神奈さんとアメリちゃん

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第百十七話 いい肉の日!

公開日時: 2021年4月24日(土) 08:01
文字数:2,763

「こんにちは! 今日は、いい肉の日ですね!」


 十一月二十九日の午前十時頃、バンザイ猫スタンプとともに優輝さんからこんなメッセージが唐突に届きました。


「というわけで、お昼にうちでBBQしましょう!」


 続いて、サムズアップ猫スタンプとともに優輝さんイズムあふれるご提案。


「こんにちは。じゃあ、お肉買ってきますね」


 優輝さんのことだから、またおごりを言い出すだろうと思い、先手を打たせていただく。


「えー!? ここは、うちが持ちますよ! 言い出しっぺでホストですからね!」


 再びサムズアップ猫スタンプ。テンション高いなー。まあ、こうおっしゃると思ったので秘策があります。


「まあまあ。みんなで持ち寄ったほうが、より楽しいじゃないですか」


 するとしばし間があって、「一理ありますね……」と悩み猫スタンプとともに返信が。うんうん、彼女の根幹って「みんなで楽しみたい」だから、そこを攻めればいいのよね。


「というわけで、スーパーまでひとっ走りしてきますね!」


 と返す。「いってらっしゃーい」と、優輝さんがサムズアップ猫スタンプ三度みたび。そういえば、このスタンプ買うのすっかり忘れてた。まあ、あとでいいか。それより、お肉お肉!


「アメリー。お隣さんでバーベキューするよ! 今日はお肉持っていくから、スーパー行くよー!」


 ブロック遊びをしていたアメリに話しかける。


「おお~! 行く行く~!」


 すっくと立ち上がり、拳を突き上げテンションアゲアゲ! では、れっつらごー!



 ◆ ◆ ◆



 やって来ました、いつものスーパー! チラシチェーック!


 おお、いい肉の日だけあって、お肉全般が安い! 気が利くぅ!


 何買っていこうかなー。まず、結構いいカルビ肉。うん、これはとりあえず抑えておきたい。今まで何度もごちそうになってるから、せめていいのをご提供したいよね!


 あとは、変わり種を一個持っていきたいな……。お、こちらも結構いいハム。これ、厚切りにして焼いたら美味しいんじゃない? こちらもかごにイン! う~、私までテンション上がるなあ。


 バーベキュー用のメンバーは、最後に瓶ビール。これも持参していきましょ。アメリにはコラ・コーラ、と。


 お昼がゴージャスだから、夜は軽めでいいよね。いい肉の日ということで、ベーコンエッグでいこうかな。千切りキャベツも買って……よし、こんなもんかな! お会計して帰りましょー。



 ◆ ◆ ◆



 さて。戻ってきたはいいけど、お昼までもうちょっとあるね。LIZEのチェックでもしましょうっと。


 おお、まりあさんと白部さんもご参加されるそうで。白部さん、土曜がふさがって今日日曜が空いてたのね。良きかな良きかな


「ただいまですー」


 と打ち込むと、皆さんから「おかえりなさい」と返信が来る。まりあさんだけ既読が付かないな。多分、こちらに来る準備をしているのでしょう。あ、そうだ、今のうちに例のスタンプ買っておきましょ……よし、購入完了!


「私もスタンプ買っちゃいましたー」


 バンザイ猫スタンプとともに送ると、「おお~!」「いいですね!」などと、メッセージをいただく。ふふふ、これで私も猫スタンプ勢の仲間入りです!


 そんな感じで雑談で時間をつぶすことしばし、もうすぐ正午。これから向かう旨を述べ、アメリと一緒にお肉とビールを手にお隣へ!


「こんにちは~」


 改めてご挨拶。かくてるの皆さんとミケちゃんも、ご挨拶を返してくれる。ややあって白部さん、更に少し遅れてまりあさんがやって来ました!


 皆で、「こんにちは」とご挨拶を交わす。


「すみません、少し遅れてしまいました」


 恐縮するまりあさん。


「いえいえ、わたしがお迎えに行けばよかったですね。ご提案しようと思ったら、ご連絡がつかなかったもので」


 と、由香里さんがフォローを入れる。


「ああ、多分入れ違いになってしまったんですねー」


 と、会話を繰り広げる二人。


「白部さん、あれからノーラちゃんいかがですか?」


 優輝さんたちがグリルの面倒を見ていて手が離せないようなので、ちょっと所在なさげにしている白部さんに話しかける。


「はい、とっても元気ですよ。うちにすっかり馴染んだのか、もうやんちゃなぐらいで」


 口に手を当て、ふふと微笑む彼女。


「良かったですねー。白部さんのお株を奪っちゃいますけど、元気が一番ですね!」


 そんな会話をしていると、「火が点きましたー」と優輝さんの声。お肉を取り出すと、まりあさんと白部さんも持参のお肉を取り出す。


「じゃあ、難しい挨拶は抜きにして始めましょう!」


 優輝さんの合図で、かくてるの皆さんがコップ入りのビールを配ってくれる。ミケちゃんにはアルピス・ソーダ。まりあさんも、自分とクロちゃんのお茶を用意してきたみたい。


「全員、飲み物受け取りました? ……うん、大丈夫みたいですね。それじゃ、カンパーイ!」


 引き続き優輝さんの音頭取りで、コップを掲げる一同。私が渡したお肉も、グリルの上でじゅうじゅうといい音を立て始めている。


「ちょっといいお肉買ってみました。今までのぶん、召し上がってくださいね」


「いやー、ありがとうございます! ……うん、美味しい!」


 焼き上がると、さっそく箸をつける優輝さん。彼女は厚意というものに対して、送り手としても受け手としても屈託がない。いい意味で遠慮がないタイプで、ほんと快活を絵に描いたような人。


 私も、誰のお肉かわからないけれど、適当なのをいただきましょう。タン塩ね、これは。うん、美味しい~。


「あ、それわたしのです。いかがですか?」


 まりあさんが、具合を尋ねてくる。


「美味しいです~! いいタン塩ですね!」


 笑顔で答えると、まりあさんも「ありがとうございます」と笑顔で返してくれる。


 ここで、ビールをぐびっと! 効くぅ~!


 続いてホルモンをいただく。こちらは白部さんが持参されたとのこと。これまた美味しい。


「美味しいです、白部さん」


 と伝えると、彼女も「ありがとうございます」と笑顔に。笑顔の連鎖。とってもいいね!


「ハム、これ神奈さんのっすよね。美味しいっす~」


 さつきさんは変わり種に心引かれたのか、ハムを食んでいる。


「ありがとうございます」


「神奈サン、焼酎イケる口?」


「あ、はい。あまり飲まないですけど、いけるほうです」


 久美さんから尋ねられ、返答する。


「おお、いいね! 鹿児島のいい芋焼酎が手に入ってさ、グッといってよ。ストレートと水割り、どっちがいい?」


「じゃあ、水割りでお願いします」


 久美さんが別のコップに入った焼酎を手渡してきたので、グッといきました。くぅ~! 喉が熱い!


「美味しいですね!」


「だろ? いいよなー、これ」


 しみじみうなずく彼女。


 アメリも、子供同士でおしゃべりを楽しみながら、お肉をいただいている。由香里さんが子供たちのオーダーを聞き、望みの物をお皿に載せていく。


 平和だなあ。そして、楽しい。人とのご縁の、実に素晴らしきこと。こんな幸せな日々が、ずっと続きますように!

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