神奈さんとアメリちゃん

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第二百九十八話 久々のお買い物!

公開日時: 2021年7月22日(木) 21:01
更新日時: 2021年8月17日(火) 01:16
文字数:2,060

「それでは、お疲れ様でした~」


 三家の分岐点である白部家の前で、別れを告げる私たち。


「いやー、これからやっと買い物行けますよー」


 伸びをしながら、お陽様の光をうんと浴びる。


「え、この後お買い物ですか?」


 由香里さんがちょっと不安そう。


「ええ。さすがにそろそろ、生鮮食品が恋しいですし」


 すると由香里さん、「危ないことないでしょうか?」と考え込んでしまう。集団行動した公園と違って、私とアメリ二人きりだから心配なのかな。


「せめて、車を使ったほうが良いのではないかと」


 と続ける。ふーむ、まあたしかにご心配ごもっとも。


「わかりました。車で行きますね」


「なんなら、ウチがついて行こっか? 最近家事サボりまくったからな。買い出しついでに」


 久美さんの援護射撃。


「ありがたいお申し出ですけど、ご迷惑じゃありません?」


「今さらだぜ、神奈サン。それに、迷惑だなんて思ってないよ」


「姉さんがついててくれるなら心強いっすね。でも、お酒はほどほどにしてくださいっすよ」


「善処する」


 最後の言葉を聞いて、ついぷっと吹き出してしまう。


「え? 今の笑うとこあった?」


「すみません。総理の頼りない会見を思い出してしまって……」


 理由を説明すると、一同「あー」と得心がいった模様。


「じゃあ、同伴させてもらうんで、出かける用意ができたら言って」


「うち、お昼の材料が保存食しかないので、今からでも行こうかと思ってまして」


「へー。んじゃー、行こっか」


 というわけで、一度別れ、エコバッグを持って久美さんとお出かけする次第となりました。



 ◆ ◆ ◆



「ウチさ、基本買い物って任されないんよね」


 道中、久美さんが話しかけてくる。


「そうなんですか?」


「ほら、ウチ徒歩勢じゃん。で、買い物が基本多いからってんで外されるんよ」


 あー、なるほど。


「キロ単位だからねー、我が家の買い物。五キロぐらいなら筋トレ代わりに持つけどなー」


「大家族ですものねー」


 とか話してるうちに、いつものスーパーに到着!


「ここのBGM、面白い作りしてるよなー」


 と、音楽家らしいコメントをこぼす久美さん。


「ですよねー。何か妙に耳に残るんですよ」


 などと言いつつ、スマホチェーック!


 今日は、ホタルイカ、レタス、キャベツなどがお安い。


「久美さん、今日のセールはこんな感じですよ」


「へー、ホタルイカ……。ポン酒できゅっといきてえねぇ」


 実に酒飲みらしい第一声。ともかくも、最終的に落ち合うことにして別行動。


 うちも、せっかくだからホタルイカにしよう。


 久美さんもホタルイカ狙いだから鮮魚コーナーに一緒に行くかと思ったけど、違う方向へ。あっち、リカーコーナーがあったっけね。わかりやすいなー。


 カートを押して歩くと、アメリに皆さんの視線が集中! もう、慣れましたとも。


「おお~、赤ちゃんイカ!」


 ホタルイカを見て、目をまん丸にするアメリ。耳が動いて可愛い。これよねー、猫耳の醍醐味って。


「あー、これはちっちゃいけど大人のイカさんなのよ」


 説明すると、「おお~」と感心。


「今日のお昼はこれにしようね。あとはお野菜ぶんも……わかめのお味噌汁でいいか。あとは夜だなー」


 お昼はホタルイカってことで和だから、中か洋でいきたいねー。なんかキャベツも食べ飽きたから、レタスでいいレシピないかしら。検索~。


 へー、レタスのごま和え。これ、お昼に回そうかな。ほかには……。ほほう、レタスとアンチョビのスパゲッティーとな? これ面白そうねー。よし、晩ごはんはこれにけってーい!


 レタスをかごに入れた後は、缶詰コーナーでアンチョビとオニオンスープ缶をゲット。


 あとは……。


「何か買いたいものある?」


「うめえ棒とコーラ!」


 ほいほい。あとはおなじみ三種の神器ですかねー。うちはこんなもんかしら。お会計済ませて、トランクにとりあえず入れときましょ。



 ◆ ◆ ◆



「おまっとさーん! トランク開けてくれー」


 車内で時間つぶししている旨は伝えてあるので待っていると、ややあって久美さんが来ました。


 てか、すごい大荷物ね……。かくてるの皆さんのお買い物って、いつもこんな感じなのかー。とりあえず、トランクを開ける。


「ふー、調子に乗って酒買いすぎた」


 あら、大荷物のかなりがお酒なのね。善処とは一体……。


「あ、言っとくけどふつーに食料もたくさん買ってるかんね」


 心を読まれた。


「出していいですか?」


「おけ」


 というわけで、発進!


「ウチでも結構キツい量だなー。そりゃ運ぶのを頼まれるわけだ」


 独り言を言う久美さん。


「そうなんですか?」


「うん。優輝たちがよく荷物ひいこら運んでるからさ、買い物に行かないぶんいつも家に運ぶの手伝ってんのよ」


 「なるほど」とうなずく。


「まー、大家族なりの苦労ってやつだね。今日は日用品頼まれてないから楽なほうよ」


 あー、これでトイレットペーパーとかあったらそりゃ大変だ。


 そんな会話をしていると、かくてるハウス前に着きました。


「じゃ、今日はどーも」


「いえいえ、今までのお返しと思っていただければ」


 大荷物を抱え一礼する久美さんに頭を下げ返し、えっちらおっちらと邸内に入っていく彼女を後に、帰宅するのでした。

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