神奈さんとアメリちゃん

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第三百七十八話 趣味の世界って広いんだなー

公開日時: 2021年10月11日(月) 21:01
更新日時: 2021年10月14日(木) 20:33
文字数:2,283

 アメリシェフ謹製ペペロンチーノ、辛ウマだったわー。朝食の味覚を反芻はんすうしながら、ニュースのチェク。


 天気予報によると、向こう一週間は降らなそう。暦の上では、もう夏なんだなあ。社会面では、朝の爽やか気分が害されるニュースが多々。みんな、もっと幸せになれたらいいのにな。


 気持ちを切り替えて、LIZE起動~! ログを一通り読んだ後、皆さんにご挨拶。皆さんからも、お返事をいただきます。


「そういえば、こっちに移ってから全然キャンプ行けてないので、そろそろ行きたいですねえ。入梅前に行っときたいもんですけど」


 と、優輝さんがぼやかれる。


「ご提案なんですけど、それ、私とアメリもご一緒していいものでしょうか?」


「うーん、あたしとしてもご一緒できたら嬉しいんですけど、うちの余分なテントって今一人用のが一個しかないんですよ。で、結構スタートアップにお金がかかるので、あたしが皆さんのぶんをご用意したり、その逆で付き合っていただくためにご出費願うのはさすがに……」


 がっかり猫スタンプ。ふーむ、アウトドアレジャーってお金かかるのねえ。漫画ぐらいしか趣味がない私は、お手軽ですなあ。


「ウチらは、お前に付き合うために買ったけどなー」


「感謝してます」


 久美さんの言葉に、お辞儀猫スタンプで返す優輝さん。


「ちなみに、初期投資ってどれぐらいかかるんです?」


「そうですねえ。猫崎さんだと二人用テントになるから……本当に必要最低限のもの諸々一式で、ざっくり二万ってとこですかね」


 うはー、諭吉先生が二人でやっとこスタートラインか~。さすがに、レジャー大好きガールな彼女をもってしても、気軽に誘ってこないわけだわ。


「出せないことはないですけど……やはり、満喫しようとするともっとかかるわけですよね?」


「はい。趣味の世界ですからね。あれこれやろうと思ったら、どんどんお金かかりますよ」


 うーん、アメリにキャンプ体験させてあげたいなあと思ったけど、ちょっと見送りかな。残念!


「趣味といえば、お前、暇さえあればキャンピングカーの動画見てるよな」


「そりゃ、憧れですもん」


「ちなみに、そちらはどれぐらいかかるんですか?」


 キャンピングカーという面白そうな話題を語り始めた、久美さんと優輝さんの会話に首を突っ込む。好奇心は作家の原動力!


「キャンプ用具以上にピンキリですよ。下は百数十万とかですし、上は億とかしますから」


 億!? とんでもない単語に、目玉が飛び出しそうになる。


「下のほうは後部座席を組み替えてベッドにできますよって程度ですし、千万クラス以上はほんとにもう、動く家ですね」


 ほえ~……世の中って広いな~。それ買う人がいるから、作るんだもんねえ。


「まあ、今は下のクラスのでもまだ憧れですし、どうせ買うなら、四百万ぐらいのをポンといきたいもんです」


「ほんとにキャンプがお好きなんですね。私とのお付き合いで自粛させてたみたいで、恐縮です」


「いえいえ! そんなことは! 皆さんとおこなってきたイベントの数々、キャンプに引けを取らないぐらい……いえ、それ以上に楽しかったですから!」


「ありがとうございます」


 互いにお辞儀スタンプ。


「むしろ、逆に申し訳ないなあと思うのは、ミケを『NKM33』のライブに連れて行ってあげられないことですね。ほんと、チケット瞬殺なんで」


「そんなに、飛ぶように売れるんですか?」


「はい。あっという間に完売しちゃうんですよ」


 はー……私、ライブって行ったことないけど、そういうもんなんだー。


 優輝さんを筆頭に、かくてるの皆さんってみんな趣味人だけど、ほんと趣味の世界って広いんだなー。彼女らとお付き合いしなければ、知らなかったことがたくさんだ。


 何かで聞いた話だけど、創作者は「広く浅く、ところどころ深く」趣味や興味を持つといいのだらしい。そう考えると、漫画と猫しか趣味らしい趣味がなかった私も、作家としてだいぶ成長できたのかもしれない。


 あ、いけない。ついお話しに夢中になってしまった。いい加減、お仕事に入らないと。


「色々と興味深いお話、ありがとうございました。そろそろお仕事に入らなければいけないので、失礼させていただきますね」


 皆さんから別れのご挨拶を受け、チャット終了。気づけば優輝さんとばっかり会話してて、ちょっと恐縮。


 しばらくお仕事に打ち込んでいると、スマホに着信が。送信者を見ると、近井さんでした。


「はい、もしもし」


「あ、猫崎さん。今よろしいですか?」


「はい、通話でしたら。仕事中ですけど、私、描きながら電話できる器用な特技がありますので」


 ほんと、我ながら器用なもんですねえ。


「あら、お仕事中なんですね。うーん、ではダメ元でお願いさせていただくのですけど、友美ともみを連れて、お宅に遊びに行ってもよろしいでしょうか? どうしても、アメリちゃんと遊びたいと言ってきかないものでして」


 友美というのは、ともちゃんの本名だ。


「そうですねえ……。私、しばらく執筆量が増えますので、不躾ですが、寝室兼仕事場で作業しながらでよろしければ……」


「はい、お願いする立場ですから、猫崎さんの一番ご都合の良い形で構いません。では、そのようにお願いします。お菓子と飲み物、持っていきますね。ご都合よろしい時間とかありますか?」


「そうですね……一時頃で構いませんか?」


「わかりました。その時間に伺わせていただきます。突然のお話でしたのに、快く受けてくださってありがとうございます。では、失礼します」


 こちらからも「失礼します」と告げ、通話終了。近井さん親子を、初お迎えかー。今、十時過ぎたあたりだな。お昼も食べなきゃだし、さくっと買い物済ませちゃおう。

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