「お前らこれが欲しいんだろ? 欲しけりゃ獲ってこいよ?」
そう言って私はサカエニナを一つ、海に放り投げる。
「ほら、どうした? 溺れそうなゴブリンみてぇにバシャバシャ泳いで獲ってこいよ?」
そんなゴブリンは見たことないけど。
「てめぇ……死にてぇらしいな……!」
「俺らを誰だと思ってやがる!」
「泣く子も黙る爆龍鬼炎党だぞ!」
ふーん。どこかで聞いた覚えがあるような……
「お、俺らは関係ないっすから!」
「こ、こいつが一人で!」
「おいエルネスト! 逃げるぞ!」
「巻き込まれてたまっかよ!」
エルネスト君はこんな奴らを守ろうとしてるのか……
「やるのかやらねーのか! はっきりしろや!」
「でけぇ口叩きやがってよぉ……てめぇ死んだぞ?」
「おめーみてーに調子コイたガキぁ何人もいたがよぉ? みぃんな死んだぜ?」
「もぉ許さねーけどよ?」
そう言って剣を抜く三人。ん? 真ん中の奴……
「おい、その紫の剣、どこで手に入れた?」
「あ? てめぇにゃ関係ねーだろ! 命乞いなら聞かねぇからよ!」
『金操』
いつも通り持ち主の足の甲に刺してやった。どうやら本物のムラサキメタリックの剣だ……
なんとか動かすことはできたが、かなりキツかった。楽園でムラサキメタリックを加工した経験が生きたな……
『金操』
他の二本も自分達の足でも刺してろ。
「ぐぎゃあああー!」
「くっそがぁああ!」
「痛ってええええ!」
「エルネスト君、こっちの二人は好きにしていいよ。いたぶってやったら?」
「あ、ああ……うん……」
私はこいつだ。剣の出所をきっちりと確認しておかないとな。
『金操』
「ぐあっ!」
とりあえず剣は没収だな。そして。
『水壁』
いつも通り拘束と。そしてちょいと場所移動。
「てめぇ! 何しやがる!」
「別に? ただお前を痛めつけたいだけだ。」
水温アップ、水圧アップ。
「ぎゃあああ! あ、熱ぃいいいい!」
まだ五十度ぐらいだがな。
「まだ上げるぜ。」
「熱い! 待て! 熱っつ!」
「待てねぇな。」
「分かったぁ! 分かったから! 言う! 言うから!」
「ふーん? 言いたいのか? そんなら聞いてやってもいいが……約束しようか。水温を下げてやるから正直に言えよ?」
「あがっ、わがったぁぁっがぅ」
よし、かかった。どうしても定番の流れになってしまうな。
「で、この紫の剣はどこで手に入れた?」
「ず、ずいぶん前に……勇者って奴から買った……」
「あぁ!? 勇者だ!? まさか全身紫の服か鎧で頭がイカれた大男か?」
「そ、そうだ……酒場で意気投合して……銀貨二枚でいいっつうから買った……」
「正確に言え。いつだ?」
「た、たぶん五年ぐらい前……」
なるほど……ヤコビニ派と暴れてた頃か……
だからムラサキメタリックの性能もさほど良くないんだな。どうにか金操は効くし、魔力庫にも収納できるぐらいだから。
「お前まさかこの剣を手に入れたから調子に乗ってたのか? かなりよく切れるだろ?」
「あ、ああ……ロクに手入れしてないのに……切れ味が落ちない……」
「その偽勇者だが、あの教団と関わりがあったのは知っているか?」
「あの……教団?」
「聖白絶神教団だ。こんな剣を持ってっと教団関係者と思われても仕方ないぜ?」
「いや……知らなかった……」
「他に紫の何かを持ってる奴はいるか?」
「あ、ああ……あいつらも持ってる……」
何!?
ふと見ると、あの二人は足の甲を貫かれながらもエルネスト君達を圧倒しているではないか。
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