きこきこと自転車を漕いで、いつものスーパーで晩ごはんのお買い物です。
チラシチェーック!
今日は鶏胸肉と卵がセール! すると……ふむふむ、今日の献立が立ち上がりましたよ。
鶏胸と卵、玉ねぎをイン! あとはおなじみパンと牛乳~。さて、ここからが今日の本題です。
「アメリちゃん、アメリちゃん。お小遣いとして三百円渡します。この中に収まるように、好きなもの買っていいよ~」
「おお~!?」
誰が言い始めたか知らないけれど、おやつは三百円まで。というわけで、百円玉三枚を手渡す。
とてとてとドリンクコーナーに駆け足で向かう彼女。
「こら~。走ると迷惑だし、転んじゃうからダーメ!」
注意を促すと、「はーい!」と、やや早足程度に速度を落とすので、後をついていく。
最初にゲットしたのはもちろん、コラ・コーラ三百五十ミリボトル。七十八円ナリ。それを、カート下側のかごに入れてもらう。
「あー、アメリ。ちょっと注意点ね。消費税っていうのがあって、そこに書かれてる金額より少し増えちゃうの。だから、そのコーラは実際には……えーと、八十四円ぐらいかな? になるから注意ね」
「えー? なんでそんなことするの?」
「まあ、そういうことになってるのよ」
実際、色々めんどくさいから消費税なくしてほしいです……。そのぶん、所得税でまとめて払ってもいいんで。
まあ、そんな愚痴はさておき、アメリが次に向かったのは氷菓コーナー。お、ゴリゴリくんソーダ味をチョイス。寒い中であえてアイスとはやるじゃない。ええと、これは五十八円の税で……六十二円ぐらい?
「アメリー、それで八十四円足す六十二円ね。さあ、合わせていくらかな?」
うーん……と上を向いて指折り悩むアメリ。ちょっとまだ、二桁同士の暗算は難しいか。
「あと、百五十四円使えるよー。もちろんお小遣いだから、使わずにおいてまた今度使ってもいいからね」
「おお~! わかった!」
続いてアメリが目をつけたのは、一本十円という低価格でおなじみのふ菓子、「うめえ棒」。
「おねーちゃん、これ十円だね?」
「そうね。安くて美味しいって有名なお菓子」
「おお~! コーンポタージュとか色々書いてあるね?」
「それは味だねー」
多様なフレーバーに目移りする彼女。
「ビビッときたのでいいんじゃないかな」
すると、「おお~!」と言いながら、その場にあった六種のフレーバーを一本ずつかごに入れる。ええと、これで六十四円だから合計二百十円か。
「アメリー、一度に全部使い切らなくてもいいんだからね? むしろ、来月までお小遣いないから気をつけてね」
「おお!? わかった! じゃあ、これで終わりにする!」
というわけでお会計。
「あ、この子のは別会計でお願いします。さあ、店員さんにお金を渡してみよう」
自分の会計が終わった後は、アメリの出番。おずおずと三百円を差し出す彼女。
「九十円のお返しになります」
アメリに、手渡しで九十円を渡す店員さん。
「おお~! お買い物できた!」
「偉い偉い。じゃあ、アメリはこっちの袋に自分の買い物を詰めてね」
レジから移動し、袋詰めの台の前でキャスケット越しに頭を撫でると、「うにゅう」と気抜け声を上げる。
こうしてお買い物は無事終了。家路を急ぐのでした。
◆ ◆ ◆
ただいまーっとゴールイン!
「おねーちゃん、お菓子食べていい!?」
「うーん。もうすぐごはんだから、どれか一つね。あと、アイスはここに入れないと溶けちゃうから注意」
買い物を冷蔵庫に入れながら、アメリにレクチャー。するとしばし逡巡した後、マストアイテムであるコラ・コーラに決めた模様。
私はというと、お米を水に浸した後、テーブルでコーラを飲んでいるアメリとおしゃべり。ああ、私もマスペ飲みたいわ……でも、我慢我慢。お茶でもいただいてましょ。
アメリがコーラを飲み終わった後は、私は仕事、アメリは九九と漢字のお勉強。
そんなこんなで浸水時間が終わったので、炊飯スイッチをオン! 再度戻り、お仕事の続き。
それからまたしばらくするとお米の炊きあがりをスマホのアラームが知らせてくれたので、アメリを連れ立って台所へ。
「さて! アメリちゃんには鶏肉と玉ねぎを切ってもらおうかな!」
三分でクッキングするBGMを脳内で流しながら蒸したお米を切り、冷蔵庫から鶏胸肉、玉ねぎ、卵を取り出す。
「おお~! 頑張る!」
おお、アメリちゃんも気合入ってますねえ。
「このぐらいの大きさに切ってね」
手を洗った後、まずはお手本。
アメリが指先を伸ばしたまま肉を切ろうとしたので、慌ててストップをかける。
「ストーップ! 危ないよ! 猫の手、猫の手!」
「おお~……そうだった!」
ふう、まだまだ目が離せないね。
ゆっくり理肉を切っていくアメリ。よしよし、その調子!
「よくできました! 次は玉ねぎね。こうやって、くし切りにしてね」
ぱちぱちと拍手し、続いて玉ねぎのお手本を見せる。
アメリも真似して切っていく。
「うん、上手上手! 筋がいいね! じゃあ、ここから先は私の出番ね」
玉ねぎが半分余っちゃうけど、オニオンスライスにして明日の朝いただきましょ。では、レシピ動画せーット!
お醤油とみりんを大さじ一杯、料理酒とお砂糖を大さじ半分、顆粒だしを小さじ三分の一、お水八十ミリリットル、そして玉ねぎ半分をお鍋にイン! これを中火と強火の中間ぐらいの火力で煮まーす。
二分経ったら、鶏肉もイン! こちらは中火で三分煮まーす。この間に、卵四つで溶き卵を作成!
三分経ったら、溶き卵の三分の二を注ぎ、菜箸で全体に混ぜまして~……蓋をしてそのまま三十秒~。
蓋を空け、残りの溶き卵を注ぎ入れたら、半熟になるまでコトコト。……よっし、出来上がり!
「できたよ~」
ごはんを丼によそい、具をかけたら、親子丼完成で~す!
ほんとは三つ葉がほしいところだけど、持て余しちゃうのよねえ。かくてるの皆さんぐらいの所帯だったら使い切れるんだろうけど。
お茶を淹れて配膳し、エプロンも外してアメリの対面に着席。
「おお~? これなーに?」
「親子丼~。卵のお母さんが鶏だから、親子丼って呼ばれてるんだよ」
「おお~!」と、感心の声を上げる彼女。今日は、「おお~」多いね。ふふっと微笑む。
「じゃあ、いただきますしようか。いただきます!」
「いただきます!」
うん! 卵がとろりとしていて、いいお味!
「美味しい!」
瞳をキラキラ輝かせるアメリ。良き哉良き哉。料理を手伝ったのだから、そのぶん美味しさもひとしおよね。
私とアメリは、親子でもあり、姉妹でもある不思議な関係。猫だったアメリと、こうして一緒に親子丼を食べる日が来るなんてねえ。ほんとに、世の中って不思議!
こうして美味しい晩ごはんも食べ終わり、食洗機に食器を入れた後歯を磨き、日課となったストレッチを開始するのでした。
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