八月二十二日、ヴァルの日。
朝からノワールフォレストの森を散歩している。ずっと退廃的な生活をしていたいが、修行だって欠かすわけにはいかない。私はアレクと二人だけで、自動防御もなしで歩いている。かなり怖い。
「カースは警戒を頼むわね。いつも通り私が戦うから。」
「うん、気をつけてね。かなりヤバいとこだか……上!」
早速上から蛇の魔物、見えてるだけで五メイルはあるダストアナコンダが音もなく吊り下がってきた。牙はもちろん体からも埃のような毒を噴霧する戦いづらい魔物だ。
『水球』
ぶつけると同時に体を覆い毒の噴霧を防ぐ。そのまま水の圧力で頭だけを潰してしまった。アレクにしては魔力のゴリ押しをするなぁ。
「やっぱり、かなり魔力が上がってるわ。」
「そうみたいだね。努力の成果が出てるんだね。」
やはりアレクも頑張ってるんだもんな。私も負けていられない。
「違うわ。やっぱりって言ったでしょ? 原因があるの。それはね……」
「それは?」
「カ、カースの、その、……を、飲んだ、からなの……」
マジかよ……
そんなことがあるものなのか……
〜〜削除しました〜〜
『氷壁』
「カース? どうしたの? 魔物?」
「いいや。」
〜〜削除しました〜〜
氷壁の外側にはだいぶ魔物が集まっている。早くしないとどんどん増えてしまうぞ。
そして二十数分後、何度目か分からないが芳醇な魔力ポーション飲み込んだアレク。さぞ魔力が充実していることだろう。
「よかったよ。アレクは本当に可愛いね。大好きだよ。」
「ありがとう。私もよ。恥ずかしいけど……」
「うん、じゃあ次も頑張ってね。」
いきなり氷壁を解除する。
『氷散弾』
えらい! こんな状況にもかかわらず、冷静に対処できている。興奮しているゴブリンやオークにすら構わず魔法を撃ち込んでいる。素晴らしい!
そして十五分ぐらいで魔物は全滅した。
「お見事だったね! 僕が解体しておくからその間に装備を整えておいてね。」
「もう! カースの意地悪! かなり恥ずかしかったんだから!」
「ごめんごめん。誰も見たことがないアレクの姿を見たかったんだよ。いつもに増してきれいだったよ。戦いの女神って感じかな。」
そして私は慣れない解体に取り組む。アレクや一般的な冒険者に比べると格段に下手だろう。だから頑張ろう。
「あら、カースって下手なのね。意外だわ。」
下手なのね……下手なのね……
男にとって小さいのね、早いのねと並ぶダメージの大きい言葉だ。
落ち着け、解体が下手なのは分かっていることだ。じっくり行えばいい。
それから三十分、全ての魔物の解体、収納を終え移動する。解体後の使えない部分は埋めておいた。そろそろお昼にしよう。
アレクの特製お弁当を食べたら……ついムラムラと……
魔境の真っ只中で何をやってるんだか……
その後、夕方までは真面目に狩りに励んだ。しかし、私もアレクも早く帰りたくて仕方なかったのだ。その思いを獲物にぶつけてしまったせいで、あまり素材が取れなかったのだ。魔石は無事だったが、肉が少なくなってしまった。
さあ、帰ってコーちゃん達とバーベキューだ! お腹を空かせて待っているだろうからな。
夕食後はアレクにも手伝ってもらって心眼の稽古をする。目隠しした私にごく小さい氷球をゆっくり撃ってもらっている。やはりまだまだ感じ取ることなどできない。先は長そうだ。
そしてその場で露天風呂。今夜はコーちゃんとカムイも一緒だ。さあカムイ、きれいに洗ってやろうな。
〜〜削除しました〜〜
読み終わったら、ポイントを付けましょう!