神奈さんとアメリちゃん

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第三百二十六話 気分は海賊! ―後編―

公開日時: 2021年8月20日(金) 21:01
更新日時: 2021年8月23日(月) 22:44
文字数:2,048

 レストランやお土産屋さんが集合した施設を出て、「サイクロン・スピナー」という一人乗りの円盤っぽい乗り物をチョイス。


 こちら、アメリの年齢でも一人乗りOKらしいので、やっとこ運転させてあげられるね。


 で、乗ってみると、外周がバルーンで出来ていて、それを左右のレバーで動かすというもの。なるほど、このバルーン仕様が子供の一人乗りでも大丈夫な理由か。


 しかし、左右のレバーで操作ってのはどうにも癖が強いな。アメリみたいにハンドル握った経験がないほうが、逆にむしろ馴染みやすいかもしれない。


「アメリー、初めての運転どうだった?」


「すっごく楽しかった!!」


 降車後に具合を尋ねてみると、お陽様笑顔でそう答える。良きかな良きかな。こういう遊具の気軽な運転って楽しいよね!


 続いて攻略するのは、ほかの遊園地では「コーヒーカップ」なんて呼ばれる遊具に似た、「パイレーツバレル」。カップの代わりに、樽の下半分のような形状をしている。


「これねー、この円盤を回すと、回るスピードが変わるのよ」


「おお~! やってみる!」


 案の定というか、勢いよくぐるぐる回すお嬢様。きゃ~! 回しすぎー! 目が回るゥ~!!


 とにかく加減を知らないアメリちゃん、平衡感覚が二人ともぐるぐるになりながらも、ふらふらと降車。うう、吐きそう。


 さ・て。次の遊具ですが……。「パイレーツシップ」なる遊具。ほかの遊園地では「バイキング」なんて呼ばれるアレです。


「優輝~! 乗りましょうよ~」


 優輝さんの袖をくいくい引っ張るミケちゃん。


 肝心の優輝さんは、引きつった笑顔を浮かべて「いやー、あたしはやめときたいんだけど……」と、力なく応える。


 丸岡城のアレを見たらね、うん……。


「ミケ子、それ以上いけない」


 久美さんがミケちゃんの肩を叩き、神妙な面持ちで首を横に振る。


 何とか説得しきり、不承不承という感じで優輝さんと乗るのは諦めたようです。やれやれ。


「じゃ、あたしは撮影係するんで、皆さん楽しんできてください!」


 乗らないと決まったら途端に顔に生気が戻り、元気にサムズ・アップ。


 というわけで、白部さんとさつきさんは眼鏡を係員さんに預け搭乗。


 うおっ! まずは後ろにぐいんっとスイング! そして一気に前へ!!


 年甲斐もなく、思わず大絶叫!! 隣のアメリも、これまた大絶叫!! 周囲からも悲鳴の嵐!!


 何回か激しく揺られ、降りる頃には心臓バクバク。


 アメリも、「おおおお~……」と語彙力が崩壊しており放心。絶叫マシーン初体験に新鮮な驚きが隠せない模様。


 そ・し・て! 続いて、遊園地といえばコレ! 「パイレーツ・サイクロン」なる、ジェットコースター!


「あたしは撮影係で!」


 ミケちゃんに先んじて、きっぱり宣言する優輝さん。高所恐怖症って、たいそう難儀ねえ……。


 このジェットコースターは、ループの類はないけれど十分楽しめそう。


 やはり、白部さんとさつきさんは係の人に眼鏡を預けます。


 そして、ごん・ごん・ごん……というあの独特な響きとともに高度が上がっていき……一気に下降!!


 またも大絶叫!! やっぱり、いくつになっても迫力あるもんは迫力あります! アメリも周りも、みんなで大絶叫!!


 ふう~……またも心臓バクバク。アメリもまた、語彙力を失って放心。ほあ~……。


「やあやあ、おかえりなさい。お疲れ様でした」


 優輝さんが、皆を出迎えてくださる。


「いやー、胆力には自信あるほうだけど、やっぱけっこー効くな~」


 いち早く放心状態から戻ってきた久美さんが、首を回しながら語る。さすが、立ち直りが早い。


「で、みんなは体力のほう、どうかな?」


 子供たちに尋ねる優輝さん。


「ちょろいって思ったけど、実際乗ったらすっごい疲れたわ……」


「アタシも~」


「ボクも、ちょっと遊び疲れました」


 アメリは、無言で首を横に振っている。


「ふむ。もう夕方ですし、帰ったほうが良さそうですね」


「記念に、お土産でも買っていきませんか?」


 優輝さんとまりあさんが、場をまとめる。


 一同賛成し、先ほどのレストランやお土産屋さんなどが集まった施設へ。


 お土産コーナーを物色する一同。


「『甚右餅』ですって。美味しそうですね。人気ナンバーワンとか書いてありますよ」


 どれどれと、白部さんのところに集まる我々。


 あんこの入った、よもぎ餅らしい。


「へー、美味しそうですね。ホテルで食べようかな。みんなも食べるよね?」


 かくてるの皆さんに問いながら、二箱手に取る優輝さん。


「私も、家族に買っていこっと」


 私も二セット手に取る。


 まりあさんと白部さんは一セットのみ。


 ほかにも、イカカレーやオリジナルパッケージのサブレやクッキーをめいめい好き好きに買っていく。


 クッキーとサブレ、パッケージ可愛いね。


「アメリ、これ欲しい?」


 尋ねると、「うん!」と勢いよく答えるので、こちらもお買い上げ。


 お蕎麦も買っていこうかな。帰ったら、茹でて食べましょ。


 かくして、みんなで帰路へ。


 今日も、すっごく楽しかったー!!


 遊び疲れたアメリは、後部座席で寝ちゃってます。


 ふふ。おやすみ、お姫様。


 さーて、残り二日、どこにご案内しようかな~?

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