というわけで、いつものスーパーにやって来ました! ただし、今日はちょっと遅くなったので車で。いい加減陽も高くなってきたから、自転車でも良かったかなあ?
ま、来ちゃったもんはしょーがない。
「おねーちゃん、今日は何を買うの?」
スマホをいじっていると愛娘からそんな声をかけられ、ふとひらめきました。
「ねえ、今日はアメリの思うがままに作ってみる?」
「おお!?」
瞳を星のように輝かせ、好感触。
「もちろん、あまりにも変な組み合わせとかになるようだったら止めるし、逆に訊かれればアドバイスはするよ。どう?」
「やる!」
一も二もなく快諾。
「じゃあ、気の向くままにスーパーを回ってみようか」
「はーい!」
かくして、何が出来上がるか不明なショッピングターイム! が始まった次第です。
◆ ◆ ◆
「あ、そうそう。一つ言い忘れてました」
不意に切り出すと、「うにゅ?」と首を傾げるシェフ。
「昨日、きびなごの唐揚げ作ったでしょう。あのとき、ほんとはお豆腐も使う予定だったんだけど、あれもこれもやらせるのは難しいだろうなと思って、言わずにいたんだ。なので、できればなんだけど、お豆腐を使う料理がありがたいかな」
「おお? お豆腐使う料理ってどんなの?」
「色々あるよー。おなじみのお味噌汁に、一月だったかな? 麻婆豆腐作ったでしょ。あとはー……」
と言いかけて、主導権を奪いかけてることにはっとなる。いかんいかーん!
「まあ、いざとなったらお味噌汁とか冷奴にしちゃえばいいから、あまり気にしないで」
慌てて訂正。ふう、危ない危ない。
「おお~? どっち? どっちにすればいい?」
困り顔のアメリちゃん。しまったな。
「えっと、気にしないほうで!」
「らじゃー!」
ビシッと敬礼される。気を取り直して、お買い物を続けましょ。
シェフがまず立ち止まったのは、青果コーナー。店の構造上、基本的に一番最初に立ち寄ることになる場所だ。
ここでシェフ、おもむろにプチトマトとブロッコリーをかごへ。初手、好物からいきましたか。
その後、しばらくうろうろしていたものの、ピンとくるのがなかったのか、お隣の鮮魚コーナーへ。
そして、しばらく鮮魚コーナーと精肉コーナーを行ったり来たり。お魚かお肉かで、決めかねてるみたいね。
そんなアメリちゃんに気長に付き合い、私も行ったり来たり。
やがてシェフ、意を決して鶏むね肉を手に取りました。ほうほう。そういや、鶏肉も久々な気がするね。
その後、いろんなコーナーをうろうろするアメリシェフ。すると、香辛料コーナーで足を止めました。
「たんどりーちきん……ってなーに?」
美味しそうなタンドリーチキンの写真が描かれた小袋を手に取り、見せてくるアメリちゃん。
「インドって国の鶏肉料理だね。美味しいよ」
今度は正式に問われたので答えると、「おお~!」とかごに入れました。
そして、役得とばかりにコラ・コーラをかごに入れるシェフ。これで、コーラ煮とか作ったらびっくりだけど。
あとは、いつもの私を真似してか、三種の神器をかごに入れる。牛乳は結構お高いの選びましたね。まあ、この銘柄美味しいから、たまにはいいか。
コーラと牛乳がぬるくなってしまうと考えてか、アメリちゃんはそのまま一直線にレジへ向かいました。ほいきた、お会計ですね~。意外と、おかしなチョイスにはならなかったな。良き哉良き哉。
でも、せっかく車で来たから、シェフにはお会計をちょっと待ってもらって、かさばる日用品とお米でもさくっと買っていきましょう~。
ヨシ!
では、るんたったと帰宅~。
◆ ◆ ◆
たっだいま~!
「アメリちゃん。お米を炊くのもやりますか?」
「うん!」
「じゃあ、お願いね」
私は私で、買い物を冷蔵庫や戸棚、トイレなどに置いていく。ふう、重かった。上京して間もない頃、車のなかった時代は、そりゃこういうのを運ぶのに苦労したもんです。
自家用車って素晴らしいわ。
そういえば、徒歩勢のまりあさんは、宅配をよく利用されているそうで。以前、彼女が寝込んでお世話したときも、それで随分助かりました。
さて、部屋着に着替えてメイクも落とし、リラックスモードになったはいいけれど。お仕事しなきゃですねー。
あ、そうだ! ぎりぎり間に合うな。今のうちにあれやっとこう。
実家近くのお花屋さんに、カーネーションをのフラワーギフトをネットで宅配注文する。うん、間に合うね。あとは、メッセージカードを作って、当日LIZEで画像を飛ばそう。
「おねーちゃん、お仕事大変そうだねー」
いたわるような視線で、見つめてくるアメリちゃん。
「ありがとう。でも、実は今別件でね。母の日の贈り物を用意してたのよ」
「母の日?」
首を傾げる。
「うん。今年は明後日でね。お母さんに贈り物をする日なの。贈り物はカーネーションが一般的ね」
「おお~! アメリもおねーちゃんに贈り物する!」
拳を突き上げるお嬢様。
「あら、ありがとう。嬉しいなー」
「カーネーションって何? どこで手に入る!?」
「カーネーションくれるの? じゃあ、ちょっとこっち来て」
とてとてとやって来たので、検索してカーネーションの画像を出す。
「こんなお花でね。いつものスーパーでも売り出すんじゃないかな?」
例のスーパーには、生花コーナーがあったりする。
「アメリのお小遣いで買えるかな……?」
「一輪なら、そんな高くないよ。大丈夫。嬉しいなあ。アメリから母の日の贈り物もらえるんだ~」
にんまりと締りのない顔をしてしまう。
「そうだ。せっかく来たんだから」
椅子をひねって膝をポンポン叩くと、ちょこんと腰掛けてくる。
お仕事しなきゃだけど、ちょっとぐらいいいよね。
十分だけこうしたら、お仕事を始めよう。
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