二回戦、私の対戦は魔法の撃ち合いとなった。氷弾や水球が飛び交う勝負となったが、結局私が押し切った。
アレクも似たような勝ち方をしていた。
『二回戦が全て終了いたしました。三回戦進出者は六十三名! キリが悪いですね! よって敗者復活戦を行います! 二回戦の敗者は今から一分以内に武舞台に上がってください!』
つまり敗者も六十三名か。ここから何名が勝ち上がるのか……
『敗者復活戦を開始します! 勝者はたった一人です。一人になるまで潰し合ってください!』
『全員構え! 始め!』
武舞台上では激しく魔法が飛び交っている。一つの武舞台に六十三名も……これは厳しい。
やがて一人の勝者が決まった。
なんと勝者はソルダーヌちゃんだった。参加していたのか……
『さあ! 敗者復活戦が終了しまして、キリよく六十四名となりました! では三回戦へと進みます! それでは抽選を行います! 番号札を引いてください!』
ここからは毎回抽選だ。アレクとは当たりたくないが……私はまさかの一番だ。第一試合か。待ち時間がなくていいと考えよう。
私の対戦相手は白尽くめ、頭からとんがった布を被っている。どんな顔をしてるんだ?
『三回戦第一試合を始めます! 双方構え!』
『始め!』
「私は聖白絶神教団、少年部のリーダーをしているゾマ『水球』
アホかこいつ。もう始まってんのに何を呑気に話してるんだか。一応聞こうとは思ったが、何か嫌な名前が聞こえたから即攻撃してやった。
終わった。
でもこれはこれで待ち長い気がする。昼食だってアレクが持っていることだし。まあのんびり待とう。
アレクの対戦相手は学生風の男だった。魔法学院かな?
「君のように麗しいレディと対戦できるとは望外の喜び。願わくば穏便に決着をつけたいものだが?」
「手加減をしてくれるのは大歓迎だわ。」
もちろんアレクが勝った。うちのアレクに色目を使うとは太ぇ野郎だ。捥ぐぞ?
ソルダーヌちゃんもギリギリだけど勝った。魔力も体力も空だろうけど、回復すればいいよな。
『三回戦が全て終了いたしました。これより昼休憩といたします。』
アレクの弁当が楽しみだ。
お姉ちゃんは昨日とは違う紅茶。ソルダーヌちゃんはペイチの実を使ったデザート。手が込んでいるな。ありがたいことだ。
「ソル、いつの間に参加してたのよ? びっくりしたわ。」
「少し思うところがあってね。カース君に認められるには魔法の腕を示すのが一番かと思ったの。」
確かに敗者復活戦を勝ち残ったのは見事だと思うが……
「いい心がけね。カースって健気な女の子は嫌いじゃないわよ。少しだけ応援してあげるわ。」
「ありがとう。頑張ってみるわね。」
まったくアレクは……
エイミーちゃんが私を睨んでいる気がするが、視線の意味を教えてくれ。私に近づけたいのか違うのか!?
お姉ちゃんは悔しそうな顔をするんじゃない。
「ピュイピュイ」
何? お姉ちゃんが私の心配をしていた? ふふふ、コーちゃんそれは教えてくれなくていい情報だよ。
「何年か前に見た時よりだいぶ腕を上げたみたいだね。やっぱり派閥のボスって大変なの?」
「ありがとう。派閥と言っていいのか分からないんだけど、フランティア出身の子達が頼ってくれるんだから私がしっかりしないといけないわよね。でも、エイミーも頼りになるからそこまで大変でもないわ。」
「ソルダーヌ様は辺境出身者が肩身の狭い思いをしないよういつも気を配っておられます。」
やはりどんなグループでもトップに立つのは大変なんだろうな。この歳でそんな苦労を……頼りになる兄姉はいないのか? ダミアンやドニデニスではだめだな。
うーん、どうでもいいや。アレクの膝枕で昼寝しよ。
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