神奈さんとアメリちゃん

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第百四十五話 海産物たち、冒険する

公開日時: 2021年4月24日(土) 22:01
文字数:2,097

はう~……! と、昨日の楽しい思い出を反芻しながら、今日も今日とて執筆なう。


しまだチンアナゴさん。わたし、たからのちずをてにいれたの!」


 何やら海産物ファミリーの名前が聞こえたので背後を振り返ると、アメリが海産物ファミリー総動員で遊び始めた模様。


「そうなのか、ほえほえさんくじら! よし、ぼくたちでおたからをてにいれよう!」


 ほほー。今回は珍しく、恋愛ものじゃなくて冒険ものですか。


「ああっ! もちょらんが!」


 もちょらんって、前アメリがブロックで作った謎オブジェクトよね。たしか、えれべすと・・・・・に棲んでるんだっけ。エベレストの言い間違いなら、すごいところに宝探しに来たもんだねー。


「にげて! しまださん!」


「そんな! きみをおいて、にげるなんてできない!」


 やっぱりそういう方向に行くのね、アメリ。ていうか、もちょらんって危険生物なの?


「あーっ! しまださーん! しまださーん!!」


 何が起こったのかと見てみると、しまだくんは机上にほえほえさんともちょらんを残し、下に転落してました。なんて悲しい事故。そしてあっけない退場。しまだくん、哀れ。


「ほえほえさん! たすけにきたよ!」


そめごろうイカさん!」


 なんか、唐突にえれべすとにイカの救援がやって来ましたよ。アタック難易度低いのね、えれべすと。


「こっちだ、ほえほえさん! こっちににげみちが! ……よし、にげきったぞ!」


 無事、もちょらんから逃げられた模様。


「やった、ジャングルについた!」


 えれべすとを抜けると、そこはジャングルでした。カオス。……えれべすとへは、何のために寄ったのかしら。宝の地図さん、もうちょっとしっかり仕事して。


「ほえほえさん! あそこにどうくつが!」


「はいってみましょう! ああっ! なにあれは!」


「にゅもげらだ!」


 にゅもげら……もちょらんの前に作ったブロックオブジェクトだっけ。まさかの再登場。


「おれさま、おまえたちにしれんあたえる。しれんこえたら、たからあたえる」


 にゅもげらいい人だった!? ……人かどうか怪しい形状だったけど。


「では、しれんだ。きゅう、わる、さんは?」


「な、なんてなんもんだ……!」


「そめごろうさん! おもいだして! きゅうほんのクレヨンを、みっつにわけるの!」


 ふふ。勉強を活かしてますねえ、アメリちゃん。


「そうか! こたえはさんだ!」


「みごとだ、そめごろう。さあ、おくにすすむがいい」


「ああ! これは!」


 おお。お宝の正体やいかに!?


かにざえもんカニさん! さめのすけサメさん! ひらたさんマンボウ! しまださん!」


「そう。たからとは、ともだちなのだ。ふぉっふぉっふぉっ」


 いい話だなー。なんか、しまだくんが何ごともなかったかのように、えれべすとからワープして復活してるけど。


 それにしても、にゅもげらの片言設定が光の速さで消えたわね。


ふぐた魚のおもちゃさんは?」


「おふろでおよいでいるよ」


 悲報、ふぐたくんハブられる。まあ、わざわざお風呂場から取ってくるのも面倒よね。


 まあ、めでたしめでたしかな?


 アメリの即興劇にツッコんでたら、もうすぐ夕食どき。気づけば、だいぶ原稿も進んでいる。うーん、我ながら相変わらずの高マルチタスクぶり。


「アメリー。今日はお蕎麦かおうどん取ろうと思うんだけど、何がいーい?」


 座椅子のほうに寄って、近所のお蕎麦屋さんの出前メニューを見せる。


「おおー? どれがどういうの?」


「えっとねー……」


 説明と相談の末、二人で鍋焼きうどんを取ることに。ほんとは手作りのものを食べさせてあげたいんだけど、年末進行が悪いのよ。涙。


 というわけで、注文でーす。



 ◆ ◆ ◆



 鍋焼きうどんが届いたので、台所に移動していただく。さすがにこれは、仕事しながらでは食べられない。何より疲れたので、ちょっとデスクを離れたいし。


「いただきます! 熱いから、ふーふーして食べてね」


「おお~、わかった! いただきます!」


 二人でずずずとおうどんをすする。はー、温まるう。伊達巻きも美味しいし、エビ天も美味しい。


「おお~! 美味しい!」


 キラキラと輝いた瞳を向けてくるアメリ。


「ふふ。ほんと美味しいね」


 ダイニングキッチンに、うどんをすする音が響くのでした。



 ◆ ◆ ◆



 んー……よく仕事したあっ……!


 うどんのお鍋を門前に置いた後、歯磨き、ストレッチ、お風呂をこなしてお仕事再開してました。


 一段落したので、椅子に座ったまま伸びをする。時刻はもう十一時手前。アメリはとっくに夢の中。


 デスクのライトとPCモニタだけが、私を照らしている。


 それじゃあ、そろそろお宝の封印を解きますか!


 本棚からそっと未開封の段ボール箱を降ろし、アメリを起こさないように抜き足差し足でダイニングへと運ぶ。


 さーて、ご開帳~。


 出てきたのは、ケイティちゃんのぬいぐるみが入った箱! 良い子のアメリちゃんへの、クリスマスプレゼントです!


 再び抜き足差し足で寝室へと戻り、アメリの枕元にそっと置く。ふふ。朝起きたら、びっくりするだろううなあ。


 マグカップを片してもう一回歯磨きしたら、私も寝ようっと。追い込み中でも無理しない。これ、私のモットー!


 明日はいよいよ、久美さんの誕生パーティーとクリパの同時開催! 銘酒「黄龍」も届いてるし、洗顔料もラッピング済み。準備は万全! 今からわくわくしちゃう!

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