久々にマーリンが作ってくれた昼食を堪能した私達は領都を散策する。辺境伯家に立ち寄ってダミアンとセバスティアーノさんへのお土産を渡したり、マイコレイジ商会に顔を出したりと。
すると、注文していたカムイ用の小屋が出来ていた。カムイの奴、喜ぶかな。それから執事ゴーレム一体とメイドゴーレム三体も用意されていた。
やはり執事と言えばロマンスグレーな渋いおじ様でなければならない。メイドと言えば気品あるケモ耳お姉様でなければならない。せっかく注文できるのだからやってしまった。猫耳、犬耳、狐耳を持っている。顔が無表情なためそれはそれは不気味だが。
「ではマーティン様、ゆっくりと魔力を込めていただけますでしょうか」
この手の魔道具に魔力を込めるのは慣れたものだ。もちろん込め過ぎて壊すなんてことはない。
「さすがに素晴らしい魔力をお持ちのようで……」
『名前を登録してください』
ぬおっ、執事ゴーレムが喋った!
「マーティン様が名付けてあげて下さい」
「うーん、じゃあバトラーで。」
『登録しました。私はバトラーです』
この調子でメイドゴーレム三体にも名前を付けた。猫耳のアン、犬耳のドゥ、狐耳のトロワだ。尻尾はついていない。たぶん耳の触り心地もよくなさそうだ。見て楽しめれば十分だろう。
「ではこれにて初期設定は終了です。これからしっかり教えてあげて下さい」
「ありがとうございました番頭さん。また何かありましたらお願いしますね。」
代金を払いゴーレムを連れて店を出る。魔力庫に入れることはできるが、汚銀や魔剣と同じようなものなので入れたくはないな。
そして再び辺境伯家。
今度はセバスティアーノさんを呼んでもらう。
「カース様、アレクサンドリーネ様、先ほどは過分なお土産をありがとうございました。そちらが例のゴーレムですね。」
「そうです。執事がバトラー、メイドがアン、ドゥ、トロワです。」
我ながら安直なネーミングだ。しかし、分かりやすいのが一番だ。
「かしこまりました。厳しく育てると致しましょう。こき使います。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「お願いしますね。」
「ピュイピュイ」
これで数年後には有能な執事とメイドになるだろう。楽しみだ。それまでは料理だけが問題か……
最後にギルドだ。コーちゃんの塒用に依頼を出した汚銀が届いているか確認するのだ。
届いていた! これで全て揃った! 安心して楽園に行けるぞ。後はカムイへのお土産をたっぷり用意しておかねば。いや、道中で寄り道をすればいいか。
今夜からはアレクと二人だけ、と思っていたら……
「ようカース、王都に行ってたんだって? いい酒ありがとよ!」
ダミアンが来た。さっき寄った時は居なかったくせに。
「お前のことだ、どうせ王都でも暴れたんだろ? 聞かせろよ?」
隠すほどのことではないので、話してやった。アレクサンドル家上屋敷のこと、ニコニコ商会のこと。
「ギャハハハ! 賞金掛けられちまったのかよ! 間抜けだよなー!」
「うるせーな。それより偽勇者の捜査はきっちりやってんだろうな?」
「あ? やってんじゃねーのか? どこに逃げてんだろうなー?」
やっぱりスパラッシュさんがいないとだめか。どこかに二代目スパラッシュさんはいないのか?
結局今夜は楽しい夕食となった。ダミアンはお土産の酒をコーちゃんと仲良く飲んでいる。美味そうに飲みやがって……コーちゃんが喜んでいるからいいか。
狐耳のトロワ©︎秋の桜子氏
Picrewの「レトロ風メイドメーカー」にて制作。
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