神奈さんとアメリちゃん

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第三百七十一話 由香里とさつきの意外な相性!?

公開日時: 2021年10月4日(月) 21:01
文字数:2,915

 またも、パンフ片手に作戦会議。


「へー、相性占いとかあるっすよ、姉さん」


「おん? あー、これか」


 凸凹コンビに言われてパンフを眺め回すと、この二階に、やる気のない卵のキャラクター「くたたま」が相性を占ってくれるコーナーがあるそうで。


「面白そうですね! やってみません?」


 まりあさん、こういうのがやはりお好きなのかノリノリ。まあ、私も女子ですから? こういうのはやぶさかではないですども!


 というわけで、ぞろぞろとそちらのコーナーへ。説明書があって、その脇にはタロットカードが載ったテーブルと、占い師姿のくたたまのパネルとかあって、雰囲気作りに一役買ってる。


 しかし……くたたま、ほんとやる気ないデザインしてるなー。それが人気の秘訣なんだけど。猫も、やる気ないところが可愛いからねー。


 幸いガラガラだったので、すぐにチャレンジ。一番手はまりあさんとクロちゃん。手を繋いで、両サイドの鏡型タッチパネルを触る。


「二人の相性は百%たま~。すごいたま~。おめでたいたま~」


 くたたまがやる気ゼロのボイスで二人を祝福する。


「わあ、クロちゃん、相性百%ですっって!」


「ふふ……嬉しい……」


 はしゃぐまりあさんに、はにかむクロちゃん。二人とも可愛い。


「じゃあ、次は言い出しっぺの自分と姉さんがやるっすね」


 これまた百%! おお~と、がっしり握手するお二人。


 しかし、続く優輝さん&ミケちゃんも、白部さん&ノーラちゃんも、そして私とアメリもぜーんぶ百%で……。


「これ、ひょっとして百%しか出ないようになってるとか?」


 いぶかしむ白部さん。


「まあまあ、お遊びですし。切ない相性出たら、嫌じゃないですか」


 一方、優輝さんは極めてお気楽に楽しんでいる。でもねえ、程度ってものがない? と、私も内心やや白部さんサイド。


「奇数人だから、わたしだけあぶれちゃったな。そうだなー……さっちゃん、やらない?」


「いっすよー。やるっす、やるっす」


 少し悩んだ末に、由香里さんがさつきさんを指名。二人で手を繋ぎ、タッチすると……。


「二人の相性はマイナス百%たま~。もうダメたま~。おしまいたま~」


「えええ……マイナス百って……」


 呆然とする由香里さんをよそに、かくてるの残りお三方は「あっはっはっはっ」と大爆笑!


「ほんっといーかげんですねえ、これ! あー、お腹痛い」


 涙を拭う優輝さん。


「優輝ちゃん、笑いすぎー。さっちゃんも、少しはショック受けようよー」


「やー、すんませんす。でも、ここまでキョクタンだと笑うしかないっすよ~」


 まだ、くすくす笑ってる。


 我々ノン・かくてるズは、この空気にどう反応したものやら。


 白部さんを見ると、肩をすくめて返される。やれやれだね。


 とりあえず各人、くたたまのテキトー占いを楽しんだ後は、三たび作戦会議。


「おお~! おねーちゃん、ケイティちゃんがいる~」


「ん? あ、いるね」


 アメリが指差したほうを見ると、ほこらのようなものの中に、カーテンに包まれたケイティちゃんと鐘が見える。


「あれ行きたい~」


「いいよー。行こうか」


 近づくと、「恋愛成就のハッピー・ベル」の文字が。恋愛成就……。


「えーとね、これは恋……」


 アメリを説得しようとすると、期待で瞳がキラキラ。アメリの学力じゃ、まだ読めないものねえ。


 うん、姉妹でやっちゃいけないって決まりもないでしょう。がっかりさせるほうが可哀想だ。


 二人でケイティご本尊の上にあるベルの紐を引き、かーんかーんと鳴らす。


「やー、アツいっすねー、ご両人!」


「もう、からかわないでくださいよー」


 茶化すさつきさんに、ツッコミを入れる。由香里さんも久美さんも、普段彼女へのツッコミで大変そうね。身をもって知りました。


 気を取り直して、パンフを見る。


「あ、外れのほうにキラとラキのおうちで撮影できるコーナーがあるらしいです。私、これ行きたいです!」


 キラとラキ熱が再燃してしまった私、猛プッシュ。


 みんなを見回すと、反対意見もないようで。そちらに向かうこととなりました!



 ◆ ◆ ◆



 入り口にやってきましたが、このアトラクション「トゥインクルトラベル」は少しイベントがあるようで、十分じゅっぷんほど待ち時間ができてしまいました。


 言い出しっぺの私を先頭に、みんなで整列。


 そして、いざ入場!


 いきなりキラとラキのおうちに入れるかと思いきや、少しミニシアターを見るみたいです。


 キラとラキのアニメか~。楽しみぃ!


 係員のお姉さんの説明が終わると消灯され、横に長めな楕円型のモニターに、赤ちゃんのキラとラキが映りました。


 二人はちょっと甘えんぼなので、お父さんとお母さんの星が、二人を地球に送ったんですって。へー、そういう設定だったんだ……二十八になって初めて知る、キラとラキのバックストーリー!


 そして、「秘密の呪文『トゥインクル・トゥインクル・マジカルスター』を唱えてね!」とキラとラキ、そして係員さんが言うので、ちょっと恥ずかしいけど一緒に呪文を唱えます。


「「「トゥインクル・トゥインクル・マジカルスター!」」」


 大人も子供も、心を一つにして合唱すると、虹色の明かりともに照明が戻ってきました。


 いざ、奥の二人の家へ!


 わあ……! キラとラキを象徴する、雲の世界がお出迎え!


 ハンドルを回すと壁面に画像が投影されてユニコーンが生まれたり、ほかの壁面にも二人や可愛い雲の動物のイラストがたくさん!


 あ、キッチンがある~。やだ、星の入ったシチューとかケーキ可愛い~! こっちは雲のお風呂! あの二人、これに入ってるんだ~。


 夢中で撮影していると、くいくい裾が引っ張られる。


「おねーちゃん~、アメリも撮って~」


 おっといけない、幼い頃の情熱が燃えすぎて失念していました! 夢中になると、ほんとダメね!


「じゃあ、あのお月様に座ってみようか」


 キラとラキが両端に掴まっている三日月型のベンチに、ちょこんと座るアメリちゃん。


 やだ……カワイイ×カワイイ=∞だわ……!!


 夢中で、撮影ボタンをタップしまくる。


「あの、神奈さん。そろそろ代わっていただけますと……」


 まりあさんに、すまなそうに肩を叩かれる。や……やってしまったァ~ッ!!


 あーもう、どうして私はこう……。


 「失礼しました」と、アメリとクロちゃん交代。クロちゃんも可愛いなあ。斜めからだけど、まりあさんと一緒にパシャリ。


 その後も、ミケちゃん、ノーラちゃんを撮影。みんな天使だわ~。


「あの、神奈さんって、もしかしなくてもキラとラキお好きですよね。撮りましょうか?」


 ちょっといたずらっぽい笑みを浮かべてスマホを構える優輝さん。うう、アラサー女にそのチャレンジをさせますか……。


 でもどうしよう、すごく心惹かれる。


「お願いします……」


 小声で頼み、ちょこんと着席。パシャリと撮影され、優輝さんの画像フォルダにキラとラキに囲まれ、三日月の上でこっ恥ずかしそうにもじもじするアラサー女の写真が収まるのでした。


「可愛かったですよ~。これ、そちらにも送りますね!」


「アリガトウゴザイマス……」


 顔から火を吹きそうになりながら、ファイルを受信する。でも、大好きな二人と記念撮影できて、まんざらでもない。というか、すごく嬉しい!


 もう、撮るべきものもなくなったので、出口へ。


 ちょっと恥ずかしかったけど、いい体験ができた~!

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