神奈さんとアメリちゃん

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第四百三十二話 きのこ VS たけのこ!?

公開日時: 2021年12月11日(土) 21:01
更新日時: 2021年12月12日(日) 21:45
文字数:2,230

 朝、メールをチェックすると、真留さんから「月曜二時に、打ち合わせしましょう」との打診をいただきました。


 この日の勉強会をどうしようかとも思ったけど、よく考えたら打ち合わせはリビングでやるし、いつもみんなの横でお仕事してるだけだから、同時進行で構わないか。というわけで、OKの返事。


 今日のおやつは「きのこの里」と「たけのこの山」。派閥争いが起きることで有名なチョコ菓子だけど、そんな事態に備えて、両方五つずつ買っておきました。


 ちなみに私はきのこ派で、昨日アメリに「どっちがいい?」と尋ねたら、マイ・ドゥーターはたけのこを選びました。OH、GOD! マスペといい、細かいところで好みが合わない悲しさよ。


 まあ、そんなことはさておき、お昼までお仕事です。連載のほうは打ち合わせ待ちだけど、普通に読み切りのほうも描かなきゃいけないからね。


 今日はアメリちゃんの気合がみなぎってて、一人でホットドッグを作ってくれるようです。美味しいよね、ホットドッグ。


 ちなみに、前に教えた食パンタイプではなく、普通にホットドッグロールに挟むみたい。さらに、ザワークラフトも挟むそうで、なかなかゴージャス。楽しみねえ。


 さらさら……。すいすい……。


 ううむ、我ながら絶好調。昨日、アメリに読み聞かせで、甘えてもらったおかげかなー。


 私って、子供ができたら、こんなに子煩悩になるタイプだとは思ってなかったよ。でも、生前のアメリ中心だった生活を考えると、その素養はあったかもねー。もっとも、ペットを中心に自分を回せない人は、ペット飼えないと思うけどね。


「おねーちゃん、ごはん作りに行くよー」


「うぉっ!?」


 いきなり声をかけられて、びっくり! その声で、アメリちゃんもびっくり! しっぽがぶわっ! PCの時計を見るとお昼前。あや、随分熱中してたなー。


「大声出して、ゴメン。びっくりしちゃって。じゃあ、行きましょうか」


 作業を保存して、PCをスリープに。では、行きまっしょい!



 ◆ ◆ ◆



 フライパンで、ソーセージを焼くアメリちゃんを、見守るワタクシ。


 アメリはできた子だけど、人間でいえばまだ八歳児。火や刃物を使わせる以上、ちゃんと見守っている必要があるので、彼女が一人で料理するときも、常にそばに待機。


 本人は「もう、一人でできるよー」と言うけれど、「そういう、自信にあふれてるときが一番危ないんだよ」と、言い聞かせている。


 ただ、こういうのも度が過ぎれば過干渉。「アメリが十歳になったら、ためしに完全に一人でやらせてみるね」、とも約束してあります。


 前々から思ってるけど、子離れのタイミングって、ほんと難しー! 今度、お母さんにアドバイス求めてみようかな。


「できたよー!」


 一人で悶々と悩んでたら、アメリちゃんがホットドッグを完成させてました。いやん、これじゃ何のための見守りなんだか。


「ありがとー」


 ともかくも、お礼を言う。


 ホットドッグが、アメリは二本、私は三本ずつお皿に載せて配膳される。続いて紅茶をれてくれる愛娘。


 それも配膳し終わると、エプロンを外してちょこんと着席。


「いただきます!」


「はい、いただきます!」


 アメリシェフの音頭取りで、ホットドッグをパクッ!


 うふふ、ちゃんとできてるぅ! 肉汁がじゅわっ、ザワークラフトの酸味も爽やか。これにケチャップとマスタードのシンプルさがまたGOOD!


「美味しいよー」


「えへへ、ありがとー」


 照れるシェフ。か~わい~い~!


 こうして、お昼も美味しく食べ終わりました。片付けぐらいはやろうかと言ったのだけど、それも自分でやるとのことで。立派だなあ。無理だけはしないでね?


 というわけで、歯を磨いたらお仕事再開。できるとこまで頑張ろー!



 ◆ ◆ ◆



 勉強会の時間が来て、いつものメンバーがわちゃわちゃと、勉学に励んでいます。


 ミケちゃんが鼻歌歌って上機嫌。いいことあったのかな?


「ミケちゃん。なんか今日、いいことあった?」


「ん? 今日っていうか昨日だけど、ほら、神奈おねーさんがアイデア出してくれたじゃない? それを久美に話したら、ささっとAメロ作ってくれて」


 Aメロ?


「Aメロって何?」


「メインになるメロディのことよ。裏になるのがBメロ」


 へー。さすが、作曲家と一緒に暮らしてると、そういうのも詳しくなるのね。


「まだ、だいぶ調整が必要らしいけど、楽しみだわー」


 うっとりするミケちゃん。私が言い出したことだけど、本来のお仕事しながら、Aメロとやらを速攻で組んでしまうとは、さすが面倒見がいい。そして、腕もいい。


 ほかの三人も勉強が順調なようで、良きかな良きかな。あ、そうだ。


「白部さん。特別カリキュラムの件ですけど、いつごろプランが固まりそうですか?」


「今度の定期検査のときに、お話しましょうかという形になりました」


「ありがとうございます」


 そっかー。キンチョーするなあ。アメリも「おお~……」と静かに緊張の声を出している。


 勉強も仕事もつつがなく進み、休憩タイム。きのことたけのこを出すと、白部さんとノーラちゃんはたけのこ、ミケちゃんとクロちゃんはきのこを手に取りました。


「ふふん。気が合うじゃない、クロ。アメリとノーラと白部センセーが敵に回ったのは、残念だわ……」


 ミケちゃん。敵って、大げさな……。


「神奈おねーさんはどっち派?」


「私? きのこー」


「さっすが、神奈おねーさん!」


 なんか、すごくどうでもいいことで褒められてしまった。まあ、悪い気はしないけど。


 ともかくも、今日の勉強会もこんな感じで、楽しく(?)進んでいったのでした。

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