異世界金融

〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件
暮伊豆
暮伊豆

221、デルヌモンテ伯爵家の夜

公開日時: 2022年10月21日(金) 10:26
文字数:1,269

「まずは私からだな。」


いきなり伯母さんかよ。サリーヌさんだったっけ?


痛痒つうよう

擽笑てきしょう


何かやっているようだが、何の影響もない。自動防御をガチガチに固めているからな。次は私の番だ。


『風弾』


私の狙撃並みの速度で空気の弾を打ち込んでみた。決着だ。


「さすがは音に聞こえし魔王よな。私では相手にならないようだ。ではお前たち、しっかり勉強させてもらえ!」




それからは入れ替わり立ち替わり魔法対戦を行った。自動防御だけでは私の稽古にならないと思い、魔力感誘にも挑戦してみたが中々上手くいかない。なんとか負けなしで終わることはできたが。




そして夕方。エルネスト君とイボンヌちゃんが帰ってきた。


「カース君! 来てくれたんだね!」


「やあエルネスト君。元気そうだね。イボンヌちゃんも久しぶり。」


「お久しぶりです。」


イボンヌちゃんはやはりそっけないな。そして夕食。デルヌモンテ伯爵家の面々が勢揃いだ。




「ようこそ我が家へ。エルネストの伯父プローニュだ。噂の魔王殿とお会いできるとは光栄だな。ゆっくりしていってくれたまえ。」


エルネスト君の母の兄だったな。どことなくエルネスト君にも似ているか。


「はじめまして。カース・ド・マーティンと申します。エルネスト君の力になれれば幸いです。」


「プローニュ。カース君はすごかったぞ。私はもちろん護衛達も相手にならなかった。噂の方が大人しめかも知れんな。」


「ほう、サリーヌがそこまで言うほどか。それはすごいな。さあ夕食だ。どんどん食べてくれ。」


「ええ、いただきます。」


さすがは港湾都市。魚が多いな。


「この辺りでは魚はどうやって獲っているんですか?」


デルヌモンテ伯爵に質問してみる。


「ほとんどが冒険者の仕事だな。釣りをしたり潜ったり、中々大変な仕事さ。」


へぇ、ギルドで見落としてたかな? そんな依頼が出ていたとは。


「それは面白そうですね。エルネスト君の用事が終わったら僕も潜ってみようと思います。」


「え? カース君泳げるの?」


「もちろん泳げるよ。というか魚を捕るのは結構得意なんだよ。ホウアワビとか栄螺サカエニナとかを獲るのも得意だよ。」


「さすがだね。そういえばアレクサンドリーネ様達と泳ぐ練習とかしてたらしいね。」


えらく懐かしいことを。鉄塊の魔法でプールを作ったりしてたなぁ。


「サカエニナだと? もしかしてカース君、現在魔力庫に入っていたりするか?」


サリーヌさんが食い付いてきた。貴族なのにどうしたことか。


「ありますよ。よかったらどうぞ。」


三つほど取り出してみる。


「おおおおー! ありがとう! お礼にどうだ? 今夜私の寝室に来ないか?」


「サリーヌ……」


伯爵が呆れているぞ。この伯母さんも貴族女性あるあるに当てはまっているな。


「せっかくのお誘いですが、僕には心に決めた女性がいるもので。」


「そうか。それは残念だ。プローニュと二人まとめてかわいがってやろうかと思ったのだが。まあいい、気が変わったらいつでも来るといい。」


王太子妃を思い出すな。あの人もこんなタイプだったような。




ちなみにこの日は何事なく客室で休んだ。メイドさんが夜這いに来ることもなくゆっくり休むことができた。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート