「こんにちはー! お二人とも、お元気でしたかー?」
「こんにちは! 押江せんせー、久しぶり~!」
「こんにちは。お久しぶりです。はい、アメリも私も、元気に過ごしていました」
今日は、久しぶりに、押江先生がいらっしゃいました。
「あー、ミケちゃんもこんにちは! お元気でしたかー?」
見ると、ミケちゃんがちょうど、お隣から出てきたところです。
「あ、押江センセーこんにちは。ええ、優輝の実家でのんびりしてたわ」
「いいですね、いいですね。元気が一番です!」
うんうんと頷く、押江先生。
「クロちゃんは……例によって、ちょっと遅れそうですね。とりあえず、お先に中へ」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
というわけで、二人を招き入れ、アイスティーを作ります。お茶請けは、ラスク。
寝室に行くと、さっそく押江先生が、なにやら教材を広げていました。
「今日は、何をやるんですか?」
配膳しながら質問。三人から、お礼を述べられます。
「生物のお勉強です! そのために、地球の歴史をまず、学んでもらう感じですね」
資料を見れば、現在の地球とはかけ離れた大陸図のイラストが、何枚も描かれている。
「アメリさん。地球そのものには興味あるかな?」
「うん! えっとね。昔ってなんか、ぱんげあ? とかいうんでしょ?」
「そうね。そんな時代もありました! では、そういったお話をしていきましょう!」
とりあえず、ラスクとコーヒー牛乳を手に、デスクに戻る。
「あ、そうだミケちゃん」
「なーに?」
自習に取り組んでいたミケちゃんが、こっちを見ます。
「今月は少し余裕あるから、わからないところを教えるぐらいはできるよ。あんまり長い時間は、付き合えないけど」
「ありがとー。でも、しばらくは大丈夫そうだわ」
勉強に戻る彼女。この子も、頑張り屋さんよねえ。
仕事に打ち込むこと、少々。インタホンが鳴ったので応対すると、クロちゃんでした。さっそく、中にご案内~。
「ありがとうございます」
アイス緑茶を受け取り、お礼を述べるクロちゃん。ほうじ茶なんかも用意してあげようかな、今度。
クロちゃんにも、勉強の面倒を軽くなら見れることを伝えると、それについてもお礼を言われました。
お仕事、お仕事、楽しいな~。仕事が楽しいなんて、ありがたい話ですねえ。
「おお~! 昔って水がなかったの!?」
「そうなの! 氷の隕石が落ちてきて、海になったと考えられているの!」
うほー。八歳児にそんな話を! それについていける、アメリもスゴイな。
「でね、この水が、生物の誕生にとても重要! 水がないと、命が生まれないの」
「へー!」
はー。聞いてるこっちまで、ためになるな。アメリは、私の学力なんて、あっという間に超えていっちゃうんだろうなあ。
「なんで、水がないとダメなの?」
「いい質問! 私たちの体の、ほとんどが水でできているの。で……」
むう。聞いてるときりがないな。お仕事に集中しましょう~。
すらすら……。
すいすい……。
「神奈おねーさん」
「ほいっ!?」
ミケちゃんから、急に声をかけられて、ちょっとびっくり。
「教えてほしいところが、あるんだけど」
「あ、ごめん。ちょっとこっちに、持ってきてくれる?」
とてとてと、紙と鉛筆を手に、こっちにやって来るミケちゃん。
「六の約数って、二と三で合ってる?」
「ああ、一と、その数そのものも含むから、一と六もだね」
「そっかー。ありがと」
ミケちゃん、いつの間にか、約数まで進んでいます。帰省中に、優輝さんに教えてもらったのかな?
「おお~! すべての大地っていう意味なんだね!」
「そう、それがパンゲア! ちなみに、ゲア、すなわちガイアは、大地の神様の名前なのね」
相変わらず、アメリと押江先生は、濃ゆいトークしてるし……。
なんだか、同じ子供たちの勉強でも、随分違うことやるようになったなあ。
ちなみに、ミケちゃんとクロちゃん、さらにノーラちゃんの教材は、引き続き白部さんが作って送信し、それを各自の自宅でプリントしているようです。
「おお~……。地面が全部つながってたって、すごいね!」
アメリの、高揚した声が聞こえる。本当に、こういうの好きなんだね。
好きなことに、徹底的に打ち込めるようになった、我が娘。それは、大好きな漫画で糧を得ている私に、通ずるものがあるのかもしれない。
八歳のみそらで、そんなことができるなんて、ちょっとうらやましいな。
「神奈お姉さん、ちょっといいですか?」
「はいはい、何かな?」
クロちゃんに、勉強を教える。
この子たちも十分すぎるほど賢いけど、人権法が設立したら、普通の学校に支援学級が作られて、そこに通うようになるのかな。
そのときも、アメリとは、一緒にいられるのだろうか。
……先の心配をしてもしょうがないよね。なるようになる、と考えよう。
この子たちは、日本の教育に、一石を投じる存在になるかもしれない。
色々気になることはあるけれど、明日は、お土産交換会&ティーパーティーをしましょうと、優輝さんから誘われています。みんな揃ってのゆったり時間。楽しみだなあ。
明日を、思う存分楽しむためにも、お仕事頑張ろう~!
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