異世界金融

〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件
暮伊豆
暮伊豆

295、スイーツ

公開日時: 2023年1月24日(火) 10:13
文字数:1,991

何事もなく表彰式は終わり、スティード君とバラデュール君は金貨を百枚ずつ手に入れた。


『さぁーて! 本当なら今日のイベントは以上だ! だが、お前達よ! 決勝戦が見れなくて物足りないんじゃないか!?』


ダミアンめ、まだ何かやるのか? 場内が再び盛り上がるではないか。


『特に! 王国一の剣士スティード選手に挑んでみたいってぇ奴ぁ多いよなぁ!? そうなんだろぉ!? そんならチャンスをやるぜ!』


おお、前回私に大勢が挑んできたように今回はスティード君に挑戦ってか。


『挑戦してぇー奴ぁ武舞台前に並べ! 金貨一枚払った奴から行っていいからよぉ!』


『ダミアン様めちゃくちゃです! しかし場内は間違いなく盛り上がっているぅーー! さあ! 金貨は私に払ってください!』


『面白そうだねぇ。アタシも行ってみるさぁ。』


ラグナも参加するのか。スティード君には勝てまいに。結果が気になるが、それよりもアレクだ。もう治療が終わっている頃のはず。私は医務室に行くぞぉー!


「ベレンガリアさん、僕は医務室に行ってるね。後でキアラ達を連れてきてくれる?」


「いいわよ。カース君は混ざらないのね。」


「アレクが心配だからね。」


スティード君には後で話を聞かせてもらえばいいさ。





医務室にて。


「アレクの具合はどうですか?」


「治ってるよー。まだ目覚めないとは思うけどねー。それから傷が酷かったから割増料金ねー。金貨十枚よー。」


アレクのためなら安いものだ。いつもニコニコ現金払いと。


「まいどー。付き添うのかいー? 早く出て行ってねー。ここ閉まるからー。」


ああ、大会が終わったから閉めないといけないのね。ならこのまま我が家に連れて帰ろう。キアラ達とはそれから遊べばいい。


『浮身』

『隠形』


さあ帰ろう。私達の愛の巣へ。


「カース……」


「アレク? 起きたの? 今から帰るよ。そのまま寝ててね。」


「どうなったの……私達は……勝ったの……?」


「もちろんだよ。アレク達の勝ちさ。よく頑張ったね! 帰ったらご馳走だよ!」


「じゃ、じゃあ……決勝は……」


うぐ、言いにくい……


「終わったよ。スティード君達が不戦勝で優勝したよ。だから今日はこれまで。明日もあることだし、帰ってゆっくりしようよ。」


「ええ……心配かけたわね……ごめんなさい……」


「まったくだよ! あんなに無茶な魔法使って! 心配したんだからね! だから今夜はお仕置きだよ。」


「カースったら……嬉しい……お仕置き、して?」


ふふふ、今夜は本当にお仕置きだ。私を心配させた罰と体が心配だからな。




医務室の出口でキアラ達とばったり。


「カー兄! 行こー!」

「カー兄お疲れっす! カファクライゼラ頼むっす!」

「その分だとこっちは後回しね?」


「その通り。せっかくだからみんなで我が家に行こうか。シビルちゃんは来たことがあるよね。その後でカファクライゼラに行こう。」


あっ、アレク、起き上がらなくても……


「じゃあ帰りましょう。みんなカースのお家を見たらびっくりするわね。」


アレク、そんな空元気で……


「旦那様、お疲れ様でした。お嬢様もお見事でした。」

「お疲れ様でございました。」

「ピュイピュイ」


おお、いいタイミング。


「キアラ、うちでメイドをやってくれてるマーリンとリリスだよ。挨拶しなさい。」


「キアラ・マーティンです! カー兄の妹です! クタナツ学校四年生です!」

「クタナツ、マーティン家のメイド、ベレンガリアでございます。」


「まあまあご丁寧に。領都マーティン家のメイド長マーリン・ヤグモールでございます。縁あって領都のお屋敷の面倒を見させていただいておりますわ。」

「リリス・キスキルでございます。旦那様に買われて以来、可愛がっていただいております。」

「ピュイピュイ」


コーちゃんは初対面でもないのに挨拶をしている。偉いなあ。それよりリリスの言い方には語弊があるな。別にいいけど。


「へぇーカース君もやるのねぇー? 買っちゃったのぉー? アレックスちゃんいいのぉー?」


こんなネタにすぐ食いついてくるのはやはりベレンガリアさんだよな。


「問題ないですわ。カースの器がスティクス湖より広いだけですもの。」


アレクの知ってるスティクス湖、あれから十倍は広がってるんだが……あの周辺に緑が生まれたりしないのだろうか。


「ピュイピュイ!」


「コーちゃんたら。ありがとう。」


さすがコーちゃん。素早くアレクの首に巻き付いた。アレクが大変な状況だと分かってくれているんだな。


「アレク、せめて座らない?」


そう言って私は魔力庫から久々に鉄スノボを取り出して浮かべる。これなら気軽に座れるはずだ。


「そうね……カースもありがとう。」


こうして私達は一度我が家に帰り、そこからスイーツを食べに行くことになった。アレクには悪いが『快眠』の魔法で再び眠らせておいた。コロシアムを出る前にセルジュ君に伝言をしておいたので、スティード君も余興が終わったら来てくれるはずだ。たまにはスイーツな店でワイワイやるのもいいだろう。

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