「ひゃぁーっはっはぁー! 飛んで火に入る腐れ虫たぁおめぇらのことじゃあー!」
『氷弾』
「うわぁーーん!」
突如現れた大男に向かって、すかさず魔法を撃ち込んだアレクサンドリーネだったが……
「おっとぉ。そいつあいけねぇな。可哀想なガキが増えるだけだぜぇ?」
大男が汚いコートをはだけると中には村の子供が括り付けられていた。つまり、アレクサンドリーネの氷弾は子供の腹を貫いたのだ。
「へぇっへっへっへぇ。反撃したけりゃしてみろやぁ。ガキどもが傷付くだけだがなぁ! おおっとそれからぁ! おめぇらが食ったこの鍋だがよぉ? いぃーい毒が入ってたからのぉ? 解毒剤を飲まんにゃあ夕方にぁ全員死ぬぜぇ? 分かったら大人しぅしとれやぁ!」
「何が目的だ!」
アイリーンは気丈にも言い返している。
「あ? 目的だぁ? 知るかぁそんなもん! おめぇらが勝手にうちの縄張りに入ったんじゃろうがよぉ! 好きにするに決まってんだろぉが!」
「ふざけるな! それで人質をとったつもりか! アレックスもしっかりしろ!」
「え、ええ……」
「へえっへっへぇ。おう野郎ども! こいつらふん縛ってやれや! おーっとぉ抵抗するとこのガキどもが死ぬぜぇ?」
「なめるな! 私達に人質など効くか! そうだろアレックぐあっ!」
猛るアイリーンの後頭部を杖で叩いたのはロザリーだった。魔法使いが愛用する杖はほとんどの場合堅い木でできている。存分に危険な鈍器となり得る。
「アイリーン! ロザリーあなた何やってるのよ!」
「別に? それよりいいんですか?」
「何をっきゃあっ!」
アイリーンにしたようにアレクサンドリーネの後頭部にも杖が叩き込まれた。今度はレジーヌの仕業だった。
「くっ、グルだったのね……」
アイリーンは気を失い、バラデュールや他のメンバーはほどなく捕縛された。アレクサンドリーネは意識はあるものの頭から血を流している。
「へぇ、アレクサンドリーネ先輩ってしぶといんですね。さすが首席は違いますね。でもいいんですか? こいつら死にますよ? ついでにガキどももね。」
「私に人質なんて……」
『風弾』
レジーヌの魔法が背中に命中し、前方に倒れ込むアレクサンドリーネ。すかさずその頭を蹴り飛ばす大男。彼女の意識はそこで途切れた。
「お疲れ。じゃあさっさとトドメを刺すわよ。ね、お姉ちゃん。」
「ええ。これで私が首席になれるわ。雌伏の時もついに終わりね。」
たったそれだけのために六人もの人間を殺そうとしている。盗賊の力を使ってまで。
「バぁーか!」
そんなロザリーとレジーヌ姉妹も盗賊によって捕縛されてしまった。魔法を使う間もなく『魔封じの首輪』を嵌められてしまった。
「ちょっと! どういうつもりよ!」
「私らを裏切るつもりなの!?」
「ぎゃはははぁ! 裏切るつもりなのぉーだってよぉ!」
「こいつら仲間ぁ裏切ったくせによぉ!」
「げははは! 笑えんぜぇなぁ!」
「よーし! さっそく味見すんぞぉ! 俺からいくぜっ、ぐぼぉ!」
「俺からに決まってんだろおがボケ! おう、おめぇら! こいつとこいつを倉庫に閉じ込めとけや! 首輪を着けたら指一本触れんじゃねえぞぁこら!」
大男に殴り飛ばされた男はぴくりともしない。
「お頭ぁ! そりゃねぇぜ!」
「俺だって味見してぇよぉ!」
「お頭だけずりぃよぉ!」
「この二人ぁ売り飛ばすからよぉ! これだけのツラじゃあ! いくらでもいい値が付くぜぇ。おう! 値ぇ下げやがったらブチ殺すぞぁらぁ!」
アレクサンドリーネとアイリーンは売られる運命らしい。
「そんかわり他の奴らは好きにしろやぁ! ただし俺が楽しんだ後にのぉ? 分かったかおらぁ!」
「分かったよぉ……」
「早くしてくれよぉ?」
「お頭は早いけど回数が多いからなぁ……」
「分かったらさっさと動けやぁ! あぁもうこの村に用ぁねぇ。男とババアは全員殺して埋めとけ。おらさっさといけやぁ!」
いやいやながらも動き出す手下達。アレクサンドリーネとアイリーンは縛られて魔封じの首輪を嵌められた。バラデュールは建物の外に連れ出され、なす術なく殺された。そしてロザリーとレジーヌ、それから他の女達は……
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