神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第百三十七話 ノーラ、再び駅前へ ―後編―

公開日時: 2021年4月24日(土) 18:01
文字数:2,151

やって来ました、桜京ストアさん。おなじみ、チラシチェーック!


 ええと、今日のセールは……? ずばり、加熱用カキ、白菜、えのき、ネギなど。これはもう、カキ鍋作れというお達し。カキはちょっと輸送時に心配だから、ドライアイスいただきましょう。ハンカチでドライアイスくるめば、冷やし過ぎにはならないはず。しらたきと春菊、お豆腐も追加!


 あとは、おなじみの牛乳とパンと卵。


 ふむ、こちらはこんなもんかな。別行動中の白部さんは、どんな塩梅でしょう。


 すると、不意にスマホが振動。LIZEのメッセージ着信だ。「こちらは買い終わりました。レジ袋詰め替え台のあたりにいます」と、白部さんから。おお、お早い。


 私たちも、お会計しましょ。


「どうも、お待たせしました」


 白部さんが詰め替え台の横にいらっしゃったので、ドライアイスをもらった後、そちらでマイバッグに詰め替えを行う。


「いえ、買う物が少なかっただけですから」


「ちなみに、今日は何を作られるんでしょうか?」


「カキ鍋かなあとも思ったんですけど、ノーラちゃんがまだ箸を使えませんからね。カキフライの材料とキャベツ、お米を買いました。あと、リンゴジュースとアップルサイダーも」


 カキフライかー。それもいいなあ。まあ、また今度かな。詰め替え作業を続けながらおしゃべりし、詰め替え後は「るるる」に移動。そのまま寄り道せずに、雑談を交えながら帰宅しました。



 ◆ ◆ ◆



 帰り着いたら、時刻は四時。とりあえず冷蔵庫に入れる物は入れてしまって、下着と部屋着にしっぽ穴開けの作業開始。あー、早く撮影したいわあ~。


 小一時間ほど経って穴も開け終わったので、具合を試してもらう。


「どう?」


「いいと思う!」


 おっけーみたいね。撮影にはやる気持ちを抑え、まずはお米を水に浸す。撮影始めると、ゆうに一時間は熱中しちゃうものね。


 ふふふ……では、いつものいきましょうか!


「アメリちゃーん。撮影会しーましょ」


「おお~」


 というわけで、撮影開始! ああ、パンツルックアメリのなんと愛らしいこと……。ロングスカートの外着も、これまた良きかな良きかな


「いいよいいよー! こう、伸び・・してみようか!」


 今の私は、何者も止められない。猫独特の伸び姿勢をリクエスト。ああ、可愛い! 萌える! 語彙力ゼロ!


「ああ、もう! なんでそんなにマイエンジェルなの、アメリちゃん! お○ちゃの缶詰が百個もらえちゃうよ!」


 私は私で、いろいろな体勢でカメラアングルを切り替えながら、何かに取り憑かれたように撮影ボタンをタップしまくる。すると、アラームが炊飯ボタンを押してちょ、と時刻を知らせてくる。ああん、もう! ちょうどいいところで!


 速攻で炊飯スイッチを押して戻り、第二ラウンド開始! ああ~タマリマセンワー!!


 アラームが、今度は炊きあがりを知らせる。う~ん、もうちょっと撮ってたかったのに。でも、お米切らないわけにもいかないしね。もう一時間経ったのか~早いなあ。


 まあ、アメリと服は逃げるわけでもなし、ご飯食べたらまた撮影しましょ。



 ◆ ◆ ◆



 さて! 蒸らしたお米を切って、レシピ動画セット! 三分でクッキングする例のBGMを脳内再生! カキ鍋を作りましょ~!


 まずは、カキを塩水入りのボウルで振り洗い。続いて、ザルに揚げて水切り。


 続いて、お味噌、みりん、料理酒、チューブ入り生姜、顆粒だしをお湯に溶く。このとき、濃い目に味を整えるのがコツ。


「アメリちゃーん、出番ですよ~」


 お野菜を水洗いし、包丁を手渡す。見本として一部切ると、アメリもよいしょよいしょとたどたどしく切り始める。頑張ってー!


「できた!」


「お見事!」


 ぱちぱちと拍手。そういえば、アメリも台所に立つ機会が多くなったから、マイエプロン買ってあげたほうがいいね。後で通販でポチりましょ。


 しらたきは、塩水で軽く茹でて臭み取り。お豆腐のカットはまだアメリには難易度が高いので、私が切る。


 さきほどのだしと白菜、春菊の硬い部分から土鍋で弱火にて加熱開始! 温まってきたら、豆腐、しらたき、えのき、ネギを投入!


 八割がた火が通ったら、満を持して主演俳優・カキも投入! 白菜と春菊の葉を覆うように被せ、三分ほど土鍋の蓋も被せまーす。


 お、タイマーが鳴りましたよ。テーブルの鍋敷きの上に鍋を置き、ごはんをよそいお茶を注ぐ。


 蓋を取って具材を混ぜ合わせたら、完成~!


「でっきあがり~! じゃあ、冷めないうちにいただきましょ」


「おお~! 美味しそう!」


 いただきますの合唱をし、おたまで具をよそって小鉢に移す。そして、はふはふといただくわけです。あら~、美味しい!


「美味しい!」


 アメリもキラキラ瞳を輝かせる。良きかな良きかな


「あったまるよね~」


 ああもう、いくらでも箸が進むなあ。


 今日の思い出話に花を咲かせながら、あっさり完食! 美味しゅうございました。


 不意に、スマホのLIZE着信音が鳴る。見てみると、白部さんから「ノーラちゃん、とても喜んでくれました!」というメッセージと、カキフライを美味しそうに食むノーラちゃんの画像が届いていました。ほほえま!


 食後は、撮影会・ラウンドスリー! さすがに第三ラウンドはあっさりめ。


 おなじみのストレッチをした後で入浴し、お風呂上がりにケイティちゃんがプリントされたアメリ用マイエプロンを注文。その後、アメリは勉強、私はお仕事に打ち込むのでした。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート