神奈さんとアメリちゃん

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第三百四十六話 こういうのって、重なるときは重なるんだなあ

公開日時: 2021年9月9日(木) 21:01
文字数:2,056

 今日も愛娘のもみもみアタックで起床したワタクシ。


 朝の挨拶をぬぼーっと交わし、洗面所に向かおうとする途中。デスクの上の水差しに生けられた、一輪の紅いカーネーションが寝ぼけ眼に映りました。


「そうだ、母の日……。一日早かったけど、ありがとうねえ~。あふぁあ~……」


 大あくびをしながら改めて感謝を述べると、「どういたしまして!」とお陽様笑顔を向けてくるアメリちゃんでした。


 トイレと洗顔を済ませた後は、いつものようにダメダメ状態でトーストを焼く。


 焼き上がったら、牛乳を注いで着席。


「いただきます……」


「いただきまーす!」


 むにゃむにゃといただきますを言うと、アメリも元気にそれに続く。


 はむっ……もぐ……もぐ……もぐ……ごくん……。


 はむっ……もぐ……もぐ……もぐ……ごくん……。


 はむっ……もぐ……もぐ……もぐ……ごくん……。ごくごく……。


 カタツムリのほうがもうちょっと早いんじゃなかろうかという速度で、パンをちまちまかじっていく。そして、ときおり牛乳。


 一方のアメリはしっかり噛んで味わいつつも、スムーズに食事を進め、さくっと食べ終わってしまいました。


「ごちそーさまでした!」


 合掌し、ごちそうさま宣言する愛娘。さっそく、テレビを見始める。


 んー……? なんだろ? なんかひらめきそうなんだけどな。頭の奥につっかえて、なんだか出てこない。


 まあ、そのうちポンと出てくるでしょ。



 ◆ ◆ ◆



「ごちそーさまでした~」


 八時近くになって、やっとこ食事終了。頭もだいぶしゃっきりしてきました。


 さっき、何か思いついたんだけどな。なんだっけ……?


 ……。……? あ!


「ねえ、アメリ! 朝食当番になってみない!?」


「おお!?」


 突然大きめの声で提案する私に、びっくりするアメリ。慌ててテレビから視線を外し、こちらを見る。


「ほら、私朝こんなでしょう。だから、いつもトーストとかシリアルぐらいしか用意できないじゃない? で、一方アメリちゃんはお料理を自分で作りたい。ウィンウィンだと思うわけですよ」


「おお~!」


 突飛ながらも合理的な提案に、感心する我が妹。


「やってみる?」


「やるやる!」


 ノリノリで、身を乗り出してくる。


「じゃあ、これからいろんな朝食メニューを教えるね。朝は少なくとも私、こってりしたものは受け付けないから、サンドイッチとかハムエッグとか、いい意味でお手軽なメニューが多くなると思う」


「おお~!」


 瞳キラキラ。


「なんで、これからしばらく、お昼とかに朝用のメニューを教えるね」


「頑張るー!」


 拳を突き上げ、鼻息荒いお嬢様。朝から元気ねえ、ホント。



 ◆ ◆ ◆



 デスクでニュースのチェックなう。


 うわ~。今日は結構暑くなるのか~。初旬とはいえ、もう五月だもんねえ。さすがに、そろそろ夏物がほしい。


 よし、繁忙期だけど夏物を買わないわけにもかない。今日は駅前にお出かけしよう。


 そうだ。これから夏だし、髪も切ろうかな。今日、いつもの彼女美容師さんが空いてるかどうか、「nana美容院」さんに尋ねてみよう。空いてなかったらまた今度だね。


 そうと決まれば、開店時間までお仕事お仕事~!



 ◆ ◆ ◆



 電話で問い合わせたところ、日曜なこともあり、いつもの彼女含め予約がいっぱいらしい。残念!


 仕方ないので、十一時半頃お出かけしよう。


 朝用メニューを教えるとは言ったけど、今日のお昼は外で食べましょうかね。お料理のティーチングは夜かな。夜に朝食作るのは前もやったし。


 さて、そうと決まればどなたかとお出かけしたい。LIZEで呼びかけてみよう。


「おはようございます。今日、F駅前に夏物を買いに行こうと思うのですが、どなたかご一緒にいかがですか?」


 優輝さん以外から挨拶が返ってくる。はて、優輝さんどうしたのかしら? なんか用事してるだけという気もするけど。


「優輝さん、お仕事中かなにかでしょうか?」


「あー、優輝はミケと一緒にダンススクール見学」


 なんと!


 久美さんの説明にビックリ。


「クロちゃんが将棋教室の見学に行ったのは聞きましたけども、ひょっとしてミケちゃんも本格的に?」


「そそ。ミケ子がちゃんと歌と踊りを習いたいって言い始めてさ。それじゃあってんで、一緒に見に行ったワケよ。うちらは、今うちらだけでできる部分の仕事中」


 ほえ~……。みんな、夢に向かって邁進してるなあ。


「あ、すみません。私たちも、近くの少女サッカークラブに見学に行こうかと……」


 ふえー。白部さんまで! こういうのって、重なるときは重なるんだなあ。


「わたしたちは、来週から入門させようという話になりました」


 クロちゃんのほうは、本決まりしたらしい。なんだか、うちも何かさせないとと気が焦っちゃうなあ。


「わたしたちでしたら、今日お付き合いできますけど、いかがでしょう?」


「願ってもないです。二人だけというのも少し寂しかったですし。お昼は外で食べようとおもいますが、構いませんか?」


 「はい」とのお返事。


「では、十一時半頃、お迎えに上がりますね」


「わかりました。よろしくお願いします」


 というわけで、話もついたのでLIZEを最小化する。


 それじゃー、お着替えタイムまでお仕事お仕事~!

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