アレクサンドリーネは慌てていた。カースがいない間に急いで汗などを拭き取り、下着をつけ、服を着た。寝る時に愛用しているのは、以前カースから贈られたケイダスコットンのワンピースだ。
「ピュイー」
「あ、コーちゃん。起こしちゃったわね。もうすぐカースが来てくれるわよ。」
「ピュイピュイ」
コーネリアスはアレクサンドリーネを心配し、一緒に眠っていたようだが、彼女は意外にも元気になっていたようだ。そしてベッドに座り込む。カースが来るまでに一人遊びの後片付けを終わらせることができ、安堵していた。
そこにタイミングよくドアが開かれる。
「お待たせ! これ飲んで! ゆっくりとね!」
こんなにも自分を心配してくれるカース。その気持ちがアレクサンドリーネには何より嬉しい。カップからは果実の甘く優しい香りが漂っている。ゆっくりと口に含む。ああこれはペイチの実とオランゲの実だ。冷たさが汗ばんだ体には心地よい。一口分を口に含み、やや味わいを楽しんでから嚥下する。すると、どうしたことだろう……体の奥から力が湧いてくるかのようだ。下腹部が熱い……これではまるでカースのあれを飲んだ時のようではないか。いや、それ以上だ。
すでに精神的には元気なつもりであったが、魔力、体力ともに完全に回復してしまった……
これは一体……
「か、カース? これは一体何なの? ただの果汁ではないの……よね?」
「へへー、これはね。この前少し話したネクタールだよ。そのままだと味がないから果汁で割ってみたの。美味しかった?」
カースは得意げな顔をしている。
「ええ、とってもおいしかったわ。冷たいのに体が熱くなってくるほどに……」
そう言ってカースに抱き着こうとするアレクサンドリーネ。体が、下腹部が熱くて仕方ないのだ。カースに鎮めてもらう他ない。
「ねぇ……カース……」
『拘禁束縛』
「えっ、カース?」
身動きが取れず、魔力も封じられてしまった。これからカースのお仕置きが始まるのだ。アレクサンドリーネはもう待ちきれない。
『快眠』
しかし、カースはアレクサンドリーネを眠らせてしまった。
「そ、そんな……」
多少は抗うものの魔力を封じられた状態でカースの魔法に抵抗できるはずもなく、アレクサンドリーネの意識は沈んでいった。
「よし。これで一晩寝たらきっと元気になるぞ。コーちゃん、悪いけどもう少しアレクを頼むね!」
「ピュイピュイ」
カースはそれほどまでにアレクサンドリーネの体が心配なようだ。彼女の気も知らないで……
彼女をベッドに横たえて、自分は風呂に入るべく寝室を後にした。そろそろキアラ達は風呂から出ている頃と見ているようだ。
あー、よく寝た。もう朝か……
ん? 何やら股間が生温いぞ?
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ふぅ。アレクめ、朝から可愛いじゃないか。さーて朝食は何かな。
ベレンガリアさんとキアラは起きているが、シビルちゃんは寝たままか。起こす必要もあるまい。寝たいだけ寝ればいいのだ。私も大会がなければ寝ていたいんだけどね。
「キアラは今日も出るのか?」
「うーん、出たいんだけどー、シビルちゃんが今日は領都をウロウロしたいって言うからー。」
「そっか。じゃあお小遣いをあげような。楽しんでおいで。」
「わーい! カー兄ありがとー!」
「カース君私には?」
「あるわけないじゃん。昨日だってあれだけ奢ったのに。」
全くベレンガリアさんときたら……
キアラには金貨一枚だ。大金だな。いやーキアラが大会に出なくて良かった! これで今日は安心だな。
「お昼もカー兄と食べたいよー。どうしたらいーい?」
「じゃあ昼ごろにコロシアムに来てくれるか? お弁当を一緒に食べような。」
「わーいおべんとー!」
後でリリスに多めに頼んでおこう。キアラは無邪気でかわいいなぁ。さて、そろそろ出発しようかな。
「じゃあベレンガリアさん。キアラを頼むね。」
「ええ、行ってらっしゃい。アレックスちゃんと朝から一回戦済ませたのね。次が二回戦目になるのかしら? 頑張ってね。」
「そ、そうだね……がが、がんばるよ……」
ベレンガリアさんめ……悪いやつだ。キアラの前で下ネタはやめてくれよな……
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