ついにミケちゃんの誕生日! 六時少し前に、皆でかくてるハウスに集合しています。
私もパーティー用に華やかめの服でおめかし。アメリも久々にスカートモード。
いつものようにリビングで談笑していると、優輝さんが「用意できましたー!」と、ダイニングからひょっこり顔を出す。
そんなわけで、全員でぞろぞろと移動。
「ケーキは由香里に焼いてもらったんですけど、切り分けはあたしがやりますね。でもミケ、ちょっとその前に見てご覧」
優輝さんが冷蔵庫から取り出したケーキは、可愛らしい熊さんのお顔をした、おっきなケーキ!
「やだ、なにこれ可愛い!!」
熊好きのミケちゃん大興奮!
「じゃ、ろうそく立てるね。ミケは十歳の誕生日ってことにするから、十本」
優輝さんが熊ちゃんにろうそくを突き立てようとすると、「あ、ああ……」と、ミケちゃんが切ない声を上げる。
「……やめとく?」
「うう、でも火を吹き消すのって盛り上がるわよね……」
懊悩するミケちゃん。
「うーん。一応言っとくけど、このあと結局切り分けるしねえ」
優輝さんも困った様子。
「ミケ! みんなで美味しく食べてあげたほうが、熊さんも喜ぶと思う!」
ここでアメリがアシスト。
「そうよね。熊ちゃん、ごめんなさい! 優輝、ぶすっといっちゃって!!」
「了解!」
というわけで、ろうそく十本が立ちました。「ああ~……」と、やっぱり切なそうなミケちゃん。
ともかくもろうそくに火が灯され、ふーっと吹き消す我らがアイドル。
みんなから、「お誕生日おめでとうー!」と拍手が起こる。
ナイフが入れられると、「ああああ……」と、さらに切なそうなミケ姫。優輝さん、やりにくそうね。
それでもなんとか、無事カッティングが終わり、皆にケーキが配られる。
最初にミケちゃんに、「どこが欲しいか」尋ねたので、彼女は「お口」を指名。ホワイトチョコのお口が載った部分が配られました。
かくして、いただきますの合唱!
「うう~、熊ちゃんごめんね……」
ちょっと切なそうな表情をしつつ口に運ぶミケちゃん。しかし、口に入れた途端、瞳をキラキラ輝かせて「美味しい! さすが由香里ね!」と絶賛。
どれ、私もいただきましょう。あら! ふわりとしていて、甘くて、ちょっとだけビターで。これはたしかに美味しい!
みんなも大絶賛し、「ありがとうございます」と、照れる由香里さん。
かくして、初手のケーキはみんな完食。さて、優輝さんの手料理は何が出てくるでしょうか!?
「ふっふー。ずばり! ミケの大好きな、テリヤキチキンとエビマヨのピザを焼きましたよ!」
一同から、「おお~」と声が上がる。ミケちゃん、しっぽをピンと立てて、それはもう嬉しそう。
さすがに久美さんも、今夜のピザには苦情を言わない。まあ、あれからどのぐらいの頻度でピザが食卓に上ったのかわからないけれど。
「美味しい……! 美味しいわ、優輝!!」
キラキラ瞳のミケ姫。
「料理は愛情だからね。心を込めて焼いたよ!」
微笑み合う、角照姉妹。
それにしても、実際これまた美味しい。今まで彼女のピザを何度かいただいたけど、会心の出来だと思う。愛こそ、最高の調味料ね!
美味しゅうございました。それにしても、ケーキ+ピザとか、あとで運動しなきゃな。
ごちそうさまの後はリビングに移動して、プレゼントお渡し会。
「あたしからは、これ」
大きな紙包みを渡す優輝さん。
「開けていい?」
「もちろん!」
出てきたのは、おっきな熊のぬいぐるみ! ……って、熊のぬいぐるみ? あ、アメリが買ったの……。
かくてるのほかの皆さんも、順に様々なプレゼントを渡しいていく。久美さんは、ミケちゃんのために曲をわざわざ作ったそうで。手が込んでるなあ。さすが子供好き。
「しかし、ミケ子でっかくなったよなあ~」
自分の頭の高さにやった手をミケちゃんの頭上に水平移動させ、成長を実感する。ぼそっと「やばいな」と聞こえた気がするけれど、聞かなかったことにしておきましょう。
「ミケちゃん、こないだT総で測ったら、百四十.四でしたっすよ。姉さん、追い抜かれる日もそう遠くないっすね!」
朗らかに言うさつきさんの脇腹に、チョップが叩き込まれました。悶絶する彼女。なんで、わかっていて地雷を踏みに行ってしまうのか。
気を取り直して、まりあさんからは千多ちゃんのソロCD。これも、私のようにリクエストを訊いて買ったものかもしれない。それが贈られ、白部さんからはダンスレッスンとボイストレーニングのDVDが贈られる。さすが、お医者様って感じの(?)渋いチョイス。
「私からは、約束の写真集」
「ありがとー! 神奈おねーさん!」
たいそう喜ばれました。良き哉良き哉。
で、子供たちからは……熊。熊。熊。熊のぬいぐるみが三つ。優輝さんのも入れたら四つ、だだ被りしてしまいました。あちゃー、という表情になる四人。
「ダイジョーブよ! 家族が増えてにぎやかになるわ! あとでステキな名前つけてあげるからね!」
厚意を無下にしない。さすがお姉ちゃん。でも、どんな名前つけるんだろう……。今までの彼女のネーミングセンスを思い出し、ちょっと(うん……)という気持ちになる。
ともかくも、お渡し会も無事終了!
「みんな、ありがとー! ミケ、今日のことゼッタイ忘れないからね!!」
満面の笑顔を見せる彼女。一同から、改めて拍手が送られる。
優輝さん、涙ぐんでしまって……。
こうして、猫耳幼女四人組のお姉さん、ミケちゃんの誕生パーティーはつつがなく終わりました。
この子たちも、どんどん大きくなっていく。喜ばしい反面、ずっと子供でいてほしいような気持ちもある。多分、一番そう思っているのは優輝さんだろう。
でも、それでもなお、愛娘の成長を心から喜んでるに違いない。
ミケちゃん、私も今日という日を絶対忘れないよ。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!