LA・LA・LA、お買い物~。お買い物~。お買い物ったら、お買い物~。
陽気な脳内ソングを、声に出さねど歌いつつ、駅前でアメリちゃんとお買い物なう!
お手々つないで、らん・らん・らん。
「おお~。お姉ちゃん、ごきげん!」
「まーねー。ほとんど、机にかじりつく生活してたからねー」
読み切りの仕事は、担当が川内さんから真留さんに代わったとき、自分から「やらせてください」とお願いしたもの。
まだ新人であった真留さんは、相当悩んだそうだけど、その末にOKを出してくれた。
この頃すでに、「あめりにっき」一本でも食べていけるだけの売上はあったけど、より稼ぎたいというより、色んなものを描いてみたかったのだ。
実際、猫又物を筆頭に、読み切りでは多様なものを描いてきた。そして、その多様の一つになるのが、今回の読み切り、「猫耳幼女育児日記」。
自分の手応えも、真留さんの反応も悪くない。いや、かなりいい。これは、いけると踏んでいる。
猫アメリの死を思い出しながら描くのは、かなり辛かったけど、アメリは今こうして、そばにいてくれている。この子が勇気をくれた。
「ありがとう、アメリ」
「おお? うん」
突然感謝され、戸惑う愛娘。そんな彼女に、ふふ、と微笑む。
「じゃあ、シャンデリア行こっか!」
「おおー! カタツムリ!」
るんたったと、おなじみの店に、おなじみの料理を食べに行くのでした。
◆ ◆ ◆
「カタツムリ、美味しかった~!」
エスカルゴを今回も二皿満喫したアメリちゃん、超ゴキゲン! 良き哉良き哉。
「じゃあ、リボンの材料を、手芸屋さんで手に入れましょ~」
かつて超有名デパートが入っていて、その跡地にできたショッピングモールに向かう。
位置的には、駅前南部のショピングモール「フォレスト」の真横。
今年の五月に大型電気店が入り、そこからさらに追うようにテナントが集まり、今に至った次第。
本来なら、フォレストにも手芸店があったのだけど、そこは閉店してしまいました。世知辛いですねえ……。
それはさておき。エレベーターを降り、洋服屋さんを突っ切って店舗にイン!
わあ、布布ワールド! 可愛いのを中心に、いろんな布がたーくさん! ジッパーやフェルトキット、がま口のパーツなんかも売っています。
「すみませーん」
レジで、店員のお姉さんに話しかける。
「はい……あっ! 猫耳ちゃん! ……と、すみません。失礼しました」
「あはは。なんか、うちの子たち人気者みたいですね」
ほかにお客さんもいなかったので、私が気さくに話しかけると、彼女も微笑む。
「はい。出会うと幸運が訪れるって話題で。あの、今日会ったこと、友達に話してもいいですか?」
口に手を添え、小声で尋ねてくる。
「どうぞどうぞ。もはや、隠し立てしませんから。あ、本題忘れてました。この子の頭囲を測って欲しいんです」
「何を作られるんですか?」
「リボン付きヘアバンドを、作ってあげようかと思いまして」
「わかりました」と、アメリの頭でメジャーを一周させる彼女。
「四十九.九ですね。色と柄は、どういったものをお求めでしょうか」
「そうですねえ……アメリ、希望ある?」
不思議そうに店内を眺め回している、愛娘に問う。
「薄紫でケイティちゃんの!」
「あー、ごめんねー。ケイティちゃん、ないの。猫の顔の白抜きで良かったら、あるんだけど」
中腰で、アメリに話す彼女。
「それでもいーよー!」
「……少々お待ち下さい」
お姉さんが、布を手に戻って来ました。
「これとか、どうでしょう?」
言葉の通り、薄紫の地に、白抜きで猫の顔のシルエットが浮かんでいる。
「どう?」
そのまま、質問をアメリにパスする。
「いいと思う!」
「では、これでお願いします」
「かしこまりました。リボン付きヘアバンドですと……」
メジャーを取り出し、測る店員さん。
「これだけあれば、必要な量になりますかと」
「わかりました。必要なぶん、裁断していただけますか?」
「かしこまりました」
鮮やかな手付きで、切り分けていく彼女。
こうしてお会計を済ませ、互いに手を振りながら退店。「幸運の猫耳ちゃん」と交流できて、嬉しそう。
何の気なしに階の案内を見ていると、ここにも本屋さんが! へー。寄っていこうかな?
「アメリちゃん。本、買っていく?」
「うん!」
アメリに、子供向け科学読本をプレゼント。ダークエネルギーとか調べちゃう子だけど、こういうのも、まだまだ好きなようだ。
私自身も、ファッション誌を購入。秋の流行ファッションを先取りします。……まあ、由香里さんあたりに誘われないと、資料としてしか使わない、干物なんですけどね。
今度、またブティック巡りご一緒しようかな。
百均で両面テープも買い、だいたい欲しいものは揃ったかな。帰宅~。
◆ ◆ ◆
「おねーちゃん、これがリボンになるのー?」
「そだよー。飲み会までに仕上がるかな? まあ、そのときは続きは明日でいっか」
ハサミで布を微調整して、リボンとヘアバンドの元を作る。
折りたたんで、アイロンかけかけ~。ふう。
ひだを作りーの、まち針で止めーの、縫い付けーの……。
「よいしょお!」
ミシン先生、押し入れから登場! 何年ぶりに会ったかしらね。
カタカタ……。
「アメリ、暇でしょう。スマホなり、さっきの本なり見てたら?」
じーっと、私の手元を見ている愛娘に気づき、提案する。
「見てるの面白いから、見てるー」
「そう?」
アメリちゃん注視の中、作業続行。ゴムを通して……よっし、ヘアバンド部分完成!
あとは、リボンを作るですよ。
こちらも、アイロンかけて、両面テープで止めて……。で、バンドを通して、真ん中を止めてっと。垂れ付きリボン完成~! 合体!
おお、まだ夜までは余裕がありますね。
「アメリちゃん、着けてみよう」
「おお~」
装・着!
か……可愛い~!!
「スマホッ!」
ガバっと手繰り寄せ、激写開始! いつものごとく、色々なポーズをリクエスト!
やーん! 可愛い、可愛~い!
可愛いを連呼しながら、撮影ボタンをひたすらタップ!
撮影会は、例によって一時間に及んだのでした。ごめん、アメリ。また調子に乗っちゃった……。にゃふん!
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