るんたった~、るんたった~!
二月三日の三時過ぎ、狭苦しい寝室でくるくる回りながら、軽快にスキップするアラサー女がおりました。
理由はもちろんおわかりですね? 単行本のおまけも完全脱稿したからでーす! 祝!
「おお~、おねーちゃんお仕事終わったの? おめでとー!」
アメリも、こういう状態の私は仕事明けだと把握したようで、ぱちぱちと可愛らしい拍手を送ってくる。
「いえーす、いえす! ベリベリセンキューですよ、アメリちゃーん!」
ダブルピースと満面の笑顔でそれに応える。
さあさあ、三日も余暇が出来てしまいましたよ! 何しよっかな、何しよっかな~。アメリの手を握って横にぶんぶん振りながら思案なう。
とりあえず、おめでたい料理を作る! これ第一!
あーとーはー……おやつも作ろう! そうだ、子供たちに声かけて、いつぞやのドーナツみたいにみんなで何か作るのもいーなー。
とはいえ、三時過ぎちゃったしおやつは明日でいいかな。
よし、善はハリー・アップ! おめでた晩ごはんの買い出しに行きましょー!
◆ ◆ ◆
というわけで、いつものスーパー! ズバババーン! チョモランマよりテンションが高い、神奈おねーさんでーす!
スマホをポチポチして、今日のお買い得品をチェーック!
今日のお買い得品は……だらららら……ずばりアンコウと白菜とネギとえのき!
あらまあ。これはアンコウ鍋を作りなさいという天の粋なお達しね!
「アメリちゃん、アメリちゃん。今日はアンコウ鍋を作っちゃいますよ!」
「おお? アンコウって何?」
「ふふふ、こんなお魚さんですよん」
生前のアンコウの写真を検索して、デン! と見せる。
「おお~? ……変なの」
率直な感想ね、アメリちゃん。
「ところが、この変なのがすごーく美味しいのよ。楽しみにしててね!」
というわけで、かごにアンコウの切り身とアンキモのパック、白菜、ネギ、えのき、しいたけ、春菊、人参、焼き豆腐をイン!
やだもう、この時点で美味しそうじゃなーい。じゅるり。……うーん、お店でもこのテンションはアレだなー。奇行を晒さないうちに、帰りましょったら帰りましょ。
◆ ◆ ◆
「たっだいまぁ~っ!!」
バンザイ神奈スタンプのポーズで帰宅! アメリも「ただいまー」と続く。
とりあえず冬の帰宅後ルーティンを済ませた後は、夕飯の支度には早すぎるのでLIZEで雑談……の前に、真留さんのメールチェーック! OK、受領されてます! 労いの言葉をいただき、テンションアゲアゲ! それじゃ、LIZEのグルチャにイン!
「こんにちは! 単行本の原稿、完全脱稿しましたー!」
バンザイ猫スタンプとともに送信。
「こんにちは! 単行本完成きたー! 楽しみです!」
ウキウキ猫スタンプとともに真っ先に反応したのは優輝さん。
「はい、それはもう楽しみしていてください!」
サムズアップ猫スタンプとともに返信。
「ちはー。神奈サン、テンション高けーなー」
汗拭き猫スタンプとともに久美さんもイン。
「はっはっはっ! 原稿明けは、いつもこんな感じです!」
ドヤ顔猫スタンプとともに送ると、無言で汗拭き猫スタンプが久美さんから返ってきました。
「こんにちは。アメリちゃん、戸惑ってないといいですけど」
由香里さんが汗拭き猫スタンプとともに入ってくる。
「アメリちゃんも、だいぶ慣れたものですよ。ふっふっふっ」
不敵笑み猫スタンプとともに送信。スタンプ乱射魔と化してるな、私。
「うっはー、ほんとにテンション高いっすねー。飲酒したまりあさんに匹敵するっす。あ、忘れてた。こんにちはっす」
ぐっはあ! ハッピーまりあさん並みと仰いますか、さつきさん……。
「そういえば、今四人揃われているようですけど、ご休憩ですか?」
「っす。ミケちゃんも交えて、由香里ちゃん特製・アップルパイをタンノーしてたところっす。多めに作ったんで、後でおすそ分けに行くっすね」
「あらー、楽しみです! あ、お菓子といえば、明日子供たちを集めてお菓子作りでもしようかと考えてまして」
「こんにちは。楽しそうなお話されてますね。わたしもやっと小休止です」
まりあさんもイン。皆で挨拶を返す。
「クロちゃんでしたら、明日そちらに遊びに伺わせるのは構いませんよ」
「うちも、ミケがアメリちゃんに会いたがってますよ」
「となると、あとはノーラちゃんだけですね。白部さんは既読付かないですね」
「そうだ! 良ければうちでお菓子作りません?」
そう仰るのは優輝さん。
「えっ、いいんですか?」
「ぜひぜひ! こういうの、みんなで作ったほうが楽しいじゃないですか! まりあさんもいかがですか?」
さすが優輝さん、発想がぶれない。
「そうですね。たまには息抜きしたいものですし、お伺いいたしましょうか」
おお、良き哉良き哉。息抜きの大切さ、身に染みてわかりますとも!
その後、雑談すること三十分弱。白部さんの既読が一気に付き、「すみません、車で外出してました」と、汗拭き猫スタンプとともにメッセージが。
「明日の件ですが、そういうことでしたら私とノーラちゃんもお邪魔させていただきますね」
こうして楽しく雑談は続いたけど、そろそろアメリも構ってあげないとね。繁忙期を抜けて、久々の完全オフだもの!
さーて、アメリと何しよっかなー。
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