「自由研究、どうする?」
学校も夏休み。今日もお隣で宿題してたけど、そろそろそれもやらないとと、クロが提案してくる。
「あー……。すっかり忘れてた~」
ぐでーっと、机に突っ伏すノーラ。
「何にしようかしらねー?」
下唇に人差し指を当てて、考え込むミケ。
「えっとね、四人で一つの自由研究をするのはどうかな!?」
そう言うと、みんな一斉にこっちを見る。
「たとえば?」
「おお? うーんとね、えっとね」
ミケの返しに、考え込んでいると、ふとひらめいた!
「このへんの、地図作ろう!」
「えー? そんなのマップ出してプリントしたら終わりじゃない」
不満そうなミケ。
「違うの、違うの! たとえば、いつものスーパーあるでしょー? そこでね、インタビューする! お仕事のこととか! そうやって、インタビューしたことを地図にしてまとめるの!」
みんなから、「おお~!」と声が上がる。みんなアメリみたい。
「面白そうだね。でも、どこからどこまでやる?」
「だいたいアタシらが行くとこつったら、東と北は『カトレーヌ』、南はドラッグストアだろ。で、西はクロがよく行くほうだけど、『さわき』。そのあたりでよくね?」
「たしかに、松戸先生のとことかまで入れると、範囲広すぎるね。その四方にしようか」
ノーラの提案を、クロがまとめる。
「よし、善は急げね! みんな、スポドリとスマホ持ったら、自転車で行くわよ!」
みんなで、「おー!」と盛り上がる。今度は、みんなノーラみたいになっちゃった。
◆ ◆ ◆
まずは、カトレーヌさん!
「いらっしゃいませ」
「すみません、インタビューさせてください!」
さっそくお話しを切り出すと、お姉さんが「少しお待ち下さいね」と、おじさんと話し始めた。
「ええと、何が聞きたいのかな?」
話し相手は、おじさんにバトンタッチ。
「自由研究するんです! それで……」
今回のアイデアを話す。
「なるほど。うちはチェーン店のお菓子屋でね。メインはケーキだけど、見ての通り、お団子なんかも売ってるんだ」
スマホのメモアプリに、みんなで一所懸命メモっていく。
「大変なことって、やっぱりありますか?」
クロが質問。
「みんな立ち仕事だし、やっぱり雨の日はお客さんが減ったりで……色々とね」
メモメモ。
「やりがいはありますか!?」
今度はアメリが質問。
「あるよー。やっぱり、お客さんが笑顔で帰ってくれると嬉しいよね。みんなも、一所懸命働いてくれてるしねえ」
四人で、ほかにもう質問がないか打ち合わせ。なさそうだったので、お礼を言って、ぺこりと頭を下げる。
「ありがとーございました!」
「どういたしまして。研究、頑張ってね」
次は、コンビニ。でもここでは、仕事が忙しくてインタビューできなかった。がっくり。
でも、店内の様子をメモしていいですか? と尋ねるとOKをもらったので、売っているものなんかを書いていく。写真はダメだって。
コンビニの次は、ラーメン屋さん。ここにもあったんだね。店長さんに、人気商品とか、色々訊いていく。
次は……ともちゃんの学校だ! 夏休みだから校庭でみんなが、いろんなことして遊んでるね。
入っていいですか? って訊いたけど、ここの生徒じゃないとダメだって。残念だな。アメリたち、もっと離れた学校に通ってるから。
そして、いつものスーパー。クロ以外、みんなじょーれんさんだから、色々丁寧にお教えてもらっちゃった。「正直な商売」がポイントなんだって!
道路を渡って、ドラッグストアでも取材。T地方あちこちにお店があるけど、ここが本店なんだって! すごい!
その上の、パソコンショップでも取材。
「……疲れたね」
クロがため息をつく。
「なんだー。もうへばったのかー?」
「ボクは、インドア派だから」
スポドリを飲みながら、ノーラの言葉に答えるクロ。
「一日で、全部回らなきゃいけないってこともないわよね。続きは、明日にしない?」
空のペットボトルを、残念そうに見るミケ。
一同、「さんせー!」ということで、続きは明日にすることにしました。
◆ ◆ ◆
ドラッグストアの続きは、つけ麺が美味しいラーメン屋さん。みんなのおねーちゃんたちから、「ただでインタビューも悪いから、なにか食べてきなさい」って、お金もらっちゃった。
「おじさん、ここのつけ麺、ほんと美味しいよね!」
「ありがとうね! 嬉しいから、味玉サービスしちゃおうかな!」
玉子もらっちゃった。
というわけで、お食事しながらインタビュー。このお店は、「青坂屋」っていうもとのお店があって、そこから、のれん分けしてもらったんだって。
「のれん分けってなーに?」って訊いたら、修業を終えたら、お店の名前を貸してくれるんだって!
「ごちそうさまでした!」
満腹!
ほかにも、細かいことをインタビューして、次のお店へ!
次は、道路を戻って「コジカ」さん。生き物を扱う苦労を、色々聞きました。
お次は、「ニコリ《家具屋》」さん。お布団なんかも売っているから、面白いね。ここでも、色々インタビュー。
そして、「マンマ・トラットリア」さん。お腹いっぱいだけど、残ったお金でケーキを買いました。お土産にしよう。
で、ここでもインタビュー。ここも、美味しかったよねー。また、食べに来たいな。
二日目はここまで! 明日で、完成させるよ!
◆ ◆ ◆
三日目、もうあとは、H街道の住宅街ぐらい。いつもの公園は……今更取材しなくても大丈夫だよね。
さらに進むと、途中、「おもいで」っていう、目立たないところにある休憩所があったので、インタビュー。趣味でやっているお店で、「ほっと落ち着く空間」をてーきょーしてるんだって。
とりあえず、今日もお金をもらっているので、飲み物を飲みました。
そして、「さわき」さんを取材。お肉と魚に自信があるらしい。クロも、「たしかに、ここのは美味しいよね」って言ってる。
あとは、郵便局とか、お医者さんとか。ここのお医者さんは、猫耳人間は診てくれないみたい。だから、わざわざクロは、遠い松戸先生のところに行くんだね。
コンビニもあったけど、最初の日のところとあまり代わり映えしないな。とりあえず、メモメモ。
「こんなところかな?」
みんなに訊くと、「うん!」と返事がくる。
じゃあ、ミケのおうちにもどろー!
あとは、由香里おねーちゃんから大きな紙をもらって、スマホの地図と照らし合わせながら、地図を描いていく。
……できたー!
「「いえーい!」」
みんなでハイタッチ! うん、よくできたと思う!
学校が始まって、地図を出したら、「たいへんよくできました!」って褒められちゃった!
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