サンドラちゃんにはどんなお土産がいいのだろうか? 実用的な物? クタナツを懐かしむ物?
「サンドラちゃんへのお土産は何がいいかな?」
「あれから二年半経ってることだし、服や身につける物はやめた方がいいわね。アクセサリー系も流行があるし王都の方が良い品が多いでしょうし。そうなるとやっぱり食べ物かしら?」
「サンドラちゃんの弁当には野菜が多かったよね。まずはそれかな。」
あの野菜はクタナツ南部の田園地帯産のはずだ。少しは領都にも入ってることだろう。
「それならお肉とか、それこそペイチの実もいいわよね。」
「よし! なら今から狩りに行こう! 美味しい素材をたくさん獲ろう!」
行ってきた。私もアレクも張り切った。特に解体を。サンドラちゃんにはたくさん食べて欲しいものだ。そして夕方、帰宅。
玄関にはミスリルのアレク像。素晴らしい出来栄えだ。首から垂れ下がるコーちゃんもいい味を出している。そうなるとカムイの像も欲しいな。ダミアンを楽園に連れて行くか? また今度考えよう。
先生もコーちゃんも帰ってきていた。
「ただいま帰りました。先生も先ほど戻られたんですか?」
「おかえり。ほんの一時間前かな。せっかく部屋の用意をしてもらってたのにごめんよ。ダミアン殿と朝まで飲んで、それからダミアン殿の部屋で飲んでいたんだよ。」
「ピュイピュイ」
コーちゃんもずっと飲んでいたのね。
「じゃあ先生、一睡もされてないんですか!? 大丈夫ですか!?」
「はっはっは、もちろん大丈夫だよ。それにしても彼は面白い男だね。」
「先生にそう言ってもらえて嬉しいです。あいつ面白いですよね。」
先生の体力はたぶん無限、コーちゃんもきっと飲み続けることは可能。それに付き合えるダミアンおそるべし……!
「昨日は私の稽古に付き合ってもらったんだから、今夜は私が稽古をつけてあげようか。」
「押忍! ありがとうございます!」
先生に稽古をつけてもらえるとは役得だったな。いい汗かいたぜ。そして夕食。
「ところで気になってたんですけど、先生が昨夜ミスリルを斬ったのは『刀』ですよね? どこで手に入れたんですか?」
「これかい。これは東の国ヒイズルだよ。二年ぐらい前に行ってきたのさ。」
「凄い! やっぱり船ですか!? どうやったら刀なんて買えるんですか!?」
「もちろん船だよ。知っての通り王国通貨は持ち出し禁止だから物々交換だよ。あの国は周りを海に囲まれているものだから香辛料や肉が喜ばれる。他には鉄の塊もいい値で交換してくれるよ。」
「うわぁいいなぁー! アレク! 僕達も絶対行こうね!」
「ええ! 楽しみにしてるわ。」
「ピュイピュイ」
「この刀のお陰でエルダーエボニーエントも多少は斬れるようになったってわけさ。」
夢が広がるじゃないか。もしかしたら味噌だってあるかも知れない! 醤油にワサビだってあるかも!あぁっ楽しみだ!
「カース君こそ庭の石はどうしたんだい? あれはまだ置いてるだけだよね?」
「そうなんです。風流な庭にしようと思って拾ってきたんですけど、まだ何もしてないんですよね。そのまま置くか、切ったりするか迷ってます。」
「心眼が上達してきたら岩だって斬れるから頑張りたまえ。期待しているよ。」
「押忍! ありがとうございます!」
ちなみに卵もどうしたものか。今日のように少し出かけるだけなら置いて行ってもいいが、王都に行ってる間に置きっ放しにするのは気が引ける。クタナツで母上に頼んでおくべきだったか……
そうだ! そうしよう! 楽園で育てようと思ってたけど、実家には馬屋があるんだからあそこで育ててもらえばいいんだ。そしたら母上達の足にもちょうどいいし、もしかしたら楽園まで飛んでいけるかも知れない。
「ちょっとクタナツまで行ってくる。この卵を預けておこうと思うんだ。」
「え? 今から? 関所破りするの?」
「カース君、私が言うのもおかしいが止めておきたまえ。明日の朝でも遅くないだろう?」
そりゃそうだ。
「それもそうですね。ついつい思い立ったら即行動をしてしまいがちなもので。あはは。」
「もう、カースのバカ。」
「じゃあ明日の朝一でクタナツに行くよ。アレクも行く?」
「ええ、せっかくだから家に帰ってみるわ。」
「じゃあそれぞれ昼ご飯を食べた後でクタナツを出発するってことで。夕方にはセルジュ君とスティード君が来るしね。」
明日は少し早起きをしなければ。
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