ。とりあえずシャリは用意してあるんで、楽しく作っていきましょう!」


 一同「はーい」と応じ、お寿司を巻いていく。わたしはコンロを借りて、焼肉のタレで味付け済みのお肉をステイク。


「おおー! 久美おねーちゃん、上手!」


「だろ? アメ子にも教えてやっからな」


 私がコンロに張り付いている間、久美さんがアメリの面倒を見てくれています。久美さんすごく楽しそうで、本当に子供好きなんだなー。


 よし、焼き上がった! 後は少し冷ましましょー。


「あら、その具は……太巻き用ですか?」


「ええ。手巻きでってのもオツだなって思いまして」


 優輝さんがミケちゃんみたいに胸を反らし、ちょっとドヤ気味に語る。ふふ、こういうとこ姉妹だなー。


 もちろん私もかくてるの皆さんも、普通にマグロやサーモンなどを用意しています。


「おー? ミケは何巻いてるんだー?」


「エビよ! ミケ、エビ好きだもの」


 ノーラちゃんにえっへんと答えるミケちゃん。そういや、好物の一つがエビマヨのピザだったね。


「今回は、蒸しエビと甘エビの二種類を作るわ」


 へー、かくてるハウスにはまだそんな隠し玉甘エビが。


「皆さん、面白い具を使われますね。かくいううちも、しめサバを用意してきました」


 と、まりあさん。みんな、面白いこと考えるなあ。


「なんか、うちだけ普通で恐縮ですね」


 白部さんが肩をすくめる。


「いやいや。基本、これ大事っす!」


 そんな彼女にフォローを入れるさつきさん。奇をてらえばいいってものじゃないものね。


「じゃ、一緒に巻いてこうか、アメリちゃん」


「おおー!」


 久美さんちょっと残念そうだけど、バトンタッチ。二人で、マグロなどを巻いていきます。


「サビ入りは見分け付いたほうがいいよね。私のは、海苔に切れ目入れておくね」


 ハサミで先っぽをちょっと欠けさせる。


「お寿司作るの楽しい!」


 アメリちゃんが楽しそうで何よりです。


「お肉も冷めた頃かな。巻いていきましょー」


 サンチュと一緒に、くるくるっとね。


 こうして手巻き寿司を作る会は和やかに楽しく進んでいき、皆巻き終わりました!


「壮観ですねー」


 どっさりの手巻き寿司に感心する由香里さん。


「せっかくだから、プチ交換会もしません? みんなで変わり種も食べましょうよ」


「異議なしですー」


 優輝さんのご提案に、皆さん賛成。お弁当のおかず交換みたいで楽しそう!


「じゃあ、『ひなまつりゲーム』の売れ行き好調と、神奈さんの『あめりにっき』の脱稿を祝して……いただきます!」


 イベント進行役である優輝さんの音頭取りで、「いただきます」の合唱!


「アメリー。肉のやつ一個もらうなー」


「じゃあ、ノーラのも一個もらうね」


 さっそくトレードする二人。そして、おなじみの「うめー!」シャウトをするノーラちゃんでした。


「ノーラの作ったのも美味しいよ!」


「ほんとか! へへへ……」


 照れくさそうな彼女。ほほえま~。


 ミケちゃんは、お手製のエビ寿司で瞳をキラキラ輝かせている。ほんと、エビ好きなのね。


「ミケ、ボクのサバもどう?」


「じゃ、いただこうかしら。代わりにどっちかエビ取っていいいわよ」


 こちらでもトレード成立。二人とも可愛いなあ。


「くー! うめー!」


 コップを手に、かーっと息を吐く久美さん。彼女は例によって、お茶の代わりに日本酒でお寿司を愉しんでいます。


 私もチームかくてる製の、手巻き太巻きを愉しんでいたり。


 みんな変わり種から攻めていってるけど、もちろんマグロやサーモンも美味しい。


 こうして食事会は楽しく進み、名残り惜しくもお開きに。


「美味しかったー。あと、やっぱりみんなで作って食べると楽しいですね! またやりたいですねー」


「ですね! またやりましょう!」


 私の素直な感想と提案に、相槌を打つ優輝さん。


 こうして、後片付けの後お開きとなりました。


「楽しかったね、アメリ!」


「うん!」


 家に帰る途中、そんな会話を交わすのでした。

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