「おーわーっ……たぁーっ!!」
バンザイ神奈スタンプと化すワタクシ。
いやー、苦節三ヶ月! 連載と読み切り、両方描き終わりましたよー!
真留さんに、送し~ん! リテイク来ないでよー?
PCの時計を見ると、三時か。昼のうちに片付いて良かった~。
「おお! おねーちゃん、お仕事終わったの?」
「はーい。終わりましたよーアメリちゃん! これで私はしばらく自由よーっ!」
「おおー。撫で撫でしてあげる」
ちょこちょこデスクにやって来たアメリちゃんに、頭を撫でられます。えへへ~。
それを、ぽかーんと見る、三人娘。
そう、今日は猫耳幼女四人が、そろい踏みです!
ノーラちゃんのサッカークラブは、水曜が中休みとのことで、今日は白部さんもいらしています。
白部さんも、猫耳幼女の成分を吸引しちゃうような人だから、私の奇行を、温かい眼差しで見ていらっしゃいます。類は友を呼ぶ。
「神奈おねーさん、ちょっと引くわー……」
「だって、嬉しいんだもーん! ミケちゃんも、お仕事するようになればわかるよ~」
「ごめん、わからないと思う。優輝たちやらないもの、そういうの」
ミケちゃんの苦言を、馬耳東風なワタクシ。横で、密かに「うっ」と、ダメージを受ける白部さん。
「まー、あれよ。家庭ごとに、親子の接し方があるってこと! さて、みなさん。原稿が完成しました。こういうとき、私がやることはなんでしょー?」
首を傾げる四人を除き、しゅびっと挙手する愛娘!
「はい、アメリちゃん!」
「ごちそう作る!」
「正解です!」
拍手ぱちぱち。ほかの四人も「あー」と、得心がいったようです。私、いろいろ作っては配り歩いてたからね。
「というわけでー。みんなで、ケーキでも作らない?」
子供たちに問うと、「ケーキ!」と、しっぽをピンと立てる。
「白部さんもいかがでしょう?」
「そうですね。勉強の休憩も兼ねて、そうしましょうか」
「では、クロちゃん以外は自転車持って来て、うちの前に集まってくださいませ!」
ぽんと手を打つと、「はーい」と皆起立。そいじゃー、門に行きましょー。
◆ ◆ ◆
何しろ、お隣とお向かいさん。ささっと再集合!
「では、白部さんは最後尾をお願いします。しゅっぱーつ!」
大人二人で子供たちを挟み、きこきこといつものスーパーへ!
……とーちゃーく!
今日は、おなじみのBGMも、ファンファーレのように聞こえますねえ!
「上機嫌ですねー、猫崎さん」
白部さんも、つられて嬉しそう。
店内もまた、猫耳ちゃん座敷童子ーズ勢揃いで、テンションアーップ! なんかおばあちゃんに、拝まれちゃってますよ。
「なー、カン姉。どんなケーキ作るんだー?」
「んー? ミケちゃんとクロちゃんには、お土産にしてもらうからね、クリーム使わないタイプのかな?」
「へー」と、興味深げなんだか浅げなんだか、よくわからない反応をするノーラちゃん。クリームこってりのが、食べたかったのかしらね?
「白部さんには、いつもお世話になっていますから、リンゴのケーキにしてみようかと思うのですけど」
「リンゴ! うわあ、嬉しいです」
幸せそうに微笑み、胸元で手を合わせる白部さん。良き哉良き哉。
「ミケは、マーマレードのが食べたいわ」
「白部先生に譲ろうよ。ボクたちも普段、お世話になってるんだから」
うーん、ほんとに気が利くな、クロちゃんは。ミケちゃんは、「そういうことなら」と承諾。
「ごめんね。また今度、そういうの作ろうね」
眼前で手を立て、「ごめん」のポーズ。
「なんだか、悪い気がしてきました」
「いいわよ、センセーの好きなので。リンゴも美味しそうだし」
ミケちゃん、ほんとお姉さんになったねえ……。感無量。
「私も、埋め合わせさせてもらうからね」
と、白部さんも子供たちに約束。
「さて、では必要なものを買っていきましょうか」
リンゴ二個と、無塩のアーモンド。粉類はうちにあるので十分だね。
あとは卵や何や、夕・朝食用のものも買い込んでいく。
「みんなの飲み物も、買ってあげるね」
「あ、それは私に出させてください。さっそく埋め合わせということで」
「そういうことでしたら、お願いします」
というわけで、コラ・コーラ、アルピス・ソーダ、濃い味緑茶、リンゴジュース、マスペが、白部さんのかごへ投入されました。クロちゃん、濃い緑茶でケーキ食べるのか……。
「あとは、とくに必要なものはないかな? では、帰りましょー」
お会計を済ませ、再び自転車を漕ぎ漕ぎ、帰るのでした。
◆ ◆ ◆
「中は涼しいですねえ~」
思わず、率直な感想を漏らす。自宅に戻ると、切った冷房の冷気がまだ残っていて、若干涼しい。さっそく、エアコン再起動。
その後、みんなで手洗い。夏場でも、風邪に気をつけて悪いことはないからね。なんといっても、これから調理するし。
「では、やっていきましょうか」
机に、必要なものを並べる。
「今回は、リンゴとアーモンドのパウンドケーキを二本作ります。……といっても、道具が人数ぶんないので、役割を決めましょうか。レシピ動画置いておきますね」
動画を一度、みんなで流し見る。
「ええと、白部さんと私でリンゴを一センチ角にきっていきましょう。アメリは、アーモンドを刻むのをお願いできる? 三人は、生地を作ってくれるかな?」
服が汚れるといけないので、生地をかき混ぜ隊は、アメリのエプロンを使いまわします。
こうして、作業はわいのわいのと進んでいき、細切れのリンゴとアーモンド、そしてそれを混ぜ込んだ生地が型に入れられました。オーブンも予熱済み。
「で、ですねー」
型を、十センチほどの高さから落とす。
「これを何回かやって、空気を抜くのがミソらしいですよ」
「おー! アタシ、それやりてー!」
「じゃあ、みんなで交代でね」
型一つにつき一人一回ずつ、計六回×二回、型が落とされました。
「これで十分みたいですね。では、焼きましょう~」
オーブンにイン!
「あとは、三十分後のお楽しみです。じゃあ、寝室に戻りましょうか。洗い物はやっときます」
というわけで、先にみんなは寝室へ。私はささっと調理器具を洗い、後を追うのでした。
あとは、仕上げをごろうじろ~ってね。楽しみ!
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