異世界金融

〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件
暮伊豆
暮伊豆

112、冬の授業とエルネストの相談

公開日時: 2021年2月20日(土) 10:21
文字数:2,563

父上もオディ兄も色々あって大変そうだ。


しかし私はそれどころではない……

アレックスちゃんに愛の告白をしてしまったのだ。中身はオッさんなのに九歳児に告白ってどうなんだとは思うが、違うんやー、仕方なかったんやー。

私は決してロリコンではない。ただ、彼女の魅力が年齢など関係なしに私を魅了しただけなのだ。


この世界の貴族には彼氏・彼女という概念はない。

家の都合を考えなければ、両思い=結婚、または婚約だ。

私にそんな気はないがアレックスちゃんはきっとそう考えているはずだ!

くっそぉー、婚約なんて嫌だ!

どの面さげて学校に行けばいいんだ!

休みたい!

でも休む訳にはいかない!




「おはよう。何ビクビクしてるの?」


「お、おはようサンドラちゃん。今年も辺境一だね。おめでとう。」


そうなのだ。

サンドラちゃんは今年も秋の大会で優勝したのだ。

エルネスト君とスティード君は惜しくも優勝できなかったらしい。本当にギリギリだったらしい。


「カース君の算数に比べたら問題が簡単過ぎるわ。教えてくれてありがとう。」


「いやいや、そろそろ教えることが無くなりそうなんだよね。」


サンドラちゃんはもう二次方程式も解けるし、二次関数も理解している。

もちろん平方根と言う概念のないローランド王国なので、基礎からじっくり教えたのだ。


「おはよー。朝から難しい話をしてるの?」


「セルジュ君おはよう。サンドラちゃんのレベルが高くて困ってるんだよね。」


「何言ってるのよ。カース君が教えてくれるからじゃない。平方根ってぶっ飛び過ぎよ?」


「サンドラちゃーん、朝から難しい言葉を使わないでよー。頭がおかしくなっちゃうよ。」


よし、話題逸らし成功だ。




冬真っ只中の本日。

今日の授業は何だろう。


一時間目、国語。

「皆さんおはようございます。今日から新しい単元に入りますよ。

古の統一王朝時代から伝わる短い歌、短歌ですね。


『しのぶれど

色に出にけり

我が魔法

ものや思うと

敵の問うまで』


五・七・五・七・七の字数で歌を作るんですね。

さあみんなで声に出して読んでみましょう。」


そして先生は短歌の解説を始めた。

作者は短歌三十六人衆の一人で当時の王の血を引くフラットリー・カーネス。

明日は確認の質問をされることだろう。

しっかり復習をしておかねば。



二時間目、算数。

三桁かける二桁のかけ算、三桁わる二桁のわり算だ。

みんな苦戦してるようだが私とサンドラちゃんとアレックスちゃんは退屈で仕方ない。



三時間目、魔法。

身体強化の魔法を教わった。

この後の体育の授業でも使用するらしい。



昼休み。

アレックスちゃんの弁当が一段と豪華だ。

やはり早まったか……

くやしい……でも食べちゃう。

美味しかった。



四時間目、社会。

天測の続き、冬の天測についてだ。

もうすぐ四季全ての天測が終わる。

これで私も迷うことはない。



五時間目、体育。

さっそく先程習った身体強化の魔法を使う。

これはすごいな、どこまでも速く走れそうだ。


そこに先生が、

「あんまり魔力を込めて動くと後がきついぞー。」


まさか!? 筋肉痛か!?

危ない危ない。筋トレに使えるかも知れないが成長期の今はほどほどにしておかねば。


こうしていつも通りの授業が終わった。

今日は勉強会もないし、さあ帰ろうかな。


「カース君、待ってくれないか。」


おや、私を呼び止めるのは誰かな?







「エルネスト君、珍しいね。どうしたの?」


本当に珍しい。上級貴族のエルネスト・ド・デュボア君から話しかけてくるとは。


「カース君とアレクサンドリーネ様のことなんだ。お二人は好き合ってるんだよね。どうやって身分の差を乗り越えたか教えてもらえないかな。」


「え! もう知られてるの!? たった二日前の話だよ!?」


嘘だろ! 私の告白がもう知られてるのか?

ならばアレックスちゃんが母親に話して、そこから広まったとか!?


「二日前? 何かあったの? お二人が好き合ってるのは見れば分かることじゃない? アレクサンドル家にも訪問したらしいし。どうやったのかを参考にしたいんだ。」


あぁ、なるほど。告白が知られた訳じゃないのか。しかし身分の差を乗り越えた……のか?

実際には何もしていない。

正直に伝えて信じてもらえるだろうか。


「本当は恥ずかしいからすごく言いたくないんだ。でも本気の相談だよね。だから言うよ。」


「う、うん。お願い。」


「そもそも乗り越えてなんかいないよ。アレックスちゃんのお父上には『君との将来は認められない』って言われたしね。

そしてアレックスちゃんには『僕らの身分差はどうにもならない、だからやりたいようにやろう』って言ってある。」


「あの騎士長様にそんなことを言われたのかい!? それでもアレクサンドリーネ様にそう言ったなんて! 君はすごいね!」


「他にも恥ずかしいことをいくつか言ってしまったけど、これ以上は勘弁してね。

イボンヌちゃんとのことだよね? やっぱり身分差で困ってるの?」


イボンヌちゃんは下級貴族だもんな。上級貴族と下級貴族の差って下級貴族と平民以上に違うもんな。

アレックスちゃんの両親に会ってしまったせいでバッチリ納得できてしまう。


「そうなんだ。僕は彼女が好きだ。彼女も多分僕のことを好いてくれていると思う。でもどうしたらいいか分からないんだ。誰にも言えなくて困ってたんだけどカース君なら何か助けてくれそうな気がしてさ。」


こいつは重い。

拐って逃げろなんて言えないし……

そうだ!


「うーん、参考になるか分からないけど、パスカル君のお姉さん、ベレンガリアさんがいるじゃない?あの人ってすごい貴族との結婚が嫌で飛び出したんだよね? そして立派に冒険者として胸を張って生きてると思うんだ。

エルネスト君は昔、家を継げないって言ってたよね。状況に変化はある?」


「いや、ないよ。僕がデュボア家を継ぐことはないよ。

そうか、ベレンガリアお姉さんか……あの人は強く美しい、憧れの女性だったよ。」


おお、初恋ってやつか。

相手は親友のお姉さん、青春だな。


「先のことをロクに考えてない僕が言うのもおかしいけど、そんな選択もあるかもね。ベレンガリアさんもクタナツにいることだし。」


しかし本当にいいのか?

私が見たところ、イボンヌちゃんは……


「カース君、ありがとう! 参考になったよ。もう一度しっかり考えてみる! やっぱりカース君はすごいよ。」


適当なことを言ってるだけなのに……

上級貴族って騙されやすいのか?

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