神奈さんとアメリちゃん

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第三百九十五話 無敵の騒音耐久力も、良し悪しだね

公開日時: 2021年10月31日(日) 21:01
文字数:2,229

「さて、二人のお腹ペコちゃん具合はどんなもんですか?」


 さきほどまでチョコレートを出していたので、尋ねてみる。


 かくいう私も、入らないというほどではないけど、正直お昼が楽しみでしょうがないってレベルでもない。


「んー。アタシ、すっげー腹減ってるってほどじゃないかな」


「アメリもー」


 ふむ。先におやつ出したのは失敗だったかな?


 ま、やっちゃったもんはしょーがない。お昼はお手軽に済ませましょ。


 となると、色んな意味でお手軽なのはサンドイッチかなー?


「サンドイッチ作るけど、それでいいかな?」


「「なんでもいいよー!」」


 二人ハモっていつもの力強いお言葉だけど、こういうときにはありがたい。


「そういえば、ノーラちゃん朝は何食べたの?」


「えっとー、ほうれん草のおひたしと卵焼きだろー。あと、納豆とごはん!」


 ふむふむ。白部さん、よく調理時間あったな……。あれかな、卵焼きと納豆以外はレンチンで済ませた感じかしらね?


 ともかく、ノーラちゃんの朝食が卵なのはわかったから、たまごサンドはナシ。ツナサンドがお手軽だけど、私たちの朝食がそれだったのよね。


 すーるーとー。よし、あれでいこう!


 まず、パンにとろけるチーズとハムを、パパっと塩胡椒して挟みまーす。


 あとは……じゃーん! 久々の出番ですよ、ホットサンドメーカーくん!


 これに挟んで、裏返しながら焼いて……よっし! 一号完成! 続いて二号、三号と焼いていきますよー。


 はーい、ほかほかハムチーズサンドのでっきあがり~!


「アメリー牛乳入れてくれる?」


「らじゃー!」


 マグカップを取り出すアメリちゃん。もちろん、アメリのはケイティちゃんのです。


 あとは、包丁で三角に切って、お皿に乗せて……。アスパラ缶でマヨサラダ作ってっと。かんたん昼食完成~!


「お待たせ~、できあがりましたよー。それじゃ、いただきますしようか」


 エプロンを外して着席。


「いただきます!」


 子供たちも続いて合唱!


 ぱくっ……うーん、チーズがてろ~んと伸びて、ハムの適度な肉感もよし! 塩胡椒の加減もバッチリですよ! お手軽なのに美味しいって、最強よね!


「二人はお味どう?」


「うめー!」


 おお、出ました「うめー」シャウト!


「うん、美味しい!」


 アメリちゃんも満足そうで良きかな良きかな


 アスパラも、お手軽なのに美味しいわよねえ。常備しておくと、ほんと便利。


 ごちそうさまでした。三人で仲良く宣言し、お皿を片付けて歯磨き。アメリのは子供用の甘いハミガキ粉で、ノーラちゃんにも同じのを使ってもらってる。


 いつ頃、ミント味のにさせたらいいいのかなー? いや、焦ることもないな。まだ人間でいえば、九つにもなってないんだもの。歯が磨けてればそれでいいや。


 お口をすっきりさせたら、お仕事再開です。


 とりあえず、下書きが出来上がらないと芦田さんが作業に入れないから、読み切りより優先。こつこつと線を引き、セリフを入れていきます。


「おねーちゃん、ダンスゲームやっていいー?」


「どうぞー」


 私、騒音耐性最強だから、いちいち断らなくても大丈夫だけど。そういう気遣いができる習慣がついてるのは偉いね。


 最近ボクササイズに押され気味だったダンスゲームも、久々の出番に張り切ってるのか、軽快なBGMを鳴らします。


 すると、スマホに着信が。


「ごめん、ちょっとゲーム中断してくれる?」


 二人にストップをかけ、応対。送信者は久美さん。


「はい、もしもし?」


「やー、どーもこんちわ。そういえばさ、例のダンスゲームでちょっと面白いことやってみたんよ」


「こんにちは。面白いこととおっしゃいますと?」


 コーヒー牛乳を一口飲む。


「いやね、例のダンスゲームさ、オリジナルの曲と譜面をアップロードできるのよ。でさ、こないだ息抜きに作った曲アップしてみたんだわ。よかったら、プレイしてみて欲しいなって」


「あら、渡りに船ですね! 今、アメリとノーラちゃんが対戦してたとこです。セットの仕方、教えていただけますか?」


「いいぜー」


 彼女指導のもと、楽曲をダウンロードする。


「……できたと思います」


「ちょっと流してみて」


 久美さんが作曲した、「S-M-G 1915」という曲を再生してみる。うお! なんかすごい激しいのが流れてきた!


「おけ。じゃあちびっこたちの感想あとで聞かせてね。んじゃ!」


 それだけいうと、電話が切れました。


「えっとね、これ久美さんが作った曲で、遊んでみてちょうだいって」


「おー! おもしろそーだな! やろーぜ!」


「うん!」


 というわけで、私はくだんの曲をBGMにお仕事再開。


 ……なんかこう、全体的にめっちゃ激しい曲だあ~! なんだか、ギターもドラムも、連打がすごい!


 いやはや。「ひなまつりゲーム」はおとなしい曲調のが多かったけど、こういう曲も作られるんだなあ。というか、普段控えめな曲ばっかり作ってるからこそかしらね。息抜きっておっしゃってたし。


 私も、年に一度の読み切りが、いいリフレッシュになってるしなあ。


 しかし、これは思わずヘドバンしたくなってしまう! お、お仕事に集中~! 工事音でも平気な私に、意外な試練が!


 心頭滅却すればなんとやら! 平常心です。平常心……。


 無の世界に入れました。すらすら、すいすい。かちゃかちゃ。


「……ちゃん、おねーちゃん!」


「ほい!?」


 肩を叩かれたので振り返ると、そこにはアメリちゃん。


「お腹空いたー」


 PCの時計を見れば、もう六時! うお! めちゃくちゃ集中してた!!


「ごめん、今ごはん作るからね!」


 急いで作業を保存して、PCをスリープにする。やれやれ。無敵の騒音耐久力も、良し悪しだね。

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