神奈さんとアメリちゃん

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第四百七十七話 お仕事ハケたよ! お祝いケーキ! ―前編―

公開日時: 2022年1月26日(水) 21:01
更新日時: 2022年1月27日(木) 18:28
文字数:2,459

「おーわーっ……たぁーっ!!」


 バンザイ神奈スタンプと化すワタクシ。


 いやー、苦節三ヶ月! 連載と読み切り、両方描き終わりましたよー!


 真留さんに、送し~ん! リテイク来ないでよー?


 PCの時計を見ると、三時か。昼のうちに片付いて良かった~。


「おお! おねーちゃん、お仕事終わったの?」


「はーい。終わりましたよーアメリちゃん! これで私はしばらく自由よーっ!」


「おおー。撫で撫でしてあげる」


 ちょこちょこデスクにやって来たアメリちゃんに、頭を撫でられます。えへへ~。


 それを、ぽかーんと見る、三人娘。


 そう、今日は猫耳幼女四人が、そろい踏みです!


 ノーラちゃんのサッカークラブは、水曜が中休みとのことで、今日は白部さんもいらしています。


 白部さんも、猫耳幼女の成分を吸引しちゃうような人だから、私の奇行を、温かい眼差しで見ていらっしゃいます。類は友を呼ぶ。


「神奈おねーさん、ちょっと引くわー……」


「だって、嬉しいんだもーん! ミケちゃんも、お仕事するようになればわかるよ~」


「ごめん、わからないと思う。優輝たちやらないもの、そういうの」


 ミケちゃんの苦言を、馬耳東風なワタクシ。横で、密かに「うっ」と、ダメージを受ける白部さん。


「まー、あれよ。家庭ごとに、親子の接し方があるってこと! さて、みなさん。原稿が完成しました。こういうとき、私がやることはなんでしょー?」


 首を傾げる四人を除き、しゅびっと挙手する愛娘!


「はい、アメリちゃん!」


「ごちそう作る!」


「正解です!」


 拍手ぱちぱち。ほかの四人も「あー」と、得心がいったようです。私、いろいろ作っては配り歩いてたからね。


「というわけでー。みんなで、ケーキでも作らない?」


 子供たちに問うと、「ケーキ!」と、しっぽをピンと立てる。


「白部さんもいかがでしょう?」


「そうですね。勉強の休憩も兼ねて、そうしましょうか」


「では、クロちゃん以外は自転車持って来て、うちの前に集まってくださいませ!」


 ぽんと手を打つと、「はーい」と皆起立。そいじゃー、門に行きましょー。



 ◆ ◆ ◆



 何しろ、お隣とお向かいさん。ささっと再集合!


「では、白部さんは最後尾をお願いします。しゅっぱーつ!」


 大人二人で子供たちを挟み、きこきこといつものスーパーへ!


 ……とーちゃーく!


 今日は、おなじみのBGMも、ファンファーレのように聞こえますねえ!


「上機嫌ですねー、猫崎さん」


 白部さんも、つられて嬉しそう。


 店内もまた、猫耳ちゃん座敷童子ーズ勢揃いで、テンションアーップ! なんかおばあちゃんに、拝まれちゃってますよ。


「なー、カン姉。どんなケーキ作るんだー?」


「んー? ミケちゃんとクロちゃんには、お土産にしてもらうからね、クリーム使わないタイプのかな?」


 「へー」と、興味深げなんだか浅げなんだか、よくわからない反応をするノーラちゃん。クリームこってりのが、食べたかったのかしらね?


「白部さんには、いつもお世話になっていますから、リンゴのケーキにしてみようかと思うのですけど」


「リンゴ! うわあ、嬉しいです」


 幸せそうに微笑み、胸元で手を合わせる白部さん。良きかな良きかな


「ミケは、マーマレードのが食べたいわ」


「白部先生に譲ろうよ。ボクたちも普段、お世話になってるんだから」


 うーん、ほんとに気が利くな、クロちゃんは。ミケちゃんは、「そういうことなら」と承諾。


「ごめんね。また今度、そういうの作ろうね」


 眼前で手を立て、「ごめん」のポーズ。


「なんだか、悪い気がしてきました」


「いいわよ、センセーの好きなので。リンゴも美味しそうだし」


 ミケちゃん、ほんとお姉さんになったねえ……。感無量。


「私も、埋め合わせさせてもらうからね」


 と、白部さんも子供たちに約束。


「さて、では必要なものを買っていきましょうか」


 リンゴ二個と、無塩のアーモンド。粉類はうちにあるので十分だね。


 あとは卵や何や、夕・朝食用のものも買い込んでいく。


「みんなの飲み物も、買ってあげるね」


「あ、それは私に出させてください。さっそく埋め合わせということで」


「そういうことでしたら、お願いします」


 というわけで、コラ・コーラ、アルピス・ソーダ、濃い味緑茶、リンゴジュース、マスペが、白部さんのかごへ投入されました。クロちゃん、濃い緑茶でケーキ食べるのか……。


「あとは、とくに必要なものはないかな? では、帰りましょー」


 お会計を済ませ、再び自転車を漕ぎ漕ぎ、帰るのでした。



 ◆ ◆ ◆



「中は涼しいですねえ~」


 思わず、率直な感想を漏らす。自宅に戻ると、切った冷房の冷気がまだ残っていて、若干涼しい。さっそく、エアコン再起動。


 その後、みんなで手洗い。夏場でも、風邪に気をつけて悪いことはないからね。なんといっても、これから調理するし。


「では、やっていきましょうか」


 机に、必要なものを並べる。


「今回は、リンゴとアーモンドのパウンドケーキを二本作ります。……といっても、道具が人数ぶんないので、役割を決めましょうか。レシピ動画置いておきますね」


 動画を一度、みんなで流し見る。


「ええと、白部さんと私でリンゴを一センチ角にきっていきましょう。アメリは、アーモンドを刻むのをお願いできる? 三人は、生地を作ってくれるかな?」


 服が汚れるといけないので、生地をかき混ぜ隊は、アメリのエプロンを使いまわします。


 こうして、作業はわいのわいのと進んでいき、細切れのリンゴとアーモンド、そしてそれを混ぜ込んだ生地が型に入れられました。オーブンも予熱済み。


「で、ですねー」


 型を、十センチほどの高さから落とす。


「これを何回かやって、空気を抜くのがミソ・・らしいですよ」


「おー! アタシ、それやりてー!」


「じゃあ、みんなで交代でね」


 型一つにつき一人一回ずつ、計六回×二回、型が落とされました。


「これで十分じゅうぷんみたいですね。では、焼きましょう~」


 オーブンにイン!


「あとは、三十分後のお楽しみです。じゃあ、寝室に戻りましょうか。洗い物はやっときます」


 というわけで、先にみんなは寝室へ。私はささっと調理器具を洗い、後を追うのでした。


 あとは、仕上げをごろうじろ~ってね。楽しみ!

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