神奈さんとアメリちゃん

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第百九十二話 変なの鍋

公開日時: 2021年4月27日(火) 18:01
文字数:2,095

るんたった~、るんたった~!


 二月三日の三時過ぎ、狭苦しい寝室でくるくる回りながら、軽快にスキップするアラサー女がおりました。


 理由はもちろんおわかりですね? 単行本のおまけも完全脱稿したからでーす! 祝!


「おお~、おねーちゃんお仕事終わったの? おめでとー!」


 アメリも、こういう状態の私は仕事明けだと把握したようで、ぱちぱちと可愛らしい拍手を送ってくる。


「いえーす、いえす! ベリベリセンキューですよ、アメリちゃーん!」


 ダブルピースと満面の笑顔でそれに応える。


 さあさあ、三日も余暇が出来てしまいましたよ! 何しよっかな、何しよっかな~。アメリの手を握って横にぶんぶん振りながら思案なう。


 とりあえず、おめでたい料理を作る! これ第一!


 あーとーはー……おやつも作ろう! そうだ、子供たちに声かけて、いつぞやのドーナツみたいにみんなで何か作るのもいーなー。


 とはいえ、三時過ぎちゃったしおやつは明日でいいかな。


 よし、善はハリー・アップ! おめでた晩ごはんの買い出しに行きましょー!



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、いつものスーパー! ズバババーン! チョモランマよりテンションが高い、神奈おねーさんでーす!


 スマホをポチポチして、今日のお買い得品をチェーック!


 今日のお買い得品は……だらららら……ずばりアンコウと白菜とネギとえのき!


 あらまあ。これはアンコウ鍋を作りなさいという天の粋なお達しね!


「アメリちゃん、アメリちゃん。今日はアンコウ鍋を作っちゃいますよ!」


「おお? アンコウって何?」


「ふふふ、こんなお魚さんですよん」


 生前のアンコウの写真を検索して、デン! と見せる。


「おお~? ……変なの」


 率直な感想ね、アメリちゃん。


「ところが、この変なのがすごーく美味しいのよ。楽しみにしててね!」


 というわけで、かごにアンコウの切り身とアンキモのパック、白菜、ネギ、えのき、しいたけ、春菊、人参、焼き豆腐をイン!


 やだもう、この時点で美味しそうじゃなーい。じゅるり。……うーん、お店でもこのテンションはアレだなー。奇行を晒さないうちに、帰りましょったら帰りましょ。



 ◆ ◆ ◆



「たっだいまぁ~っ!!」


 バンザイ神奈スタンプのポーズで帰宅! アメリも「ただいまー」と続く。


 とりあえず冬の帰宅後ルーティンを済ませた後は、夕飯の支度には早すぎるのでLIZEで雑談……の前に、真留さんのメールチェーック! OK、受領されてます! 労いの言葉をいただき、テンションアゲアゲ! それじゃ、LIZEのグルチャにイン!


「こんにちは! 単行本の原稿、完全脱稿しましたー!」


 バンザイ猫スタンプとともに送信。


「こんにちは! 単行本完成きたー! 楽しみです!」


 ウキウキ猫スタンプとともに真っ先に反応したのは優輝さん。


「はい、それはもう楽しみしていてください!」


 サムズアップ猫スタンプとともに返信。


「ちはー。神奈サン、テンション高けーなー」


 汗拭き猫スタンプとともに久美さんもイン。


「はっはっはっ! 原稿明けは、いつもこんな感じです!」


 ドヤ顔猫スタンプとともに送ると、無言で汗拭き猫スタンプが久美さんから返ってきました。


「こんにちは。アメリちゃん、戸惑ってないといいですけど」


 由香里さんが汗拭き猫スタンプとともに入ってくる。


「アメリちゃんも、だいぶ慣れたものですよ。ふっふっふっ」


 不敵笑み猫スタンプとともに送信。スタンプ乱射魔と化してるな、私。


「うっはー、ほんとにテンション高いっすねー。飲酒したまりあさんに匹敵するっす。あ、忘れてた。こんにちはっす」


 ぐっはあ! ハッピーまりあさん並みとおっしゃいますか、さつきさん……。


「そういえば、今四人揃われているようですけど、ご休憩ですか?」


「っす。ミケちゃんも交えて、由香里ちゃん特製・アップルパイをタンノーしてたところっす。多めに作ったんで、後でおすそ分けに行くっすね」


「あらー、楽しみです! あ、お菓子といえば、明日子供たちを集めてお菓子作りでもしようかと考えてまして」


「こんにちは。楽しそうなお話されてますね。わたしもやっと小休止です」


 まりあさんもイン。皆で挨拶を返す。


「クロちゃんでしたら、明日そちらに遊びに伺わせるのは構いませんよ」


「うちも、ミケがアメリちゃんに会いたがってますよ」


「となると、あとはノーラちゃんだけですね。白部さんは既読付かないですね」


「そうだ! 良ければうちでお菓子作りません?」


 そうおっしゃるのは優輝さん。


「えっ、いいんですか?」


「ぜひぜひ! こういうの、みんなで作ったほうが楽しいじゃないですか! まりあさんもいかがですか?」


 さすが優輝さん、発想がぶれない。


「そうですね。たまには息抜きしたいものですし、お伺いいたしましょうか」


 おお、良きかな良きかな。息抜きの大切さ、身に染みてわかりますとも!


 その後、雑談すること三十分弱。白部さんの既読が一気に付き、「すみません、車で外出してました」と、汗拭き猫スタンプとともにメッセージが。


「明日の件ですが、そういうことでしたら私とノーラちゃんもお邪魔させていただきますね」


 こうして楽しく雑談は続いたけど、そろそろアメリも構ってあげないとね。繁忙期を抜けて、久々の完全オフだもの!


 さーて、アメリと何しよっかなー。

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