神奈さんとアメリちゃん

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第四百二話 スポーツの……夏? ―前編―

公開日時: 2021年11月8日(月) 21:01
更新日時: 2021年11月9日(火) 20:56
文字数:2,059

「お疲れ様でした。二人もまた明日ね」


 勉強会もお開きになり、三人にぺこりとお辞儀。


 アメリも、「また明日ー! ばいばーい!」と、ケイティちゃん傘の下で手を振る。


 三人からも別れの挨拶とお辞儀をいただき、それぞれの家へと帰っていく。


「ふー。バッチリ勉強できた?」


「うん!」


 満面の笑顔を浮かべる愛娘。さすが、白部先生。良きかな良きかな


「じゃ、お夕飯作ろうか」


 連れ立って、屋内へと戻る。


 明日は体育館でスポーツ。クロちゃんが参加するかは、まだ未確定だけど、白部姉妹とミケちゃんは内定済み。


 今日は、コロッケにでもしましょうか。さすがにイチから手作りは辛いので、冷食を揚げるけど。



 ◆ ◆ ◆



 あ~、美味しかった~!


 コロッケもたまに恋しくなるわよね。じゃがいもの調理法としては、肉じゃがと双璧なんじゃないかしら?


 アメリも、「美味しかった~」と大満足。良きかな良きかな


 あ、そうだ。明日のスポーツウェア用意しないと。


「アーメリちゃん、歯磨きして寝室行きましょ~」


「はーい」


 というわけで、移動~!



 ◆ ◆ ◆



「えーと、この段だったと思うんだけどな……?」


 衣類タンスをがさごそ。普段のスウェットじゃ干物すぎるし、白Tデニムは動きやすいけど、スポーツに向いてるかというと……。


 たしか、むか~し運動を始めようと思って、三日坊主でタンスの肥やしになった、スポーツウェアがあったはず……。


 がさごそ。がさごそ……。


 お? これでは?


 じゃん! と広げると、ゆったりした灰色のスポーツウェアが出てきました!


 いやー、久しぶりだねえ、チミィ!


 まだ入るかなあ?


 ……お、入る入る。ありがとう、我が体質と運動ゲーム!


 アメリのスポーツウェアはないから、外出着で代用だね。ショートパンツだし、それほどおかしいことはないでしょう。今度、スポーツウエア買ってあげよう。


 さて、明日の予行演習というわけでもないけど、おなじみのボクササイズでもしますかー。



 ◆ ◆ ◆



「おはよーございま-す」


「おはよー!」


 九時半、生涯学習センターのロビーに集合! 椅子に、久美さん、ミケちゃん、クロちゃんが腰掛けてました。


「おはよーさん」


「おはよー」


「おはようございます」


 ご挨拶返しをいただく。白部さんたちはまだみたい。


「やはり、優輝さんはいらっしゃらないんですか?」


 今日は来られないと、前日伺ってはいたけれど。


「あいつ、ちょっと仕事が山場でね。じゃあ誰が保護者代理するかつったら、スポーツといえばウチでしょってなった」


 なるほど。それを理解したところで、もう一つ気になったのが……。


「クロちゃん、来ないかと思ってた」


「お姉ちゃんが、たまには運動してきなさいって」


 そうね。彼女、将棋盤に張り付く生活してるだろうし。


「逆に、まりあさんは今日、いっらっしゃらないのね?」


「皆さんがいますし、信頼して一人で行かせてもらえました。あと、仕事もありますから」


 ほむ。宇多野姉妹は、順調に親離れ・子離れが進んでる感じかあ。


「あ、そうだ。今、スマホ持ってる?」


「はい。……これです」


 黒の、渋いスマホがじゃじゃーん!


「おー、すごいすごい。やっぱり、アプリとか使わせてもらってるの?」


「LIZEと、検索エンジンと、動画サイトと、将棋ソフトですね。おかげで、あまり将棋盤を使わなくなりました」


「あら、そうなんだ」


 パチンパチンと音を立てて駒を打つ、彼女のイメージが崩壊してしまった。


「世の中、強い人が多いですね。とても勉強になります」


 おお、きりりとした表情が、可愛くも美しい。


「ミケだって、お姉さんだから一人で来れたのよ? 久美まで来なくても良かったのに」


「スポーツを舐めちゃいけないぜ。経験者の指導がないと、怪我の元だからな。怪我で踊れなくなったら、ヤだろ?」


「まあ、それはそうだけど……」


 ぐうの音も出ないミケちゃん。ダンスを習う彼女にとって、指導者という存在の大切さが、身にしみるのだろう。研究畑とはいえ、お医者さんも一緒だし、心強いね!


「すみませーん、遅くなりました!」


 おっと。そんなことを考えていたら、ちょうど白部姉妹登場!


 互いに挨拶を交わし、さっそく、奥の体育館側へと移動。


 土足厳禁なので、上履きのない私とアメリは裸足に。これも、今度買ったほうがいいなあ。


「で、今日は何をしましょう?」


「これなんかどう?」


 久美さんがスポーツバッグから取り出したのは、二本のラケット。


「テニスですか?」


「んにゃ、バドミントン。由香里の私物でさ、あいつ、昔買ってみたはいいけど、結局続かなかったらしくて。『良かったら使って』って」


 あはは、由香里さんにもそういうとこあるんだ。いや、スポーツウェアをタンスの肥やしにしていた私が、笑えた立場じゃないけどね。でも、親近感湧くな。


 料金を受付で支払う。アメリたち猫耳人間の利用について、少し係員さんの間で話し合いになったけど、市外子供料金で利用OKという形に落ち着きました。市内の子供料金・五十円が、百円になる程度なので、大差なくてありがたい。


 これで、最大二時間の利用が可能に。それじゃ、時間ももったいないし、やっていきましょー!

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