いつもの店内BGMに包まれて、今日は早くからお買い物。白部さんに何ごちそうしましょうかねー。
鍋は昨日やったし、お昼から鍋もあれだし、ここはひとつスパゲッティーとか?
でも、ものによるなあ……ボンゴレは砂抜きしてる時間がないし、逆にペペロンチーノとか手抜き感がすごくて、お出しするには恐縮だし。
チラシを見て決めましょ。……お、豚肉とお野菜が色々安い! 特にベーコンブロックがビビッとくるじゃない! ふむ、どんなレシピがいいかなー。
む、ひらめきましたよ! カルボナーラをお出ししよう! 晩もベーコンで何か……レシピサイトちぇーっく! ほうほう。ベーコンと大根と卵の煮物とな? これいいなー。これにしよう!
大根がだいぶ余っちゃうけど、お味噌汁と……明日、おろし蕎麦でも作ろうかな。越前そばはアメリちゃんにはちょっと辛すぎたし。よし! 作戦は決まりました!
あとは、レタスとトマトときゅうりを買って、と。
「アメリは何か買うのあるー?」
「んー。『うめえ棒』昨日買ったから、特にいいや!」
ほいほい。それじゃー帰りましょ~。
◆ ◆ ◆
たっだいまぁ~!
現在十時。白部さんのことだから十二時ジャストにいらっしゃるかな。
カルボナーラもそこまで手間隙かかる料理じゃなし、白部さんがいらっしゃってから作り始めても問題ないかも。
とりあえず、レタスの芯だけくり抜いて、濡らしたキッチンペーパー詰めて長持ちするようにして……。
うん、こんなもんかな。それじゃ、白部さんがいらっしゃるまで下書きしてましょ。
◆ ◆ ◆
「はーい。どちら様でしょう?」
時刻は十二時ジャスト。白部さんだとは思うけど、一応尋ねる。
「こんにちは。白部です」
「こんにちはー。今、お迎えに行きますねー」
やっぱり白部さんでした。というわけで、門までお出迎え。アメリは部屋着モード、イコールしっぽ丸出しなのでキッチンで待っているところ。
「ノーラちゃんもこんにちは」
「カン姉、こんにちはー!
今日も片手に、ゴッドレンジャーを握って突き上げる。元気ねー。
「白部さん、今日はスパゲッティーなのであらかじめ作ると伸びてしまうので、これから作りますけど構いませんか?」
「はい、それは一向に」
「では、立ち話もなんですし、中へどうぞ」
というわけで、キッチンにお通し。
「こんにちはー!」
二人を確認したアメリが元気にご挨拶。白部さんたちも、アメリに挨拶を返す。
「これ、お話しした飲み物とおやつです。飲み物は冷やしておいていただけますと」
「ご丁寧にありがとうございます」
飲み物はアップルジュース、コラ・コーラ、マスペのセット。おやつはクッキーね。クッキー以外は冷蔵庫にしまって、と。
「それじゃあ、アメリと二人で作りますね」
「頑張る!」
拳を突き上げるアメリ。良き哉良き哉。
「ありがとうございます。私も何かお手伝いしたいところですけど」
「いえいえ。広いキッチンではないですし。アメリの健闘をご覧になっていてください」
「それでは、お言葉に甘えて」
というわけで、クッキング開始~! 脳内に例のBGMを流しましょー。
「アメリ、トマトとレタスとアスパラのサラダ、教えなくても作れる?」
「大丈夫! おねーちゃんの見て覚えた!」
おおう、これは真に力強いお言葉。
「それじゃ、お任せするね」
では、時短のために電気ポットのお湯から寸胴鍋でお湯を沸かしましてー。お塩を入れて、沸騰を待ちまーす。
沸騰したので、スパゲッティー四束、四百グラムをイン! タイマーをセットし、菜箸でほぐすことしばし。
うん、ここから先は放置でいいかな。ソースを作りましょ。
ベーコンを短冊切りにしまして~。バターで中火で炒めます~。
焼き色がついたら、牛乳六百ミリリットルと粉チーズ大さじ八杯をイン~。
馴染んできたら、火を止めて、卵黄を混ぜ合わせま~す。
お、タイマーが鳴りましたねえ! グッドタイミング!
スパゲッティーをザルに揚げて、よく湯切り~。あとは、スパゲッティー、ソースの順にお皿に盛って、仕上げに粗挽き胡椒をぱらぱらとまぶしたらでっきあがり~!
「はーい、カルボナーラできあがりましたー! アメリちゃんのほうはどうかな?」
「あとちょっとー」
缶詰と格闘中みたいね。
「手伝うね。白部さんたちお待たせしても悪いし」
「わかったー」
というわけで、アスパラを小鉢に盛り付けマヨをかけて、サラダも完成!
「お待たせしましたー。できあがりです!」
「ありがとうございます。ほら、ノーラちゃんも」
「おー! ありがとな、カン姉、アメリ!」
最後に紅茶を淹れ、エプロンを外し着席。
「それでは、いただきますしましょう。いただきます!」
三人も私に続き、フォークに手を伸ばす。
ズビズバと勢いよくすすり、白部さんにたしなめられるノーラちゃん。一方アメリは、ちょっと食べ方が上手になったかな?
「うめーな、これ!」
「ふふ、ありがと。アメリのサラダも食べてあげて」
「おー! こっちもうめえ!」
屈託のない賞賛に、アメリともども笑顔になる。
「アメリちゃんの包丁使い拝見してましたけど、本当に上手ですよね」
白部さんがくるくると器用に巻き取り、カルボナーラを口に運ぶ。
「両品とも、とてもいいお味です」
「おおー、褒められた!」
「ありがとうございます。良かったね、ちゃんとお礼言いましょ」
「ありがとう、白部せんせー!」
ぺこりとお辞儀するアメリに「いい子だね」と微笑む白部さん。そんなアメリの頭を撫でると、おなじみのうにゅうボイスを上げる。
「そうだ、猫崎さん。最近、気になるデータが上がってるんですよ」
柔和な表情から、なんとも真剣な面持ちに。一体何が……!? 次回へ続く!
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