なんだかダンスゲームが楽しくなってしまった私は、皆さんと交代しながらレッツ・ダンシン! いやー、これ運動としてもいいんじゃないかしら? ストレッチもいいけど、これとか楽しくダイエットできそう!
そうこうしていると、「できたっすー。ダイニングへどーぞっすー」と、さつきさんがそちらからひょいと首を出して呼びかける。そんなわけで我々一同、ぞろぞろとダイニングへ。
テーブルを見ると、そこにはフランスパンのサンドイッチと飲み物が配膳されていました。
「おー、今日はアレ作ったのか?」と着席しながら久美さんが問うと、さつきさんが「っす」っとシンプルなお返事を笑顔で返す。はて、一見ただのサンドイッチだけど……?
全員着席した頃に、「どーもどーも、こんにちは! すみません、なかなか手が離せなくて……」と、優輝さんが入室して着席。「こんにちは」とご挨拶を返す、私とアメリ。
「それにしても、こういう会食にまりあさんと白部さんをお誘いなさらないの、珍しいですね?」
素朴な疑問を呈してみる。
「あー、それが……。お誘いしたんですけど、白部さんとまりあさんたち、駅前でご一緒にお買い物される約束をなさってたそうで」
残念そうに肩をすくめる優輝さん。なるほど。
「先約があっては仕方ないですねえ」
「すっす。自慢の一品を食べてほしかったんすけどねえ」
さつきさんも残念そう。しかし、やっぱり普通のサンドイッチみたいなのに、それだけ自信作なのか……。
「ま、皆さん色々エネルギー消費してるっすから、さくっと食べちゃいましょうっす! いただきますっす!」
というわけで、さつきさんの言葉を受け、皆でいただきますを言う。
ぱくっ! あら、これは……大根と人参の膾!? それと、ハムに……レバーだこれ! あと、この風味はパクチーにナンプラー?
「ずいぶん変わったサンドイッチですね……?」
「お口に合わなかったっすか?」
「あ、いえ! とても美味しいです! でも、変わってるは変わってる具だなあと思いまして」
慌てて頭を振る。
「これ、バインミーっていう、ベトナムのサンドイッチなんすよ」
「ベトナムですかー……」
これまた、意外なところの郷土料理が出てきたもんだ。
「向こうでは、すごくポピュラーな食べ物なんす」
「へえ~……」
世界は広いなあ。私の知らない料理がいっぱいある。
「こいつさ、こういうアジア料理とかエスニックな感じのやつ作らせると上手いんだよ」
今日は休肝日なのか、マスペでいただきながら説明する久美さん。そのような特技があったのですねえ。
「ぬっふっふっ……。マスターアジア・さつきちゃんと呼んで欲しいっす!」
ドヤ顔で胸を反らす彼女。ミケちゃんみたい。
「いやー、でもこれほんとに美味しいですねえ」
改めて称賛すると、さらに胸を反らす。ひっくり返らなきゃいいけど。
「なんかあれだよな。この流れ、今度はウチが腕前見せなきゃいけない感じよな」
「そういえば、以前一緒に唐揚げとお味噌汁を作ったことありましたね」
「あー、あったねー。ウチ、呑み趣味が高じてアテよく作るんだけどさ、アテは飯にも大概合うからね。ちょっといいとこ見せたいぜ」
上機嫌な久美さん。なんだかんだで、ここの皆さんお料理好きなのね。
「ミケにも色々、料理教えてあげないとねえ」
優輝さんがうんうん頷く。
「さつきの料理も美味しいけど、やっぱり優輝か由香里に習いたいわね」
頷き返すミケちゃん。
「おお~。ミケと一緒にお料理したい!」
なんだか、アメリまでノリノリ。
「あはっ。いいね、ちびっこ料理教室。今度開こうか」
顔を綻ばせる優輝さん。
「そうだ、今度美術館行きませんか?」
由香里さんが不意に提案してくる。
「美術館ですか? 繁忙期は過ぎたので、どこまで遠いかによりけりですが、構いませんよ」
「あ、それならすごく近いところです。そこのF公園の美術館ですよ」
「あー! ありましたねえ!」
そういえば、そんなのもあったねあそこ。なんだかんだで行ったことなかったなあ。
「では、折を見てご連絡差し上げますね」
微笑みを向けてくる。
「いいなー、あたしゃ細かい手直し作業がいつ終わるやら」
「堪忍ね。優輝ちゃんの作業がはけたら、忙しくなるのわたしだし」
「ていうかさ、宣伝動画もう上げちゃっていいわけ?」
ぼやく優輝さんに苦笑する由香里さん。そこに久美さんも加わり、お仕事の打ち合わせみたいな空気になってしまった。
ちょっと所在ない私に、さつきさんが色々話題を振ってくださり、会話を弾ませる。
アメリとミケちゃんは大人組をよそにおしゃべりなう。どうもまた、変な映画の話をしているらしい。
こうして昼食会もつつがなく終わり、食後にダンスゲームで体を激しく動かすのも何なので、リビングで雑談の続き。
私は私でこのダンスゲームがいたく気に入り、自宅で遊ぶために何を揃えたらいいかを色々教わる。
そんなわけで、丁重にお礼を述べて帰宅。今日も楽しい一日でした。
あとはルビ振りもやって、夕飯の材料を買いに行って。それが終わったらプロット作り、お仕事開始だ。短いオフだけど、きっちり羽を伸ばせたなあ。良き哉良き哉。
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