あー、よく寝た。昨日は疲れたもんな。まだ起きたくないけど、私だけ寝てるわけにもいかないよなぁ。ふあぁーあ。
「ピュイピュイ」
コーちゃんはいつの間にか、私の腹の上にいた。おはよ。アレクはまだ起きてないから寝顔を眺めてよう。綺麗な顔をしてるよな。時々見に行く演劇に出てくる女優さんより綺麗だ。当たり前か。
「おはよう。先に起きてたのね。起こしてくれればいいのに。」
「おはよ。寝顔が見たかったんだよ。いつもきれいだね。」
「もう……カースったら。」
ふふふ、さてと。一旦みんなの所に行ってみるか。そろそろ朝食だろうし。
「坊ちゃん、お嬢様。そしてコーちゃんもおはようございます。昨夜は過分なお部屋をありがとうございました。」
「おはよ。早いね。その格好、もしかして朝食を作ってたの?」
「おはようございます。」
「ピュイピュイ」
久々にマリーのメイド服姿を見たな。いいなー、オディ兄は色んな服装のマリーにサービスしてもらってんだろうなー。はっ、ならば私もアレクにメイド服を着てもらうか? いや、それはダメだ。私が頼めばアレクは何でも聞いてくれる。しかしメイド服のようにアレクの高貴なオーラを損なうような服装はさせるべきではない。やはりアレクには高貴かつセクシーな服でないとな。まあ、たまにカジュアルなのもご愛嬌ってことで。
ある程度片付けられた食堂ではみんなが食事をしていたが、どいつもこいつも元気なさそうだ。まあ当然か。
私達が食事をしていると、ソルダーヌちゃんとひょろ長いおじさんが近付いてきた。
「カース君、アレックスおはよう。紹介するわ。ここを取り仕切ってる王都留守居役のナタニエル・ド・シュレットよ。」
「上屋敷のみならず、ソルダーヌお嬢様まで何度も助けられたそうで、御礼申し上げる。」
「カース・ド・マーティンです。お命が助かってよかったですね。」
「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルです。ソルダーヌ様にはよくしていただいております。」
「ピュイピュイ」
コーちゃんはきちんと挨拶ができる精霊なのだ。偉い!
「この子はフォーチュンスネイクのコーネリアス。コーちゃんと呼んであげてください。」
「もー、アレックスったら。よくしてもらってるのは私の方なのに。」
「ともあれ一丸となって、この厄災を乗り切ろうではないですか。よろしくお頼み申す。」
具体的には何をするんだろう? 守る以外に何かあるのか? まあ私は好きにさせてもらうけど。
全員で手分けをして屋敷内の掃除をすることになった。あちこちに血痕が残ってるもんな。私の洗濯魔法ならあっさり終わりそうだが、そんな面倒なことをやる気分ではない。出かけよう。ここの守りはマリーがいるし、昼にはキアラも来るだろう。
アレクとコーちゃんを連れて王都の空中散歩と洒落込もう。普段はできないことだしね。何か見つかるかも知れないし。ソルダーヌちゃんとマリーに一言伝えて出かける。
「とりあえず王城を上から見てみようか。普段なら不敬ってことで行けないからね。」
「もうカースったら今だって不敬よ。でも見てみたいわね。」
前回は城門周辺しか見てないもんな。全体像を見てみたいものだ。かなり大きくて広いんだもんな。
さて、やって来た。中心辺りに高い塔のような建物も見える。あそこに国王がいたりするのか?
あれ? 中庭では騎士同士が戦っている? 模擬戦じゃないよな? 明らかに何人か死んでるし。鎧が違うようだが……
「あれは王国騎士団と近衛騎士団ね。内輪揉めかしら?」
「どうなんだろうね? 内輪揉めってレベルじゃないよね。」
人数が少ない方が近衛騎士団かな。王国騎士団の方が三、四倍は多いようだ。介入しようにも入れないし、結界を破ってまで混ざる気はない。他の場所も見てみよう。
正面からでは気付けなかったが、王城のあちこちで争いの跡が見える。何が起こってるんだ……
ひとまず母上に報告だな。こんな時には丸投げだ。母上や伯母さんなら何か分かることもあるだろう。
「よし、ゼマティス家に行ってみるよ。母上達に報告しよう。」
「それがいいわね。一体何が起こってるのかしら……」
到着。門の前では女エルフを汚い野郎どもが取り囲んでいた。こんな事態だからな。誰でも第三城壁内にまで普通に入り込んでやがるってわけか。
「カース、あれが昨日の?」
「そう。首謀者の一人。門番をさせてたはずなんだけどね。まあいいや。」
群がる野郎どもは無視だ。好きに遊ぶがいいさ。でも門の前にいられちゃあ邪魔だな。
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「ただいまー。おっ、サンドラちゃん元気にしてたかい?」
見回りをしてくれてるのかな? 偉いな。
「おはよう。おかげさまで助かってるわ。カース君達は忙しく飛び回ってるのね。」
「それなりにね。」
サンドラちゃんと二言三言会話をしてから家の中に入る。母上は起きてるかな?
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