「パルの木々」を出て、とりあえず一息。
「児童服売り場に行こうと思うのですけど、ともちゃんは、何か買うものありますか?」
「そうですねえ……。その場で見てから決めましょうか」
そのようなわけで、とりあえずおなじみの児童服売り場へ。
「さて、アメリちゃんや。まずはスポーツウェアから見ていきましょうか」
今日は、これと水着が目的。スポーツウェアを、あれでもない、これでもないと物色。なんだかんだで白のタンクトップとおなじみ薄紫の短パンをチョイス。
タンクトップは今着てる服の上から、短パンは下着の上から試着。
「いやーん、スポーティ~! 似合ってるよー!」
「ほんと? じゃあ、これにする!」
というわけで、似た感じのを二着ずつキープ。
近井さんたちは、店内をウロウロとウィンドゥショッピング中。
続いて、お楽しみの水着ですよ、水着!
アメリちゃん、腰にフリルの付いた薄紫のワンピース。しかも、ケイティちゃんプリントのものを発見!
「これがいい!!」
すごい食いつきよう。
「サイズ見てからね」
こちらも服の上からなら一応試着OKなので、試してみる。あら、ピッタリ! ケイティちゃんも、アメリに着られるために、ここにいたのね……!
というわけで、こちらもお買い上げ。
意外とあっさり決まりましたね。
「こちら終わりました。そちら、いかがですか?」
お会計を済ませたので、店内を回っていた近井さんに話しかける。
「ただ見てるだけというのもなんですし、ケイティちゃんプリントの下着一式を買ってあげることにしました」
「うちも、ケイティちゃんの水着です」
袋を掲げると、「いいですね」と笑顔をいただく。みんな大好き、ケイティちゃん。
彼女もお会計を済ませ、一緒に店外へ。
「このほかにも、ある感じですか?」
「浮き輪と、ビーチサンダルを買ってあげようかと」
白部さん情報によれば、「るるる」にスポーツ用品店があるはずだ。
「ビーサンですかー。友美ももう五歳だし、海に連れて行ってあげたいですねえ」
「でしたら、夏になったら行きましょうよ。みんなで!」
「いいですねー。そうしましょう、あ、でも車がないと大変ですよね」
逡巡する近井さん。
「それでしたら、うちのに乗っていってください。困ったときは、助け合いです」
「ありがとうございます。では、それまでにチャイルドシートを買いますので、その際にはお願いします」
互いに笑顔を向け合う。彼女、厚意に不必要に遠慮がちじゃないから、接しやすいなあ。一度距離感が縮まると、ぐいっとくるタイプなのかも。でも、踏み込みすぎないあたりが好感触。優輝さんとあっさり打ち解けた理由が、わかった気がする。
まずは、靴屋さんへ。時期ものだから種類も豊富で、アメリちゃん好みの薄紫のビーサンがあっさり見つかりました。ともちゃんも、ピンクのを買ってもらった模様。
続いて、スポーツ用品店へ。
四人で物色していると、いい感じにこれまたケイティちゃんの浮き輪が。上半分が透明で、そこに色々プリントされているタイプ。アメリとともちゃん。それぞれに合うサイズのものと、足踏み式空気ポンプをお買い上げ。
「いやー、結構散財しちゃいましたねえ」
一階のクレープ屋さんで休みながら、四人でおしゃべり。
「可愛い娘のためですからね。こういうときこそ、ぱっと使わないと」
笑顔の近井さん。まったくもって同意です。うんうんと頷く。
「そういえば、差し支えなければなんですけど、旦那さんはどういった方なんですか?」
「広告代理店で営業をしています。きょうはちょっと、所用で不在ですけど」
「あら! 私の父も、営業部なんですよ」
営業職を身内に持つ者同士、トークが弾む。アメリとともちゃんも、ケイティちゃんトークに熱心だ。
お話によると、実に温厚な方で、近井さん……奥さんより輪をかけて、子煩悩らしい。彼女以上って、ちょっと想像できないレベルの甘々ぶりね。
「女の子って思春期来たら、男親とは距離を置きがちになるじゃないですか。だからって、今から気を揉んでるんですよ、あの人。心配性過ぎますよね」
そう言って、苦笑なさる。
近井さん一家も、幸せなご家庭のようだ。良き哉良き哉。
おしゃべりとクレープを楽しんだ後は、手芸店でしっぽ穴補強のための布と、「麗文堂」でアメリのために数冊本を買い、帰途へ。
途中、せっかくだからといつものスーパーに寄り道してお買い物。近井家はちょうど中間地点にあるので、その日の特売品や気分で、私たちがいつも利用してるスーパーと、宇多野家に近い「さわき」さんを使い分けているようです。
近井家は本日、さっぱりとサラダうどんを楽しむとのことで。うちも、おんなじのにすることにしました。
アメリちゃんは明日、サラダの残りとスパゲッティーで、冷製スパゲッティーサラダを作るそうな。ほんとに芸達者になりましたねえ、うちのお嬢様は。実に成長著しい。
近井さんたちとバス停でお別れし、私たちも帰宅。
さあ、私がアメリちゃんの衣装を新調したときに、やることといえば!?
待て、まだ慌てるような時間じゃない。まずは、しっぽ穴を空けるですよ。ああん、もどかしい……!
できた!
「あーめーりちゃ~ん」
至極にこやかな顔で、じゃん! と、改造した新衣装を見せる。
「おおお……撮影会だあ~」
いやん。そんなに身構えないでちょうだいな。
「ダ・メ?」
口元に両拳を当て、潤んだ瞳で見つめる。
「あまり、長くしないでね……」
「やったー! アメリちゃん、ラブラブ大好きぃ~! 愛してるぅ~っ!」
かくして、今日も激写魔がエキサイトするのでした。ムッハー!!
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