神奈さんとアメリちゃん

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第百七十九話 子供同士の人間関係も、難しいもんだね

公開日時: 2021年4月25日(日) 22:31
更新日時: 2021年5月22日(土) 00:13
文字数:2,346

日も暮れているので、いつものスーパーに車でとうちゃーく!


 本来、お昼はアスパラのベーコン巻きを作ろうと思っていたので、アスパラが残っている。これで、何か組み立てられないかな?


 レシピサイト見てみよ……。ほう、イカときのことアスパラのバターソテー。これ、美味しそうじゃない?


 うん、これでいこう。セールだといいんだけどなー。チラシチェーック! ……さすがに、セール外か。まあ、こういう日もあるよね。


 代わりに、卵と食パン、ロールパン。それと日用品が安いからそれ買っていきましょ。あと、おなじみ牛乳。


 アメリは「うめえ棒」を二本買い足した模様。ミケちゃんと食べてストック減っちゃったもんね。


 では、壺抜きされているイカとぶなしめじともども買って帰りましょ~。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまー! 手洗い、うがいを済ませ、さっそくレシピサイトの映ったスマホをセット、おなじみ三分でクッキングする脳内BGMオン!


「さて、アメリちゃんには二つほどやってもらいたい仕事があります」


「おお?」


「まず、ピーラーでアスパラの皮を剥いてくれるかな?」


 茎の硬い部分は切り落としてしまい、ピーラーとともにアメリに手渡す。


「任せて!」


 しゅーっ、しゅーっと剥いていく彼女。私は今のうちにイカの皮を剥き輪切りにする。


「できた!」


「じゃあ、次はきのこの石突き……根っこを切ってね」


 洗ったぶなしめじを渡すと、これも器用にすとんと落とす。本当に、扱いうまくなったなー。


「オッケー。この先は私の仕事だね! 最後にもうひと仕事してもらうから、そのときにまた呼ぶね」


 バトンタッチして、アスパラを斜め切りにしていく。


 バターを強火で熱したフライパンで溶かし、アスパラとしめじを投入~。柔らかくなってきたら中火に変えて、イカの輪切りも追加で入れ、塩コショウで味を調える。う~ん、炒め段階に入っちゃうとお手軽だね!


 よし、できた!


「それでは最後にアメリ隊員。大事なお仕事です! おいで~」


「おお!」


 アメリを電子レンジの前に招き寄せる。


「こうやってお皿にロールパンを乗っけてー……電子レンジに入れます。でね、レンジ/強っていうボタンを押して、10秒っていうボタンを三回押して。うん、それができたら、あたためっていうボタンを押してね。……そうそう」


 言われた通りにアメリが操作すると、ターンテーブルがぶいーんと回転。


「これが、電子レンジの基本的な使い方。温めたいものによって、分や秒の数は変わるから注意してね」


 お皿にメインディッシュを盛り付けながら追加説明をする。盛り付け終わる頃には、ピーっとパンのほうも出来上がった。


「じゃあ、パンを二個ずつテーブルの空のお皿に載せてくれるかな?」


 紅茶を用意しながらお願いする。「わかった!」と、パンを載せていく彼女。良きかな良きかな


 というわけで、配膳完了! 二人ともエプロンを外し、着席~。


「それじゃあ、いただきます!」


「いただきます!」


 合掌しながら合唱し、フォークでぱくっ!


 うーん、美味しい! やはり、アメリと一緒に料理すると何か一味違う気がするわ!


「おねーちゃん、美味しいね!」


 アメリもにっこり。良きかな良きかな


「うん、パンもほんのり温かくて美味しい! さすがアメリちゃん!」


 手放しで褒めると、「えへへ~」と照れくさそうに後頭部を撫でる彼女。ほほえま!


 ごはんも美味しく食べ終わり、後片付けと歯磨きをして寝室へ。食洗機ってほんと便利よねー。


 ペンを手に取ると、スマホの着信音が。送信者はまりあさんだ。


「こんばんはー」


「こんばんは」


 あれ? この声はクロちゃん?


「あの、えっと……さっき、ミケからアメリのとこ行って遊びまくったって電話が来たんですけど、ボクが余計なこと言っちゃったせいかなって思って。その……すみません」


 あらあら。責任感じちゃったのね。


「大丈夫。完全にミケちゃんの機嫌直ってたでしょう? なんだかんだで上手くいったから」


「たしかに、声が上機嫌でした。でも……」


 うーん。クロちゃんはクロちゃんで、まりあさんに似て責任感が強すぎるかなあ。ふむ、こういうのは当人同士で話し合わせたほうがいいね。


「ちょっとアメリに代わるね。イヤホン差すから、少し待ってて」


 スマホにイヤホンを差し、アメリに「クロちゃんだよ」と言って手渡す。


「おおー、こんばんはー! ……うん、最初怒ってたけど、一緒におやつ食べたらすごく嬉しそうにしてた! ……おお? なんでクロが悪いの? クロは悪くないよ? 今度、みんなで一緒に遊ぼう!」


 うんうん。クロちゃんのケアはアメリに任せておいて大丈夫みたいね。


 その後も二人はしばらく話し合っていたけれど、「おお? お話終わるの? またねー!」という声が聞こえてくる。多分、長電話でまりあさんからストップがかかったのだろう。


「こんばんはー! ……うん、今代わるね! おねーちゃん、まりあおねーちゃんがお話したいって」


 ほいほい。選手交代ね。


「こんばんは。お電話代わりました」


 イヤホンを抜いて電話に出る。


「こんばんは。すみません、どうしてもクロちゃんがお詫びしたいというもので」


「いえいえ。私があの日、ちょっと気を利かせれば良かったことで。クロちゃんは悪くないですよ」


「恐縮です。お二人のおかげで、クロちゃんもミケちゃんと険悪にならずに済んで、ありがたいです」


 その後は気分を変えて雑談を交わしたものの、ちょっと長電話になりそうだったので通話を終えることに。まりあさん、夜寝るの早いみたいだしね。


「さーて、アメリちゃん。色々あったけど、日課のストレッチをしてお風呂入りましょー」


「おおー」


 というわけで、仲良くストレッチ&お風呂。ふう、なんだか濃密な一日だったな。子供同士の人間関係も、難しいもんだねー。子育て道、奥深し。


 とりあえず、アメリを寝かせて原稿の続きを描きましょっと。

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