神奈さんとアメリちゃん

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おまけ編・その十二 お泊まり会!

公開日時: 2022年5月23日(月) 21:01
文字数:2,692

「それでは、アメリをよろしくお願いします」


「はい。責任を持ってお預かりします」


 お隣さんの玄関で、おねーちゃんと優輝おねーちゃんが、お互いにふかーく、ぺこりとお辞儀。


「それじゃアメリ、いい子にしてるのよ?」


 うにゅう。頭撫でられちゃった。えへへ。


「はーい! 優輝おねーちゃん、よろしくお願いします!」


「うんうん。自分のうちだと思って、気楽に過ごしていいからね」


 おねーちゃんは帰っていって、アメリはそのままお隣さんにお邪魔!


 今日は、みんなでお隣りにお泊まり会なの!


「お泊まり会、楽しみ!」


 リビングにミケ、クロ、ノーラ、そしてともちゃんが座って喋ってたので、アメリも座ってお話に加わる。


「なんのお話ししてたの?」


「ミケが、もうすぐ誕生日でしょ? そしたら、NKM33アイドルグループのオーディション受けるのかなって」


 クロが、話をまとめてくれる。


「もっちろん受けるわよ! すぐに千多せんたちゃんに、並んでみせるんだから!」


 胸を反らすミケ。でも……顔がこわばってるし、声も上ずってるよ。


「ダイジョーブかー? なんか、自信マンマンには思えないぞー」


 ノーラも、同じことを思ったみたい。


「ヘーキよ! このミケよ!? みんなのおねーさんよ!? まっかせなさーい!」


 胸をドンと叩くけど、相変わらず表情と態度が一致していないよー。


「とも、応援してるからね!」


「ダイジョーブ! うん、ダイジョーブよ、ダイジョーブ!」


 自分に、言い聞かせてるみたい。少し、話題変えたほうがいいかも。


「そういえば、クロはアマチュア大会、優勝したんだよね」


「うん。お陰様で。これで、プロに一歩近づいたよ」


 はにかむクロ。一方、こわばるミケ。おお……話題選び、失敗しちゃった。


「おーっす、ちびっこどもー。今日も仲がいいなー」


 そこに、久美おねーちゃんがやってきた! ご挨拶しながら、「助けて!」と視線を送る。


「ん?」


 一同を見回す、久美おねーちゃん。


「ああ……なるほどな。四人で『大航海世代』でもやってたらどーだ? トモ子の相手はウチがするからさ」


「友美だよ、久美おねーちゃん! 覚えてー」


「あ、いや悪い。ナントカ子って呼ぶのは、愛称……ニックネームだと思ってくれ。クロ子、折り紙借りていいか?」


 頭を掻く、久美おねーちゃん。ともちゃんには、よわよわだ!


「はい。ご自由に使って下さい」


「よーし、ウチの必殺のな、『お姫様』折っちゃる。一緒に折ろうぜ」


「じゃあ、ミケはゲームの用意するわね」


 別々に遊び始める。ともちゃんも、早く大航海世代遊べるようになるといーね!


 台所から戻ってきた優輝おねーちゃんが、お菓子と飲み物を配ってくれるので、みんなでお礼。


 優輝おねーちゃんも、折り紙に加わりました!



 ◆ ◆ ◆



 今日の晩御飯は、カレー。由香里おねーちゃんが作ってくれたよ!


「いただきます!」


 美味しい! 牛さんのカレーだ!


「由香里おねーちゃん、美味しい!」


「ありがとう。いっぱい作ったから、おかわりもあるよ」


「おおー!」


 みんなも、お礼を言って、美味しい美味しいって食べてる。


「やっぱり、大人数のときはカレーっすよねえ~。林間学校とか思い出すっす」


 さつきおねーちゃんも、美味しそう。


「りんかん学校って何?」


「学校行事っすね。全校生徒で、キャンプするんっすよ」


 お水を飲みながら、さつきおねーちゃんが説明してくれる。


「おおー! 楽しそう!」


「楽しいっすよー。優輝ちゃんの、キャンプ趣味の始まりっすもんね」


「うん。思えば、アレで楽しさを覚えたのが始まりだったねえ」


 うんうんうなずく、優輝おねーちゃん。


「アメリもやりたいな!」


「そのうち、機会があると思うよ。一般学級の子と、合同かはわからないけど」


 由香里おねーちゃんが、ノーラのおかわりをよそいながら言う。


 こんな感じで、晩ごはんも楽しく進みました!



 ◆ ◆ ◆



「えーっと、0.5掛ける……」


 夜は、みんなで宿題。ノーラがまた、「頭がフットーしそーだぞー!」って悲鳴あげてる。


「どれ。えっと。少数ってさ、たとえば0.7とかだったら、まず最初に、全部十倍しちゃうと楽なんよ。で、最後にその十倍したのを、十分の一してみ」


 四人のおねーちゃんが、みんなでお勉強を見てくれてる。ノーラは、久美おねーちゃんがコーチ。


「おー? おお!? おおお! ほんとだ! 計算しやすいぞー!」


「な?」


「さっすがクミ姉! アタシのししょーだ!」


 久美おねーちゃんに、がばっと抱きつくノーラ。


「照れるなー。ま、この調子で次も行こうぜ」


 二人で手をパチンと合わせて、次の問題へ。


「アメリちゃんは、さっきから質問がないけど、順調ってこと?」


「うん!」


「大したものねー。あ、代わりといっちゃなんだけど、麦茶のおかわり持ってきてあげる」


 由香里おねーちゃんに、感心されちゃった。


 こうして、宿題タイムも楽しく進んでいきました!



 ◆ ◆ ◆



 お風呂、気持ち良かったー! 前、お泊りしたときも思ったけど、うちのより広くて、手足が伸ばせるのがいいよね!


 誰のものかわからなくなるから、脱いだ服はレジ袋と紙袋に入れて、明日お持ち帰り。


「上がったよー」


 アメリたちは和室の客間で寝るように言われてるので、そっちでお布団敷いてる。ミケも一緒。みんなパジャマ姿!


「よーし、全員揃ったわね。女が集まって、寝るときすることといえば!」


「「いえば?」」


「恋バナよ! 恋バナ!」


「「恋バナ?」」


 ミケ以外の四人で、首を傾げる。


「好きな人の話をするのよ! ミケは、なんといっても千多ちゃんね! もう、カワイイが全部詰まってるの!」


「おお。そーゆーのなら、アメリはおねーちゃん! すごく優しい!」


「アタシは早井はやいキャプテンだな! でも、クミ姉も大好きだ!」


「ボクは……富士田ふじた七冠かな。やっぱり、今目指す目標だよ」


「ともは、アメリちゃんが好きー!」


 あとで由香里おねーちゃんに教えてもらったけど、このときアメリたちがした「恋バナ」は、本当の恋バナとは、ずいぶん違うものだったみたい。


 「でも、まだ意味は知らなくていいかな」って、由香里おねーちゃんは、ふふって微笑んでたっけ。



 ◆ ◆ ◆



「アメリがお世話になりました……あふ……すいません」


 翌朝、おねーちゃんがあくびをしながら、優輝おねーちゃんにご挨拶。


「いえいえ。また、いつでも大歓迎です。では、お二人ともお元気で!」


 優輝おねーちゃんに手を振られ、こちらも振り返しながら、自分のおうちにゴールイン!


 お泊まりも楽しいけど、自分のおうち、落ち着くね!


「サンドイッチ、すぐ作っちゃうから、学校に行く準備してね」


「はーい!」


 昨日着た物を洗濯機に入れて、教科書をランドセルに詰め替える。あ、みどりんポトスにお水もあげないと。


 お泊まり会、楽しかったなー。また、みんなとしたいな!

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