神奈さんとアメリちゃん

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第四百九十八話 押江先生、本格始動!

公開日時: 2022年2月16日(水) 21:01
文字数:2,054

「こんにちはー! お二人とも、お元気でしたかー?」


「こんにちは! 押江せんせー、久しぶり~!」


「こんにちは。お久しぶりです。はい、アメリも私も、元気に過ごしていました」


 今日は、久しぶりに、押江先生がいらっしゃいました。


「あー、ミケちゃんもこんにちは! お元気でしたかー?」


 見ると、ミケちゃんがちょうど、お隣から出てきたところです。


「あ、押江センセーこんにちは。ええ、優輝の実家でのんびりしてたわ」


「いいですね、いいですね。元気が一番です!」


 うんうんとうなずく、押江先生。


「クロちゃんは……例によって、ちょっと遅れそうですね。とりあえず、お先に中へ」


「ありがとうございます」


「ありがとう」


 というわけで、二人を招き入れ、アイスティーを作ります。お茶請けは、ラスク。


 寝室に行くと、さっそく押江先生が、なにやら教材を広げていました。


「今日は、何をやるんですか?」


 配膳しながら質問。三人から、お礼を述べられます。


「生物のお勉強です! そのために、地球の歴史をまず、学んでもらう感じですね」


 資料を見れば、現在の地球とはかけ離れた大陸図のイラストが、何枚も描かれている。


「アメリさん。地球そのものには興味あるかな?」


「うん! えっとね。昔ってなんか、ぱんげあ? とかいうんでしょ?」


「そうね。そんな時代もありました! では、そういったお話をしていきましょう!」


 とりあえず、ラスクとコーヒー牛乳を手に、デスクに戻る。


「あ、そうだミケちゃん」


「なーに?」


 自習に取り組んでいたミケちゃんが、こっちを見ます。


「今月は少し余裕あるから、わからないところを教えるぐらいはできるよ。あんまり長い時間は、付き合えないけど」


「ありがとー。でも、しばらくは大丈夫そうだわ」


 勉強に戻る彼女。この子も、頑張り屋さんよねえ。


 仕事に打ち込むこと、少々。インタホンが鳴ったので応対すると、クロちゃんでした。さっそく、中にご案内~。


「ありがとうございます」


 アイス緑茶を受け取り、お礼を述べるクロちゃん。ほうじ茶なんかも用意してあげようかな、今度。


 クロちゃんにも、勉強の面倒を軽くなら見れることを伝えると、それについてもお礼を言われました。


 お仕事、お仕事、楽しいな~。仕事が楽しいなんて、ありがたい話ですねえ。


「おお~! 昔って水がなかったの!?」


「そうなの! 氷の隕石が落ちてきて、海になったと考えられているの!」


 うほー。八歳児にそんな話を! それについていける、アメリもスゴイな。


「でね、この水が、生物の誕生にとても重要! 水がないと、命が生まれないの」


「へー!」


 はー。聞いてるこっちまで、ためになるな。アメリは、私の学力なんて、あっという間に超えていっちゃうんだろうなあ。


「なんで、水がないとダメなの?」


「いい質問! 私たちの体の、ほとんどが水でできているの。で……」


 むう。聞いてるときりがないな。お仕事に集中しましょう~。


 すらすら……。


 すいすい……。


「神奈おねーさん」


「ほいっ!?」


 ミケちゃんから、急に声をかけられて、ちょっとびっくり。


「教えてほしいところが、あるんだけど」


「あ、ごめん。ちょっとこっちに、持ってきてくれる?」


 とてとてと、紙と鉛筆を手に、こっちにやって来るミケちゃん。


「六の約数って、二と三で合ってる?」


「ああ、一と、その数そのものも含むから、一と六もだね」


「そっかー。ありがと」


 ミケちゃん、いつの間にか、約数まで進んでいます。帰省中に、優輝さんに教えてもらったのかな?


「おお~! すべての大地っていう意味なんだね!」


「そう、それがパンゲア! ちなみに、ゲア、すなわちガイアは、大地の神様の名前なのね」


 相変わらず、アメリと押江先生は、濃ゆいトークしてるし……。


 なんだか、同じ子供たちの勉強でも、随分違うことやるようになったなあ。


 ちなみに、ミケちゃんとクロちゃん、さらにノーラちゃんの教材は、引き続き白部さんが作って送信し、それを各自の自宅でプリントしているようです。


「おお~……。地面が全部つながってたって、すごいね!」


 アメリの、高揚した声が聞こえる。本当に、こういうの好きなんだね。


 好きなことに、徹底的に打ち込めるようになった、我が娘。それは、大好きな漫画で糧を得ている私に、通ずるものがあるのかもしれない。


 八歳のみそらで、そんなことができるなんて、ちょっとうらやましいな。


「神奈お姉さん、ちょっといいですか?」


「はいはい、何かな?」


 クロちゃんに、勉強を教える。


 この子たちも十分じゅうぷんすぎるほど賢いけど、人権法が設立したら、普通の学校に支援学級が作られて、そこに通うようになるのかな。


 そのときも、アメリとは、一緒にいられるのだろうか。


 ……先の心配をしてもしょうがないよね。なるようになる、と考えよう。


 この子たちは、日本の教育に、一石を投じる存在になるかもしれない。


 色々気になることはあるけれど、明日は、お土産交換会&ティーパーティーをしましょうと、優輝さんから誘われています。みんな揃ってのゆったり時間。楽しみだなあ。


 明日を、思う存分楽しむためにも、お仕事頑張ろう~!

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