「決勝トーナメント二回戦を行います。第一試合、カース選手、シャイナール選手以外は武舞台から降りてください。」
魔法学校五年生の首席か。つまり魔法学校の生徒の中で最強ということか。燃えるな。
『ここまで危なげなく勝利してきた魔王のごときカース選手、 実力を遺憾なく発揮して勝利を掴んできたシャイナール選手。残存魔力が勝敗のカギとなるのでしょうか!? 賭け率は一対一、なんと互角だぁー!』
「カース君、君の対戦は見せてもらった。その歳で素晴らしい腕前だ。敵はナルキッソスぐらいだと思っていたのが恥ずかしいよ。」
「ども。先輩も基礎を重視して修練されているようですね。」
「照れるな。では改めて名乗ろう。私はシャイナール・ド・バズガシカ。いい勝負をしよう。」
「カース・ド・マーティン。いい勝負をしましょう。」
「マーティン!? そうか君か。エリザベス先輩が言ってたメチャクチャな弟とは。」
ほほう、姉上を知ってるのか。なら油断できないな。
『時間となりました。賭けを締め切ります。では決勝トーナメント二回戦第一試合を開始します! 双方構え!
始め!』
『落雷』
ここは外だからな。落雷が使いやすい。終わりだ。
『え? え? あの? もしかして……終わりですか?』
当然シャイナール選手は立てない。意識があったとしても雷が落ちたんだから体が動くはずもないだろう。
『カース選手の勝利です! こんなのアリですか!? 運営の苦労も考えてください! 勝負を盛り上げようって気持ちはないんですか!?』
『あー、落雷の魔法だな。ここは外だから使いやすい魔法ではある。だからって詠唱も溜めもなしであの威力とはな。しかしいいのかねぇ? 魔力は大丈夫なんだか。シャイナール選手は試合巧者だからな、速攻で決めないとヤバいとでも判断したのだろう。』
『なるほど、確かにそれはあるかも知れませんね。そう考えるといい勝負でした! 皆さま、今一度二人に大きな拍手を!』
静まり返っていた会場に騒がしさが戻ってきた。姉上を知ってるみたいだったからスパッと終わらせてみた。
第二試合はスティード君対ネクタール選手だ。
スティード君は勇猛果敢に攻めるが相性が悪過ぎる。飛斬や飛突などの魔力を伴った攻撃は全く効かず、直接叩いてもミスリル合金なのであまり効いてない。
結局スティード君は剣も木刀も折れ、魔力も体力も尽き敗退してしまった。あんなのアリかよ! アリだよなぁ……
第三試合、フリードリヒ選手対カジミール選手だった。
フリードリヒ選手はおそらく限界が近かったのだろう。カジミール選手もそれなりに消耗はしていたようだが……
魔力が尽きて接近戦を挑もうとするフリードリヒ選手にカジミール選手の風球が襲う。いくつかは躱したが四つ目までは躱せずに後ろから直撃。カジミール選手の勝利となった。
第四試合、ザック選手対シフナート選手。
高そうな魔物素材で固めたザック選手と制服っぽい装備のシフナート選手。序盤は足を止めて魔法の撃ち合い、徐々に距離が詰まり大剣対細剣へと移行した。身の丈ほどもある大剣を軽々振り回すザック選手、軽やかに身を翻すシフナート選手。両者とも剣を振りながらも魔法を撃つ、まさしく接戦だった。
勝敗を分けたのは紙一重、ザック選手の大剣により細剣を砕かれたシフナート選手。その瞬間、砕けた細剣でザック選手の腕を切り裂いた。それから後は徐々に差が広がり勝負あり、シフナート選手の勝利だった。
ついに準決勝か。みんな結構消耗しているようだ。私だけズルしているかのような気分になってしまうな……
一応言うだけ言ってみるか。
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