騎士団詰所に到着。
「こんにちは。代金を受け取りに来ました。」
「来たか。入りたまえ。」
昨日とは違う騎士だな。コーちゃんとカムイは待っててね。
「ピュイピュイ」
「ガウガウ」
「さて、君が突き出したあの男だが、君に無理矢理契約魔法をかけられて濡れ衣を着せられたと言っている。尋問魔法による結果だから間違いない。」
「は? それはあり得ませんね。私がかけた契約魔法は正直に話すこと。それのみ。尋問魔法と似たような効果です。そもそも私に契約魔法を使い奴隷にしようとしたのはあいつですよ? それがなぜそんな変な話になるんですか?」
「それをどうやって証明するつもりだ? 君は無実の人間に無理矢理契約魔法をかけて奴隷に落とそうとし、その売却金額を不正に入手しようとした。これが事実だ。」
ぞろぞろと騎士に囲まれてしまった。この街は上から下まで腐ってんのか?
「事実ならどうするってんだ? 無実の俺に縄をかけるってのか?」
「無実かどうか判断するのはこちらだ。いくら名前が売れてるからって調子に乗るもんじゃないぞチビ魔王君?」
カッチーン! とは来ない。私はチビではない。身長はだいたい百七十だからだ。それよりこいつらの目的が分からない。無意味に私を敵に回したいのだろうか。何て意味のないことを……
「お前、名を名乗ってみろ。」
「何? 子供の分際で大きな口を利くじゃないか。俺はバンダルゴウ騎士団第二分隊隊長シザーズだ。大人しく罪を認めるなら手荒な真似はしないぞ?」
「罪を認める気はないが、魔法尋問は受けてもいい。」
ムカつくが多少は歩み寄らないとな。
「ほう? 殊勝な心がけだ。では来るがいい。」
別室に移動する私。ロープをかけようとするが、それは許さん。大人しく別室に行ってやるだけで感謝しろよな。
「そこに座ってもらおうか。」
部屋には魔法陣が描かれており、その中心に椅子が置いてあった。
椅子に座ると微弱な魔力が流れ込んできた。
「さて、それでは白状してもらおうか。お前はトレイテルの店員クリークに無理矢理契約魔法をかけて奴隷にしようとした。間違いないな?」
「してない。契約魔法を使って俺を奴隷にしようとしたのはあいつの方だ。だから昨日騎士団に連れてきた。」
「ちっ、魔力を強くしろ!」
微弱な魔力は依然として微弱なままだ。
「お前がやったんだな!?」
「何をだ? 俺は無実だぜ?」
魔法尋問は偽証不可能だと聞いたから経験しておきたかったが。どうやら契約魔法と同系統だな。魔力が高い相手には効かないのか?
「魔力を全開で流せ!」
微弱な魔力が少しだけ強くなった。
「お前はクリークを奴隷にしようとした! そうだな!?」
「違う。それをやったのはそいつだ。」
「ふざけるなぁー! もう許さん! この場で成敗してくれるわ!」
あーあ、剣を抜きやがったか。知ーらね。
『金操』
いつも通り足の甲に刺してやる。他の騎士も同様だ。ついでに『風弾』を頭にぶつけておく。大抵の騎士はしぶといからな。きっちり気絶させておかないとな。
さてと、今度は私が尋問する番だな。ホントになんなんだこの街は。もう帰ろうと思っていたのにさ。
あーあ、他の騎士がわらわら集まってきてしまったな。
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