神奈さんとアメリちゃん

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第百二十二話 ノーラ、駅前へ行く ―後編―

公開日時: 2021年4月24日(土) 10:31
文字数:2,000

食後は、児童服売り場にやってきました! さっそく物色する私たち。アメリの服も、もう少し増やしてあげたいしね!


「ノーラちゃん、気に入ったのある?」


「これー!」


 白部さんに問われてノーラちゃんが手にしたのは、ズボン。


「あー、ごめんね。ノーラちゃんはしっぽがあるから、丈の長いスカートじゃないとダメなのよ」


 しっぽの部分を小声にする白部さん。


「えー、これとかヒラヒラして動きにくいぞー」


 今着ている服の裾をつまみ、不平顔。


「ごめんね。お願いだから、そこだけは。それ以外だったら、なるべくリクエストに応えるから」


 「う~……」と不承不承ズボンを戻し、ノーラちゃんが手に取ったのは、上が薄緑、下が白のツーピース。


「じゃあ、これー!」


「了解~。あとは、冬物も買いましょうね」


 こんな感じで、薄緑のダウンと手袋、あとは下着、靴下などを買い揃えていくお二人。


 私たちのほうは、下着と上着をそれぞれ二着買う。


 こうしてお会計を済ませ、靴屋さんと帽子屋さんに舞台を移す。


 ノーラちゃんは、薄緑のブーツとスニーカー、そしてこれまた薄緑のキャスケットを買いました。薄緑好きなのね。


「大荷物になっちゃいましたねー。最低限のものは揃えたわけですけど、どうします?」


「そうですね……。おもちゃも買ってあげたいですね」


「では、一度駐車場まで降りましょう」


 白部さんにご提案し、一度トランクに荷物をしまってから「トイザウるスおもちゃ屋さん」へ。


「おー! スッゲ、スッゲー!!」


 おもちゃの王国を目にして、ノーラちゃん大興奮。またもや駆け出そうとするので、白部さんが慌てて抱き止める。


「アメリも、何か買っていく?」


「おお~、見ながら決めるー!」


 というわけで、一緒におもちゃ売り場を眺めていく。


「ルリ姉、あれ! あれ!」


 男児向けの売り場をスルーしようとすると、ノーラちゃんが白部さんの袖をぐいぐい引っ張る。彼女が指差しているのは、ロボットのおもちゃ。


「ノーラちゃん、これ欲しいの?」


「かっこいい!」


 ふーむ、と考え込む白部さん。うすうす思ってたことだけど、嗜好がボーイッシュなのね。


 「まあ、ノーラちゃんが欲しいなら……」と、カートに入れる。


「あ、そうだ白部さん。お風呂大変だったみたいですけど、アメリのお友だち……魚のおもちゃ、効き目ありませんでした?」


「すみません、さっぱり興味を示してくれなくて……」


「なるほど。どうも、お魚はノーラちゃんの趣味じゃないみたいですね。とりあえず、お風呂玩具のコーナー見てみませんか?」


 白部さんも「そうしましょう」と同意されたので、コーナーを移動。


「ノーラちゃん。こういうのがあったらお風呂が好きになるんじゃないかと思うんだけど、興味持てそうなのある?」


 白部さんに勧められ、棚をじーっと眺めていくノーラちゃん。やがて、ピン! としっぽを立ててしまったので、慌てて他の人から見えないようにガードする。


「ルリ姉、これ! これ欲しい!」


 彼女が手に取ったのは、黄色い潜水艦のおもちゃ。やっぱり趣味がボーイッシュ。


「ノーラちゃん、好みが男の子っぽいのね」


 白部さんも同じことを思ったようで、少し首を傾げながらカートに入れる。まあ、十人十色よね。


「そうそう。知育玩具ですけど、アメリが使っていた文字学習タブレットお譲りしましょうか? いいかな、アメリ?」


「ノーラが使うの? いいよー!」


「いえいえ、そんな悪いですよ」


 遠慮する白部さん。


「まあまあ。もう、アメリは文字を覚えてしまいましたから、今は全然使ってないですし。ね?」


 アメリに問うと、こくこくとうなずく。


「そう仰るなら、ありがたく使わせていただきます」


 深くお辞儀される。こうして、おもちゃもお会計。アメリは、特にピンとくるおもちゃに出会えなかった模様。


「あとは……。絵本があるといいと思うんですけど、まりあさんの著書が結構ありますから、いくつかお貸ししましょうか?」


「いえ、それは宇多野さんに申し訳ないので、新品を買わせていただきます。ちなみに、おすすめは何でしょうか?」


「そうですね。『くろねこクロのたび』が代表作ですので、やはりそれがおすすめですね」


「ありがとうございます」


 こうして、おもちゃもトランクにしまい、「麗文堂本屋さん」へ。そちらで七巻まとめて買い、フィニッシュ!


「いやー、結構お金が飛んでいってしまいました。でも、ノーラちゃんのためですものね」


「初期はとにかくお金がかかりますよねー。でも、愛する我が子のためですものね!」


 愛娘のためならば何も惜しまない。二人の「親」の姿が、そこにはありました。


 帰り際、せっかくだからといつものスーパーに寄り、晩ごはんのおかずなどを購入。


 帰宅後、かくてるハウスにフルメンバーで集まり、かくてるのみなさんやまりあさんに白部さんの口から事情を説明してもらうことになりました。私は、まりあさんとクロちゃんを運ぶために、再度車を走らせ宇多野家へ。


 皆さんの驚く顔が、今から目に浮かぶなあ。

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