「ピュイピュイ」
アレクがいた? さすがコーちゃんありがとね。それより、霞の外套を着ている私の元に迷わず帰ってくるのね。コーちゃんすごい……
よし、行こう。
ここね。穀物倉庫かな。『風球』
扉をブチ壊す。アレクは……いた!
「アレク!」
縛られているじゃないか……こんなにきつく……血が止まっている……あ、頭に怪我してる! しかも魔封じの首輪まで……皆殺し決定だな。
「誰じゃおらぁ!」
「殺すぞこらぁ!」
「抜け駆けかぁ!? お頭にチクんぞおぉ!?」
『狙撃』
確認するまでもない。どうせ盗賊だろ。
『風斬』
アレクのロープを切る。ついでにアイリーンちゃんも。
「カース……?」
「アレク! 大丈夫!? 助けに来たよ!」
「ごめんなさい……ありがとう……」
ああもう、こんなに弱ってしまって……
「これ飲んで。そして帰ろう。マーリンがご馳走を用意して待ってくれてるから。」
こんな時はやっぱりポーションだな。
「うん……ありがとう……」
「ピュイピュイ」
コーちゃんも心配だったもんね。
「うぅ、カース君か……すまない……」
この二人がいてどうしてこうなった? まあそれは後回しだ。
「盗賊だよね? 皆殺しにしてくるからちょっと待っててね。」
「待ってくれ! 人質が……村人が……」
「残念だけど無理だね。可哀想だけど。」
人質なんか私が気にすると思っているのか? アレクだって人質は気にしないしアイリーンちゃんも気にするタイプじゃないだろうに。
「何もんじゃぁ! 殺すぞおらぁ!」
『狙撃』
お前が死ねよ。うわぁタチ悪い。こいつ子供を盾にしやがった。しかし残念。私の狙撃の前には子供の体では盾にならない。しかもこの子供……死体かよ……すでに殺していたってのか……
何の罪もない子供を……許せんやつだな。
「てめぇよくもお頭を!」
「ブチ殺すぞぉらぁ!」
「こっちにゃ人質がまだおるんじゃあ!」
「お頭の仇じゃあ!」
「おらぁやれるもんならやってみろやぁ!」
「先にこいつらが死ぬぜぇ!」
人質か……女の子ばかりだ。ちゃんと生きてるな。明らかに凌辱されてるけど。それを思うとアレクが無事でよかった。もしアレクがそんな目にあってたらと考えると……この村を潰すぐらいじゃ済まないな……
『狙撃』
その気で狙えば人質の隙間を狙うことなど難しくない。
「待ってください! こいつらが死んだら毒が!」
「解毒剤がないと!」
今さら言われてもね。もう三人殺したぞ? 残りは何人だ? すでに村の外周は水壁で覆っているから誰も逃がさないけどね。
「てっ! てめぇ! 人質がどうなってもいいってのか!」
「殺す! マジ殺すからのぉ!」
「やってやらぁぁぁーー!」
はい無理『狙撃』
どう考えてもこいつらがナイフを振るうより私の魔法の方が早い。とりあえず目の前の盗賊は全員殺した。
『解毒』
どんな毒かは知らんが死汚危神ほどではないだろう。
「とりあえずみんなで固まっておいてくれるかな。盗賊を片付けてくるから。」
「は、はい!」
「あ、ありがと……ござ……」
村人は何人かいた。とりあえず全員を一ヶ所に集めて尋問開始。私には村人か盗賊かの区別がつかないもんな。
拷問と契約魔法で尋問した結果、生き残っていたのは全員盗賊だった……村人は若い女性以外全員殺したそうだ。アレクとアイリーンちゃんが無傷だったのは売り飛ばす予定だったからだと……
その他の女性は自分達の慰み用。その上で売れるなら売る予定だったと……
そして許せないのが……
「ロザリー、レジーヌ。やってくれたわね。その程度の浅知恵で……」
「レジーヌ……お前のことは友人だと思っていた……そんなにも首席に拘っていたとは……」
この女どもが黒幕か。まあ盗賊を利用しようとしたら逆に利用されたのか。ざまぁないな。
「ふん! あんた達みたいな才能がある女には分からないのよ! 私達がどんな思いでここまで来た『狙撃』
「カース君! 何を!」
「何って? もう用はないよね? アレクを殺そうとした時点でこいつは生かすつもりはないし。だからこれ以上聞くこともない。というわけで妹も死ね。」
「ま、待ってく『狙撃』
もちろん待たない。さて、一応生かしておいた盗賊達はどうしよう。もう殺してもいいけど証人は証人だしな。小銭稼ぎにもなることだし生かしておこうかな。
さて問題は……明日の朝まで領都に帰れないんだよな。さすがにもう城門は閉まっているだろう。せっかくのマーリンの料理が……
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