異世界金融

〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件
暮伊豆
暮伊豆

334、砂漠緑化

公開日時: 2023年3月9日(木) 10:52
文字数:1,998

現在の時刻は二時過ぎぐらいだろうか。伐採は順調に終わり帰路についているところだ。

せっかくだからマギトレントだけでなく目についた大木も適当に伐採してみた。酒樽に向いた木もあれば向いてない木もあるだろう。ついでだから楽園に着く前に魔力庫内の岩は全部外に出しておこう。大外を囲うのにまだまだ岩が必要になるだろうからな。ヘルデザ砂漠内にはまだまだいくらでも巨岩があるから問題はないのだが、たまには他から集めてもいいかなーなんて思ったりしているわけだ。


さて、到着。


「おかえりなさいませ! よくぞご無事で!」


「ただいま。問題なさそうだね。」


リゼット達は冒険者達のねぐら付近で歓談をしていたようだ。ここまで来れるほどの冒険者達との繋がりを作っておくのは商売上も損はないだろうしね。


「はい。気前の良い方ばかりで。やはりクタナツの冒険者の方ってすごいんですね。」


「それはよかった。いい話ができたってとこか。じゃあそろそろ帰るとしようか。」


「おい魔王ぉー待ってくれよぉ。今いいとこなんだからよぉ」

「頼むって! もう少し!」

「そうそう! もう少しで、なあ?」


「もう少しで? 何かリゼットに頼み事か?」


「もう少しでリゼットちゃんを口説けそうなんだよぉぉーー!」

「そうだそうだー! ちっと待ってくれやぁ!」

「いーや! 口説くのは俺だぁ!」


そんな話になってたのか。


「リゼット……刺されても知らんぞ……」


「大丈夫ですわ。私、体目当ての男なんかに口説かれませんから。」


「バカやろぉ! 財産目当ての男よりいいだろ!」

「そうだそうだー! 俺ぁリゼットちゃんの財産なんか興味ぁねーぜ!」

「純粋に体目当てなだけだからな!」


マイコレイジ商会ほどの大商会の会長を目の前にして体目当て……欲望に正直でとても気持ちがいい。さすがクタナツの男達だ。


「でも残念無念時間切れ。領都で再び挑むんだな。あ、もしかしてお前ら、ここに娼館が欲しかったりするのか? あと賭場も。」


「最高じゃねぇか……」

「さすが魔王だぜ……ここに娼館だとぉ……」

「金貨五枚払ってもいいぜ……」


なるほど。マーケティング終了。


「いつかそんな日が来るかもな。じゃあまたな。」

「では冒険者の皆様。ご機嫌よう。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


セプティクさんは軽く会釈をしている。それにしても用事がさくさくと済むのは気分がいいな。帰りに少し寄るところもあるし。




「カース様、娼館をお作りになられるのですか?」


「うーん、気が向いたらかな。いくら奴隷でもこんな場所に連れて来るのは可哀想だしね。どうしてもここで働きたいって奴がいたら考えるわ。」


いるわけないよな。


「とにかく遠くに逃げたいって女は数多くおります。カース様なればそんな哀れな女達に居場所を作ってあげることも可能かと。ご一考くださいませ。」


「ふーん、そんなもんか。考えとくわ。」


しばらくはそんな金もないしね。また余るほどの金ができてからの話だな。




さてここはスティクス湖上空。先日の私の八つ当たりで広さ、深さともに以前の数倍になってしまったわけだが。うーん、沿岸部に植生の気配はない。湖に魚の気配もないようだ。まいっか。

せっかく砂漠のど真ん中にこれほど巨大な湖があるんだから周囲を緑化したいところだよな。グリードグラス草原から適当に植物を移動させたら根付かないものかな? あいつらの生命力って半端じゃないし。よし、やってみよう。


「ちょっと進路変更ね。」


「もちろん構いませんわ。どちらに行かれるのですか?」


「グリードグラス草原の東部。イービルジラソーレを狙いにね。」


「イービルジラソーレですか? 庭に生えて欲しくないヒマワリですわね。」


生物に種を植え付けて体内に根を張るような植物だもんな。




ほい到着。ここら一帯は群生地なんだよな。自動防御なしでは絶対近寄りたくない場所だ。


『風壁』


まずは適当な範囲を囲んでと。


『水斬』


地面ごと切り分けてイービルジラソーレを土ごとゲット。魔力庫に収納できないのが面倒なところだな。


『浮身』で浮かせて『風壁』に乗せてと。




そんなこんなでおよそ二十本のイービルジラソーレをゲット。さあスティクス湖に戻ろう。

ヒマワリって砂漠に似合う気もするが、果たして生き残ることはできるのだろうか。あいつらにしてはいい迷惑だよな。住みなれた草原からいきなり砂漠だもんな。ごめーんね。




よし、ではスティクス湖の沿岸部に適度に間隔を開けて一本ずつ植えるとしよう。


「カース様……めちゃくちゃですわ……でもそんなカース様って素敵!」

「これだけ水があれば案外育つかも知れませんな。」


根腐れしないよな? 湖に近付けすぎなければ大丈夫だろう。よし、しっかり根付けよ。また様子を見にくるからな。肥料なんかないけどこいつらも魔物だし、どうにかなるだろ。我ながらまた意味のないことをしてしまったが、ちょっと楽しみだったりする。

さあ帰ろう。今夜こそアレクとゆっくりできそうだもんな。

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