神奈さんとアメリちゃん

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第五百二話 夏祭りでGoGo!

公開日時: 2022年2月20日(日) 21:01
文字数:2,828

 そんなわけで、夏祭り!


 会場に出かけるべく、アメリと支度。


 ほんとはねー。私もアメリも浴衣で武装したかったけど、私、干物だし、アメリは用意してないから、せめてちょっといい服でおでかけです。


 バス停でバスを待っていると、白部さん、続いて近井さんご一家と合流! 互いにご挨拶。


「こんばんは。今日は楽しみましょう」


 女性陣四人とも、おめかししていますね。ノーラちゃんは、相変わらずのショートパンツだけど。良夫さんは、わりとざっくりした格好。


「アメリちゃん、ロングスカートに変えたんですね」


 親子ちかこさんが、目ざとく気づく。


「はい。せっかくのお祭りですから、ちょっといいところ見せたい的な?」


 我ながら、意味不明な供述。


「こういう格好、久しぶりー」


 スカートをつまんで、ひらひらと振る娘。


「とっても可愛いよ」


「そう? えへへ」


 親子ちかこさんに褒められて、嬉しそう。アメリちゃんも、女の子ですねえ。


「かくてるの皆さん、遅いですね。もうすぐバス来ちゃいますけど」


 五人が合流してこないので、不思議に思い、LIZEを見てみる。


「あら。先に到着しちゃってるみたいです。ミケちゃんを迎えに行ったほうが、早いからって」


「そうなんですか。宇多野さんは……角照さんたちとご一緒じゃないみたいですね?」


 親子ちかこさんと白部さんも、スマホチェック。


「あ、来ましたよ。とりあえず、乗っちゃいましょう」


 緑のマイクロバスが来たので、百円払って乗ると……。


「まりあさんにクロちゃん! こんばんはー」


 互いに、迷惑にならないよう。控えめボイスで挨拶を交わす。


 まりあさんもクロちゃんも、きれいな浴衣姿。まりあさんは朝顔、クロちゃんは金魚柄。


 浴衣、似合ってますよという意思を込めて、親指と人差指で輪っかを作り、続いてサムズアップします。


 意図が通じたようで、まりあさんは微笑み、クロちゃんは恥ずかしそうにうつむいてしまいます。


「そうだ。かくてるの皆さんなんですけど、先に到着しているらしいです」


 これだけは、伝えておいたほうがいいと思い、小声でご報告。


「そうなんですか。ちょっと今、スマホ使えませんから、確認できませんけど」


 私たち九人、立ちんぼ状態なので、スマホはしまってます。


 お祭りだからか、乗客も多め。まりあさんみたいに、浴衣の人もいるね。


 後は、三十分ほど無言でゆらり揺られて、F駅で降車~!


「ふう。浴衣、似合ってますよー!」


 やっと会話できる状態になったので、会場に向かいながら、みんなで改めて浴衣を褒めます。


「ありがとうございます。せっかくの夏祭りですからね」


 微笑むまりあさん。クロちゃん、また照れてうつむいちゃってます。


「昨日の今日で、ご用意したんですか?」


「いえ。わたしは元々持ってましたし、クロちゃんのはこんなこともあろうかと、六月に買ってまして」


 おお~。


「クロちゃん、浴衣着るの楽しみにしてたんですよ。去年はまだ生まれ変わったばかりで、お祭りどころではなくて」


 あー、時期的にそうですよね。


 おしゃべりしながら、アール・サイン駅ビルを突き抜けて、けやき通りに出ると……おーおー! 人だらけですねえ!


「ちょっと、優輝さんに電話かけてみますね」


 スマホを取り出し、コール。


「はーい、着きました?」


「はい。今、皆さんどちらですか?」


「境内の参道沿いで、ビール飲んでます。由香里とミケは、ジュースですけどね」


「わかりました。向かいます。……皆さん、境内の飲み物売り場らしいですよ」


 九人で祭りの様子を眺めながら、神社へGo!


「……あ、いたいた!」


 手を振ってアピールしながら、接近~。


 向こうも気づいて、カップ片手に手を振ってきます。


「こんばんはー」


 互いに、ご挨拶。


 優輝さんと、さつきさんの頬が桜色。久美さんは間違いなく一番飲んでるだろうけど、彼女、顔に出ないからなー。


「まりあさんとクロちゃん、浴衣じゃないですかー! 似合ってますよー」


 陽気にサムズアップする優輝さん。出来上がってるのかしら? まあ、普段からこんな感じだけど。


 ほかの皆さんも、浴衣を口々に褒めます。私たちも、来年は着たくなってきちゃった。


「皆さんも、何か飲みます?」


 親指で、背後の屋台を指差す優輝さん。


「そうですね。駆けつけ三杯なんていいますし、一杯買っていきましょうか」


「私も」


 上戸組の皆さんと一緒に、ビールをお買い上げ。まりあさんと子供は、ジュースにしました。


「あ、そうだ。ステージのほうで、芸人さんのお笑いショーやってるみたいですよ」


「へー。行きましょうか」


 カップを手に、一同移動。


 ステージでは、二人の男性芸人が笑いを取っていました。


「なんのお題でしょうね?」


 途中から入ったので、今の芸はわからず。次の芸を待ちます。


 お、ショートコントのはじまりー。勘違い系かー。私、こういうの好きなのよねー。


 次々繰り出される勘違いの数々に、一同爆笑! ちょっと、子供たちはいまいち、ネタがわからないみたいだけど。


 あー、おかしー。ビール、吹かないようにしないと。思わず、涙まで出しちゃいました。


 お笑いショー終了~。面白かったー! やっぱ、笑いはいいね!


「おお~。ちょっと、わからないとこあったー」


「そっかー。退屈だった?」


「んー。んんー?」


 返答に、困った感じのアメリちゃん。


「次は、子供たちを楽しませてあげたいですねえ」


「ああ、でしたら、あっちに子供向けブースがありますよ」


「いいですね、行きましょう!」


 というわけで、場所移動。


 おお、ミニSLなんて設置してある。


「乗りてー!」


「ともも!」


 ノーラちゃん、ともちゃん、ビビッと反応!


「アメリも乗る?」


「うん!」


 元気にうなずく我が娘。


「ミケはどうする?」


 優輝さんが、ミケちゃんにに尋ねる。


「ええー……? コドモっぽくない?」


「ミケおねーちゃん、一緒に乗ろう!」


 手を、きゅっと握るともちゃん。


「むう……可愛い妹の頼みじゃ、しょうがないわね!」


 ふぁさあっと髪をかき上げ、格好をつけるミケちゃん。ほほえまー。


 というわけで、SLの到着を待って、五人で乗車。


 やーん、可愛い! エモですよ、エモ! スマホで撮影ボタン連射!


「いいなー、こういうの! な、とも!」


「うん!」


 降車後、余韻を楽しむノーラちゃんと、ともちゃん。やたら気が合いますね。


 このあとは、焼きとうもろこしや、かき氷を味わうなど、お祭りを満喫!


「あ、すみません。私たちは、そろそろ引き上げますね」


 時計を見て、親子ちかこさんが申し訳なさそうにおっしゃいます。


「お疲れ様でした。楽しかったです。また、こういった機会に!」


 一同で、手を振って見送り。


 その後も、水風船釣りをしたり、射的に挑戦したり。例によって、私は成果ゼロ。とほほ。


 金魚すくいもあったけど、うちには飼育設備がないのと、「命を預かることの責任」の約束があるので、スルー。


「あー。そろそろ上がらないと、バスなくなりますね」


 スマホを見て、優輝さんが残念そうに声を上げる。


「では、引き上げましょうか」


「ですね」


 楽しい時間はあっという間に終わり、帰途につくのでした。


 浴衣を用意して、また来年来よう!

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