サラスヴァの日。結構眠いけど、そう何度も朝寝ばかりもしていられない。
スティード君とサンドラちゃんもきちんと起きている。
「おはよ。眠いよねー。スティード君達は今日は何するの?」
「おはよう。僕達は普通にデートをするよ。カース君達は?」
「決めてなかったなー。アレクは何したい?」
「私もデートがいいわ。行きたい所があるの。」
「よし決定。一緒にデートするのもいいけど、野暮なことは言うもんじゃないよね。じゃあまた夜だね。」
スティード君達は滅多に会えないんだから二人きりにさせてあげないとね。セルジュ君もそのうち連れてきてあげよう。
「アンタら学校休んで朝から遊びの相談とか、いい身分よね。」
「お姉ちゃんもたまにはいいかもよ? 社会勉強も必要な時があるかもね。」
私は学校の勉強の方が大事だと思うがね。
「それなら私も遊びに連れて行きなさいよ。何よアレックスちゃんばっかり……」
当たり前じゃないか。
「今夜でしたらシャルロットお姉様もご一緒できますわ? いかがですか?」
アレクは何を言っているんだ? 今夜は危ないのに。
「はぁ? また夜遊びするの? 遊び過ぎじゃない?」
「もちろん無理にとは言いませんわ。ご自由にどうぞ。」
アレクには何か考えがあるのだろう。そこにラグナがやって来た。メイド服を着ている。他のメイドさんと比べると年上だというのが分かってしまうな。
「カ、カース様おはようございます」
「やあおはよう。似合ってるね。やっぱり真っ当に生きるってことは美しいことだよね。今夜は案内をよろしくね。」
「何よカース? この新しいメイドが夜遊びの案内するの? どこに行くつもりなのよ?」
「まあまあお姉ちゃん。それは夜のお楽しみだよ。そろそろ学校に行くんだよね。行ってらっしゃーい。」
「まあいいわよ。また夜ね。べ、別に楽しみってこともないんだから!」
こうして慌ただしい朝は終わり私とアレクはデートに出かけた。ちなみにコーちゃんはラグナに巻き付いている。
「で、アレクの行きたい所って?」
「この前の、あそこ……」
あー、さすがアレク。ナイスな選択だ。全く朝から元気なんだから。すぐ行こうさあ行こう。
「決勝戦でカースと戦っている時から、私、もう、おかしくなりそうだったの……カースが欲しくて……」
「僕も似たようなものだよ。よっぽど闇雲の魔法を使おうかと思ったよ。」
昨日の夜だってそれなりに燃えたのに。もう欲しがるなんていけない子だ。さあ行こうもう行こう。
〜〜削除しました〜〜
夕方。もう帰らなくてはいけない。カースが鳴くからかーえろ。違うか。
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これでまたアレクの魔力が上がることだろう。今夜の戦いにちょうどいい。
「もう夕方だね。帰りたくないけど帰らないとね。」
「そうね。今日もありがとう。すごくよかったわ……幸せ……」
ふふ照れるな。
腕を組んでウキウキと家路につく。夕食を食べたらいよいよ魔蠍へ殴り込みだ。果たして犯人はそいつらなのだろうか?
夕食後、ラグナと打ち合わせをしていたらお姉ちゃんが来た。
「私も行くんだから!」
「いいよ。ちゃんとおじいちゃんの許可は貰ってきた?」
「ええ! 気をつけてなって言われたわ!」
「それならいいね。じゃあ改めて紹介するね。このメイドはラグナ・キャノンボール。闇ギルド、ニコニコ商会の元ボス。今から別の闇ギルド、魔蠍に殴り込みに行くからね。」
「ちょっと待ちなさいよ! 意味が分からないわ! どこからそんな話になってるのよ!」
「先日僕らを狙った犯人が魔蠍っぽいからかな。」
「だーかーらー! 証拠もなしに殴り込んで違ったらどうするのよ!」
「問題ないよ。だって闇ギルドだもん。どうせ悪いこといっぱいしてるよ? 適当な悪事の証拠でも見つけて騎士団に突き出してもいいよね。」
そもそも証拠を探しに行くのだから。証拠を待っていては何もできない。まあ王都の騎士団がすでに犯人を捕まえているかも知れないが、私に連絡がない以上まだ、と見なすべきだろう。
「どうしますか? 相手は闇ギルドですよ? 捕まったらそれはそれは酷い目に遭わされますよ?」
アレクは自分が誘っておいてひどいな。だがそんなアレクもかわいい。小悪魔か。いや女神様だったな。
「行くわよ……私だって……カースと……」
やはりモテ期か。ソルダーヌちゃんといい、お姉ちゃんといい参るな。私にはアレクがいるんだぞ。まあいいや。いざ鎌倉ってか。違うか。
むしろ……おのおのがた、討ち入りでござるってとこだな。
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