マリーからの手紙には一言『解呪していいですよ』とだけ書いてあった。
何だそりゃ!
私の覚悟は何だったんだ!
いや、まあ、喜んで解呪するけどさ。あ、だからマリーママは楽園で読めと言ったのか。村、もしあの場で読んでいたら……
ふふふ、まあいい。ありがたく解呪させてもらうさ!
「アレク、マリーが解呪していいって。」
「本当!? わ、私お風呂の準備してくるわ!」
ふふ、アレクったら正直なんだから。かわいいやつめ。ではやるか。
『解呪』
ふふ、ふふふふ、ふふはははは!
戻った! 戻ったぞ! 青臭い衝動が私の中から見る見る湧き上がってくるぞ! とても寝室まで我慢できない! 今行くぞー! いざ浴室!
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アレクにはたくさん我慢させてしまったもんな。今夜は……
結局湯船に浸かったのは一時間半後だった。アレクは私にしな垂れかかっている。かわいい……
「はぁ……カースが元気になって……よかったわ……」
おっ、ダブルミーニングかな?
「僕もよかったよ。まるで魔力を取り戻した時のように最高の気分だよ。ありがとう。」
「私の方こそ……天にも昇る気持ちって……きっとこのことだわ……」
濡れた髪のアレクは美しい。
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そんな時、浴室のドアが開いた。入って来たのはコーちゃんとカムイ。この二人はどちらもドアを器用に開けるんだよな。
「ガウガウ」
「ピュイピュイ」
カムイは洗ってくれって? コーちゃんは来ただけね。よーし。それならキアラ方式だ。水で人形を作ってそいつに洗わせてみよう。
カムイは大人しくこちらに背中を向けてお座りをしている。それを両側から二体の水人形でわしゃわしゃと洗ってやる。ここにはちょいとお高い石鹸だって置いてあるからな。これで洗えば毛並みがキシキシすることもない。当然安っぽい残り香すらないのだ。
それにしても水人形を二体同時に動かすのはやはり難しい。キアラは簡単にやっていたし、おじいちゃんだって何体もコミカルに動かしていた。私にセンスがないと言うのはこの辺りのことなのだろうか。まあいいや。よし、きれいになったぞ。
「ガウガウ」
さあ、カムイも浸かるといい。コーちゃんにはいつも通りタライに水を入れてあげようね。
「ピュイピュイ」
はーっ、幸せだ。全員で揃って入浴、幸せだ。お風呂サイコー。
少しお腹が空いてきたかな。昼は少ししか食べてないもんな。しかし私の魔力庫にはロクな食材が入ってない。二、三日食いつなぐ程度はあるが、ここでそんなショボい飯など食いたくもない。
「アレク、前回みたいな料理って作れる?」
あの深い味わいのスープなんか絶品だったもんな。
「ごめんなさい……王都があの調子だったから。食材がないの……」
あー、そりゃそうか。私の場合は香辛料だから買うこともできたけど、食材は真っ先に食べられてるよな。
「オッケー。じゃあ今夜は軽くクタナツギルドのお弁当にしようか。みんなで一個ずつ食べようね!」
悪いが普段食べてるバーベキューや一流店の食事に比べると数段劣る。冒険者の強い味方ではあるのだが。数十個はあるから今夜と明日の朝はこれを食べて、それから狩りだな。ロボ達に大盤振る舞いし過ぎてしまったか。
「ごめんねカース。また元気の出るスープを飲んで欲しかったんだけど……」
「大丈夫だよ。僕は元気だから。元気になったから!」
「カース!」
湯船で勢いのまま次の戦いが始まりそうになったが、コーちゃんからタライが揺れるから外に出てよーと言いたそうに見られてしまった。カムイからもお湯がバシャバシャして落ち着かないと……ふふふ……
私とアレクはかき込むように弁当を食べた。そして私は、アレクの手を引き……さあ……
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