神奈さんとアメリちゃん

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第三百十三話 四者四様の大航海!

公開日時: 2021年8月7日(土) 21:01
更新日時: 2021年8月9日(月) 18:20
文字数:2,757

「あ、どうもこんにちは。今、スタードラッグドラッグストアさんにいるんですけど、ご都合よろしければこれからクロちゃんを迎えに行きたいと思うのですが、いかがでしょうか?」


 食後、せっかく車に乗っているのだからとまりあさんにクロちゃんのお迎えをご提案。


「はい、ありがとうございます。五分ほどで着くと思いますので。失礼します」


 さすがクロちゃん、いつでも出られる状態らしい。


 それじゃー、はっしーん!



 ◆ ◆ ◆



「では、クロちゃんをよろしくお願いします。クロちゃん、楽しんでらっしゃいね」


「はい。では、あまり長く路駐しているわけにもいかないので、ご挨拶もそこそこで失礼ですが」


 互いに深々とお辞儀。


「お姉ちゃん、行ってきます」


 手をちょこちょこ振り、まりあさんに別れを告げるクロちゃん。子供二人を後部座席に乗せて、再度はっしーん!


 車だと短い道中、アメリはさっそくつけ麺について語っていました。よっぽど気に入ったのね。



 ◆ ◆ ◆



 三人分のお茶をれ、寝室でくつろぎモード。私はお仕事しなきゃなんだけど、もうすぐほかの三人が来る時間なので、半端なのよね。


 クロちゃん曰く、姫路城のプラモは着々と建築が進んでいるそう。ほんと、渋いよねー。でも、そういうとこがなんとも可愛い。


 すると、さっそく呼び鈴が鳴りました! さーて、どちらかな?


 白部さんでした! さっそく中にお通しし、二人にもお茶を出す。


 猫耳幼女たちとのコミュニケーションを堪能する白部さん。会話を楽しみつつも、猫耳外出モードになってからの感覚の変化など、訊くべきところはきちんと訊いていくスタイル。さすが。


 間を置かずして、またもやピンポン。おお、せわしない。


 優輝さんがミケちゃんを送っていらっしゃいました。


 互いに挨拶して、最後のゲストも中へお招き。


 お茶も全員に行き渡ったところで、今度こそ腰を落ち着けてお仕事モードです。


「ねー、何かしたいことあるー?」


 みんな揃ったということで、アメリが遊びの提案をする。


「大航海世代とかどう? ミケが、クロとノーラにやり方教えてあげるわよ」


 沈黙に包まれる場。ルールがわからなくとも、まりあさんが暴走したあの日、画面に吹き荒れた嵐だの渦潮だのの災害祭り見たら気が引けるわよね……。


「だ、ダイジョーブ! 普通は妨害カードあそこまで飛び交わないし、まりあおねーさんの引きが異常だっただけ! ミケも、妨害カード使わないから! アメリも! ねっ!?」


「おおー。それでいいよー」


 慌ててフォローするミケちゃんと好対照に、のほほんとマイペースなうちの姫。


「……怖いゲームじゃない?」


 怖気づくクロちゃんに、こくこくと激しく首を縦に振り、全力アピールするミケちゃん。悪いけど、ちょっとコミカルなやりとりね。


 そこまで言うなら……とクロちゃんも乗り、ノーラちゃんも一人見学してるのもあれなので、輪に混ざる。


「わからない漢字があったら、教えてあげるからね」


 と、白部さんもフォロー体制に入る。見学しつつもノートPCに何やら打ち込んでおり、四人のことをきちんと観察なさるおつもりなのでしょう。


 私も、時々見ながらお仕事しよっと。



 ◆ ◆ ◆



 初期配置は、ポルトガルのリスボン。スペインやイギリスに散ってプレイを始めることもできるそうだけど、ミケちゃん曰くわかりやすいのでそうした模様。


 序盤、ミケちゃんはやはり南下。相変わらずインド交易路線かしら。


 アメリはお馴染み、食品王を目指す。


 クロちゃん、ノーラちゃんは初心者向け地中海交易をミケちゃんに勧められたので、そちらに注力。


 妨害カードさえ飛び交わなければ、ときどき起きるバッドイベント以外は至って平和なゲームで、第一回のゲームはつつがなく終了。


「どうだった?」


 期待に目を輝かせ、感想を問うミケちゃん。


「割と面白いね。ボク、次は日本に行ってみたい」


「アタシも、もう一回ぐらいやってみたら内容が飲み込めると思う!」


 そこそこ好感触だったようです。


 あ、そうだ。


 PCを操作し、紙を四枚プリントアウトする。


「これ、世界地図ね。現代のだけど。プレイの参考になると思うよ」


 地図を手渡すと、四人からありがとうとお礼を言われる。良きかな良きかな


 かくして、二回目のプレイ。


 相変わらずインド航路大好きなミケちゃんと、食品大好きなうちのお嬢様。


 クロちゃんは大陸に沿って日本を目指し、ノーラちゃんは引き続きコツを掴むため地中海巡りと、四者四様の展開となりました。


 三時になったのでジュースとお菓子を出すと、みんなにお礼を言われる。折りたたみ机に移り、一緒にお菓子をいただく白部さん。


 クロちゃんには羊羹と濃い味緑茶。やはり、クッキーよりはこちらのほうが嬉しいらしい。買っといて良かったな。


 ゲームのほうは、やはりというか一日の長があってミケちゃんが二連勝め。


「ミケちゃん、それってハンデとかつけられないの?」


 ふとした思いつきを、提案してみる。


「そうね。たしかにつけたほうがいいかも。設定するわね」


 というわけで、ミケちゃん初期資金にハンデを付けてプレイ。


 ミケちゃんは資金が乏しいのでアフリカ航路で初期は妥協。


 アメリは相変わらず食品王狙い。一度ハマると、ずっと同じことするタイプよね、割と。


 クロちゃんは再度日本へ。ノーラちゃんもコツが掴めてきたようで、地図を見ながら新大陸を目指す。


 そして、ゲーム終了! 絹と銀を中心に稼いだクロちゃんがトップ。僅差でノーラちゃん。ミケちゃんはハンデを負いながらもブービーでギリギリ面目躍如。ビリはうちのお姫様。


「アメリは、食品にこだわり過ぎなのよ。せっかく北海航路も使ってるんだから、もっと手広くやったほうがいいわよ」


「おお~。今度はそうしてみる~」


 素直に助言を受け取るアメリちゃん。


 ミケちゃんは他の二人にもアドバイスをして、いいお姉さんぶりを発揮。ふふ、ほほえま。


「あら、もうこんな時間ですね。みんな、そのゲームどういうところが楽しかった?」


 みんなに所感を問う白部さん。


「世界を旅するの楽しい! あと、食べ物美味しそう!」


 まずはうちのお姫様。


「センリャクを練って、戦うのが面白いのよ。ほんとは妨害カードを解禁すると、もっとエキサイトするんだけどね」


 とはミケちゃん。


「ボクは、当時の日本や世界に思いを馳せて楽しんでました」


 相変わらず渋いクロちゃん。


「こうやって、みんなでワイワイやるの楽しい!」


 うきうきノーラちゃん。


 なるほどなるほどと、皆の感想をPCに記入していく白部さん。ふむふむ、個性を調べるインタビューなのね。たしかに、みんなプレイスタイルも楽しみ方も違う。


 お開きの時間となり、白部さんとノーラちゃんは一足先にご帰宅。残る四人でかくてるハウスに赴きミケちゃんを送り届けた後は、車でクロちゃんを送っていくのでした。


 さーて、お仕事再開だー! 今日の晩ごはんは月見わかめうどんにしましょうかねー。

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