神奈さんとアメリちゃん

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第百八十三話 お雑煮がまだだった!

公開日時: 2021年4月26日(月) 17:01
文字数:2,289

今日もペンを走らせふふっふ~。なんて呑気な脳内ソングを流していると、「そろそろお昼の買い出しに行きなっせ」とばかりにスマホのアラームが鳴りました。おおう、もうそんな時間ですか。筆がノッてると時間が経つのが早いねえ。


「ほーい、アメリちゃん。今日もお買い物行きましょーか」


「おお~!」


 後ろで漢字の書き取りをしていたアメリに話しかけると、立ち上がってお出かけの準備を始める。


 アメリにもそろそろ新しいお勉強教えてあげたいなあ。繁忙期だけど筆の進みも快調だし、少し時間作って教えてあげようかな。


 ともかくも、今はごはん優先! いつものスーパーにれっつらごー!



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、やって来ましたいつものスーパー!


 チラシチェーック! 鶏もも、お野菜各種、練り物がお安いですって。特に大根が安いなー。


 とりあえず大根は抑えておくとして、ここからどう組み立てるか。煮物なんかも良さそうだけど……。煮物、煮物……あっ! うち、今年お雑煮まだ食べてない!


 丸餅入れたお味噌汁に花鰹をかけただけという、超絶シンプルな福井式のならお手軽だけれど、こうして大根だの鶏ももだのが安いし、東京式で作ろうかな。お餅もすぐに傷むわけじゃないけど、なんとなく一月のうちに消費しておきたい。


 よし、昼夜はお雑煮祭りといきましょー!


 となると、鶏もも、大根、里芋、しいたけ、人参、小松菜、紅かまぼこ……。こんなもんかな? 三ツ葉も買っちゃおー! 小松菜とかまぼこのお吸い物とかも作ったら美味しそう。


 さて、こちらはこんなものだけど。


「アメリは何か買いたいものあるー?」


「ん……これなーに?」


 アメリが手に取ったのは、駄菓子コーナーの「バルーンガム」。


「それ、ガムっていう、飲み込まずに噛んで味わうお菓子だよ。そのガムは、ちょっとコツがいるけど風船みたいに膨らませられて面白いの」


 説明すると、「おお~!」と瞳を輝かせてグレープ味を一個かごにイン。アメリちゃん、お小遣い派手に使わないよねー。


 それじゃ、お会計して帰りましょうか。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまを言って、手洗い&うがい。アメリのこないだの予防接種も検査も特に異常なかったし、今月も大過なく過ごせるといいなあ。


 ノーラちゃんも、お注射を多少我慢できるようになったようで何より。


 そのへんの雑感はさておき、お昼を作り始めるとしましょうか。レシピ動画&脳内BGMスイッチオン!


 お水を張った寸胴鍋と中鍋を中火にかけ、温めまーす。で、今のうちに仕込み!


「アメリちゃん、お仕事です。手分けして具材を切っていきましょう」


「おお~!」


「まず、大根と人参の皮をピーラーで剥いてくれる?」


 必要ぶんを切って渡すと、「りょうかーい!」と、しゅっしゅ皮を剥いていく彼女。私は同時進行で鶏ももの皮を外し、ひと口小のサイズに切っていく。これに、お醤油と料理酒を小さじ一杯ずつふりかけておく。


「できた!」


「お上手! じゃあ、このしいたけとかまぼこを五ミリ……このぐらいの厚さに切ってくれるかな?」


 洗ったしいたけの石突きを取り、かまぼこは包丁の背できれいに板から剥がし、彼女のまな板に乗せる。


「まかせて!」


 一所懸命切るアメリ。


 最近は見ていて危なっかしさがなくなってきたので、私は私で大根と人参を適量扇状に切り、さらに小松菜も切って中鍋でさっと茹でる。その後、小松菜は流水に晒す。


「これでいい?」


 出来栄えを尋ねてくるアメリ。ちょっと不揃いだけど、上出来!


「オッケーよアメリちゃん! その調子! じゃあ、大きいお鍋に大きいほうの鰹節花鰹を、軽く一掴み入れてちょうだい」


 「わかった!」と投入する彼女。今のうちに、里芋の皮を剥き面取りする。これも中鍋に入れ、三分煮る。


「沸騰しそうになったら火を止めて」


 気泡音が聞こえてきたのでお願いする。「はーい」と火を止めるアメリ。


 さあ、ここからは私のオンリーステージだね!


 まず、玉杓子で沈んだ花鰹を除去。再度中火にかける。続いて、顆粒の昆布だしを投入。似終わった里芋を取り出し、これも流水に晒す。


 で、大根、人参、里芋、しいたけを寸胴鍋に投入! 沸騰したら、ももとかまぼこもイン!


 アク取りをしつつ、具材が柔らかくなってきたら、醤油、料理酒、みりんを2:2:1の割合で適量投入。塩で味を整えて……うん、こんなもんかな?


 お餅をレンチンしてお椀に入れ、具とつゆを注ぎ、最後に小松菜と三ツ葉を添える。


 完成~! はー、つっかれたー。でも、アメリのおかげでだいぶ助かったわ。


「手伝ってくれてありがとう、アメリ。おかげで、すごくスムーズにできたよ」


 にっこり微笑んで頭を撫でると、「えへへ」と照れくさそうにもじもじする。可愛い。


「じゃあ、お茶をれたらいただきますしよっか」


 お茶を注ぎ、エプロンを外して対面に座る。


「「いただきます!」」


 ごくっ。まずはおつゆの具合から。うん、いい味だと思う!


 お野菜たちも、ちょうどいい柔らかさ。これに、もも肉の旨味とかまぼこの歯ごたえが実にいい塩梅。


「美味しい!」


「ありがとう。アメリも手伝ってくれたおかげだよ」


 お陽様笑顔のアメリに、ふふと微笑む。


「晩ごはんのぶんもあるからね。今日はお雑煮……この料理の名前ね、の日だよー」


 使いきれなかった野菜などは、明日にでも別の料理にすればよし!


 ふう。美味しゅうございました。


 二人でごちそうさまを言い、お茶を飲みながら雑談に花を咲かせる。


 大好きだしやりがいのある仕事だけど、大変でないといえば嘘になる。しかし、こうして愛しのアメリがいてくれるだけで、体にすごく元気が湧く。アメリさえいれば私にエナジードリンクは不要だね!


 さーて、お片付けと歯磨きしたらお仕事頑張りましょ!

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