仕事に打ち込むことしばし。いやー、アメリちゃんのみならず、他の子もいると思うと、筆がはかどりますなあ。
「カエル~!」
「アメリ、上手だね」
おや。アメリちゃんが、カエル作りましたよ。
「見せてー」
「はい!」
じゃん、とペーパーカエルくんを掲げる愛娘。おお、お上手!
「あら、かわいい! 上手上手~!」
ぱちぱちと拍手。
「おねーさん、ミケのも見てよ。ハート作ったのよ」
あら、ほんとにハートだ。
「可愛いね~。ミケちゃんも上手よー」
「ボクは、基本の兜を」
「クロちゃんもお上手!」
拍手連発。
「クロ、次の教えて」
「ミケにもー」
「いいよ。えっとね……」
三人とも、再びペーパーワールドに没入していきました。私も、お仕事ワールドに没入しましょう。
すらすら……すいすい……。
「クロ、おはじきしない? ちょっと、折り紙飽きちゃった」
「ボクはいいけど、アメリはどう?」
「いいよー!」
お、今度はおはじきですか。折り紙をしまう音と、バラバラとおはじきをばらまく音に続き、じゃんけんぽん。
子供たちの悲喜こもごもな声と一緒に、かちん、かちん、とガラス同士がぶつかる小気味いい音が響く。
「よーし! 勝ったー!」
「お見事、ミケ」
「おお~! ミケすごい!」
アメリとクロちゃんが拍手する。
「ミケちゃん勝ったの? おめでとー!」
「まーね!」
私も拍手を送ると、胸を反らしてドヤってました。ほほえま。
「紅茶淹れてくるから、二回戦やろー。おねーちゃんも飲む?」
「せっかくだし、いただこうかな」
アメリちゃん、かいがいしいですねえ。
娘の働きを無駄にしないためにも、筆を進めよう。
すらすら……。
「ただいまー。はい、おねーちゃん」
「ありがとう」
「みんなのも!」
二人にお礼を言われるアメリちゃん。
一服中につき、雑談中の三人娘。
「そうだアメリ、クロ。優輝が、今度サイクリング行きましょうって誘ってるけど、どう?」
なんですと!?
「ミケちゃん。私、その話聞いてないわ」
「あれー? 神奈おねーさんたちにも、話いってるはずだけど」
ええ~? LIZE起動。あ、ほんとだ。私のいないときに話が出てたわ。
LIZEといえば、昨日は意識を取り戻したまりあさんが、例によって土下座モードだったっけ。まさか、ノンアルで酔うとは予測できないし、みんなおおらかだから、「気にしないでください。今後気をつけましょう」って書いてたけど。
「ごめんミケちゃん、入れ違いになってたわ。話の腰折ってごめんね」
「どーいたしまして。でね、T川っていうのが市の南にあるんだけど、そこへひとっ走りどうですかって」
「おお~。そんな川があるんだ」
そういえば、猫時代含めて、あのへんにアメリ連れて行ったことなかったな。
「ボクも、あまり遠くまで行っちゃダメって言われてるんで、T川の名前は知ってるけど、あっちまで行ったことはないな。毎夏、花火大会してるんだよね。見たいな、花火」
「花火は別口で計画してるらしいわよ。で、神奈おねーさん」
「ほいっ!?」
突然話を振られちゃいましたよ。
「神奈おねーさんが『はんぼーき』抜けるのっていつ?」
「うーん、少なくとも月末までには両原稿仕上がってないとだから、八月かなあ?」
「じゃあ、八月にどう? 優輝、神奈おねーさんのはんぼーき抜けたら、やりましょうって言ってたから」
いやはや、私中心にスケジュール回していただいて恐縮です。
「アメリはいいよー。おねーちゃんは?」
「八月の初頭になるけど、かくてるの皆さん的には大丈夫なのかしら? ほら、コミットあるじゃない?」
「それは、おねーさんが直接訊いてちょーだい」
ごもっとも。というわけで、LIZEにその旨書き込んでおく。
さて、あとは子供たちで話し合ってもらうとして、お仕事しませんと。
その後もわちゃわちゃと、T川とサイクリングについて話し合ってる子供たち。仕事に集中してる私は「なんか喋ってるな」程度の把握具合。
あ、そうだ。
ちょっと手を休めてLIZE起動。あ、やっぱり久美さんとまりあさんは不参加か。
お二人は、当日どうされるつもりなんだろう? ちょっと尋ねておこう。
あとは……近井さんご一家もか。ともちゃんが自転車乗れないから、当然といえば当然かな。
私があれこれ思案・質問してる間に、子供たちはお茶を飲み終わって、おはじき・ラウンドツーを開催している模様。相変わらずの、悲喜こもごもと、小気味よい衝突音が聞こえます。
どうも手が止まりがちだな。お仕事しませんと。集中~!
すいすい……。
「やったー! 二連勝!」
「おお~。ミケすごい!」
「おめでとう。筋がいいね」
アメリとクロちゃんが、拍手してます。私も、三人のほうを向いて拍手。相変わらず、ドヤってました。
ほほえましいなあ。さて、お仕事お仕事。繁忙期は辛いね。来月は来月で、お盆進行だしなあ。
「むう~! V3取りそこなった~!」
悔しそうな、ミケちゃんの声。第三ラウンドは、クロちゃんが制したようです。
その後、三人は「大航海世代」へと河岸を変えた模様。
アメリが紅茶のおかわりを淹れに、背後を通り抜けていきます。ミケちゃんが、代わりにセッティング。
「ただいまー」と戻ってきたアメリに、皆で「おかえり」を言う。
その後、三人は仲良く一勝ずつし、時刻も夕方に。夏は夕方になったのが、分かりづらいよねえ。
「それじゃー、バイバイ」
「さようなら。またいつでも誘ってね」
二人はそれぞれ、家路につきました。
あ、そうそう。久美さんとまりあさんは、サイクリング当日、二人で駅前にお買い物に行くそうで。どんなお話をするのか、想像しにくい組み合わせね。
さーて、晩ごはん作って、お仕事して。ガンバルゾー!
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