神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第二百四十二話 神奈、暇を持て余す

公開日時: 2021年5月24日(月) 21:01
更新日時: 2021年6月26日(土) 09:00
文字数:2,158

 帰宅後LIZEをチェックすると、真留さんからご返信がありました。


「では、八日の十二時にお伺いしたいと思います。いかがでしょうか?」


 とのことで、「はい、ではお待ちしています」とお返事。


 プロット完成までの期日が切られてしまったわけだけど、その頃なら完成しているでしょう。


 とにかく今は、一週間のオフを満喫しましょー!


「アメリ、今日は頑張ったねー」


 ベッドに腰掛け子供向け科学読本を読んでいる彼女の頭を撫でると、「うにゅう」と気抜け声を上げる。


「おおー、頑張った! アメリね、いろんな事ができるようになりたい!」


 こちらを見て、「なりたい自分」を口にする彼女。


「すごいね、アメリは」


 隣に腰掛け、再度頭を撫でる。この子の「自分の世界を広げたい」という欲求は、本当にすごい。


 さて、ずっとこうしていたいものだけど、ごはんの用意しなきゃね。お米浸してきましょ。


 ……戻り!


 そういえば、炊飯器どうしようかな。お金はあるわけだけれど、私の愛着とは別に、アメリが今後お米の炊き方を覚えるときのためにも、新品買ったほうがいいのかしら。


 ちょっと、プレゼントしてくれた当の本人であるお父さんに打診してみよう。私たちは元気にやってるよって知らせたいしね。


 ……ん、こんなもんかな。お父さんの生活が変わってなければ、返事が来るのは今晩遅くだろうから、気長に待ちましょ。


 お父さんといえば、こんなエピソードがある。私は成人後上京したわけだけれど、その後の初収入の一部を実家に入れたら、それがそっくりそのまま口座に戻ってきた。


 不思議に思いお父さんに尋ねてみると、「僕たちは大丈夫だから、自分で稼いだお金は自分のために使いなさい。そのために送り返したんだよ」という返事をもらったものだ。


 世の中にはそれまでにかかった養育費を成人した子供に請求するろくでもない親がいると何かで見たことがあるけど、うちの親は立派なものだなあと我が親ながら感服してしまったものです。


「アメリー。何かして遊ぶー?」


「おお? 今、ご本読みたい気分ー」


 むう、残念。私も漫画でも読んでようかなあ。だいたい月に一週間まとめて休みができるのはいいけれど、アメリに構ってもらえないと暇を持て余すなー。


 うーむ、チャットでもしましょうか。


 デスクに向かい、PCのLIZEを起動。「今、お話したい気分なのですけど、お暇な方いらっしゃいませんか?」と打診してみる。


 「こんにちは」と、白部さんとまりあさんが反応してくださいました。


「ちょうどいいタイミングで。今日、宇多野さんの家で一緒にクッキー焼いたんですけど、これからおすそ分けに伺おうと思っていたところでして」


 ああ、そういえば以前そんなお話いただいてましたね。


「私は今暇を持て余している状態ですから、まったく問題ないですよ。ただ、少し着替える時間をいただきたく」


「わかりました。十五分後にお邪魔します」


「子供たちも一所懸命作ってくれまして。美味しく食べてあげてください」


 と、まりあさんが付け加える。


「では、着替えますので失礼させていただきますね」


 中断の旨を書き込み、着替え始める。


「アメリー。白部さんがみんなで作ったクッキー持って、こちらにいらっしゃるって」


「おお? ノーラも来るかな?」


「あー、それは訊いてないな。どう、ご挨拶する?」


 アメリが「うん!」と返事し、外着に着替え始める。今日は着替えが多い日だねー。


 着替え終わり二人で適当に待っていると、呼び鈴が鳴りました! さっそくお出迎え~。


「改めましてこんにちは。こちら、宇多野さんたちと焼いたクッキーです」


 白部さんが紙袋を手渡してくる。ノーラちゃんも、「こんにちはー!」と元気にご挨拶。


「こんにちは。ありがとうございます~」


「せんせー、ノーラ、こんにちはー!」


 アメリも元気にご挨拶し、二人がアメリに挨拶を返す。


「ノーラちゃん、頑張ってクッキー作ったんです。微笑ましかったですよー」


「うー、そういうこと言わないでくれよなー。なんだか、恥ずかしいぞー」


 照れてうつむく彼女。


「ノーラ、良かったら遊んでいく!?」


「あー、ごめんねアメリちゃん。もうすぐ夜になっちゃうから、また今度ね」


 白部さんの言葉に、残念そうな子供二人。


「明日は優輝さんのお誕生日ですね」


「ええ、楽しみですね。ただ、見切り発車で好みを把握し切らないでプレゼントを買ってしまったので……猫崎さんみたいに、きちんと尋ねれば良かったですね」


「まあ、贈り物は気持ちが大事ですから。もっとお話したいのは山々ですけど、もう日が沈みかかってますし、LIZEでですね」


「そうですね。角照さんたちにもクッキーをお渡ししないといけませんし、これで失礼します」


 別れの挨拶の後、二人はお隣へと歩いていきました。


 そろそろ炊飯ボタンを押さなきゃ。戻りましょ。これから晩ごはんなので、クッキーは明後日いただきましょう。明日は、きっとごちそうが並ぶしね。


 炊飯準備を終えた後、LIZEで雑談を繰り広げる私でした。アメリは相変わらず読書なう。アメリの読書ペースも結構早いねえ。また何か買ってあげなきゃ。


 本棚もまただいぶきつくなってきたなー。あまり読まなくなった本は、実家に送っちゃいましょ。持つべきものは、広い実家だねー。


 まりあさんの原稿執筆も順調なようで、もうすぐ脱稿とのこと。新刊が楽しみね!

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート